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消防庁資料


救急業務高度化の現況

 平成9年中の救急出場件数及び救急搬送人員はそれぞれ347万6,504件、334万2,280人に及び、救急業務法制化以降、増加の一途を辿っている。
  これは約9.1秒に1回の割合で救急出場し、国民38人に1人の割合で救急搬送されていることとなり、今 や国民生活において必要不可欠のものとなっている。
  救急業務の高度化を推進するため、平成3年に救急救命士制度が導入されて以来、救急救命士の養成を推進しているが未だ十分とは言えない。
  今後とも救急救命士の養成を図るとともに、医療機関との連携体制の整備も必要である。

(1) 平成9年中の救急隊の出場件数は、347万6,504件で前年の337万3,394件に比べ、10万3,110件(3.0%) の増加、搬送人員については334万2,280人で前年の324万7,129人に比べ、9万5,151人(2.8%)の増加となり、昭和38年の救急業務法制化以降増加の一途を 辿っている。これは我が国のどこかで約9.1秒に1回の割合で救急出場し、国民38人に一人の割合で救急搬送されていることとなり、今や、救急業務は国民生活において必要不可欠なものとなっている。覚知から現場到着までの所要時間の全国平均は6.1分、覚知から医療機関 への収容までの所要時間の全国平均は26.0分と、時間との闘いの中で全国 の救急隊は住民に密着した業務に従事している。(第1表参照)

              第1表 救急業務実施状況
    区 分 平成9年中 A 平成8年中 B 比較 A-B
    救急隊の出場件数 3,476,504 3,373,394 103,110 (3.0%)
    搬送人員 3,342,280 3,247,129 95,151 (2.8%)
    時間当たり出場割合 約 9.1秒に1回 約9.4秒に1回 △ 0.3 秒
    国民当たり搬送割合 約 38 人に1人 約 39 人に1人 △ 1.0 人
    現場到着平均時間* 6.1分 6.0 分 0.1 分
    収容平均所要時間* 26.0 分 24.4 分 1.6 分

    *現場到着平均所要時間は、覚知から現場到着までの平均所要時間である。

    収容平均所要時間は 、覚知から医療機関収容までの平均所要時間である。

(2) 平成10年7月1日現在、全国の消防機関で6,920名の救急救命士が活躍しており、このうち、5,846名が救急救命士として救急業務に当たっている。( 第2表参照 )

             第2表 救急救命士の普及・運用状況 (単位:人)

    平成10年7月1日 平成9年7月1日
    救 急 救 命 士 総 数A 6,920 (100.0%) 5,524 (100.0%)

     救急車に乗車している者 6,511( 94.1%) 5,182 (93.8%)

     救急救命士として常時又は一部運用している者 B 5,846 (84.5%) 4,556(84.5%)

     運用されていない者 665 (9.6%) 626 (11.3%)
     うち、指示体制未整備のため 205 (3.0%) 209 (3.8%)
     救急車に乗車していない者 * 409 (5.9%) 342 (6.2%)
    全 国 救 急 隊 員 総 数 C 55,410 54,743

    A/C 12.5% 10.1%
    B/C 10.6% 8.3%

    *救急車に乗車していない者とは、教育訓練・指令・管理部門等に従事している者である。


(3) 救急救命士の運用組織状況は、全国の総救急隊数 4,515隊のうち1,678隊(全体の37.2%)、総消防本部数920本部のうち666本部(全 体の72.4%)となっている。( 第3表参照 )
  また、救急救命士の養成に関しては、現在、救急振興財団と一部大都市等で設置する11か所の養成所において、年間約 1,400名の救急救命士を養成している。平成10年4月以降、救急振興財団の養成枠を800名から1,000名に増枠するなど、「各救急隊に常時1名の救急救命士」を目標に、救急救命士の養成を推進している。 ( 第4表参照 )

      第3表  救急救命士の運用組織状況    (H10.7.1現在)
    区   分 全国総数 A 運用組織数 B 比 率 B/A
    救急隊数 4,515 1,678 37.2  %
    消防本部数 920 666 72.4 %

      第4表  救急救命士の運用推移
    区  分 資格者数 運用数 運用隊数 運用本部数
    4年 591 483 168 13
    5年 1,003 541 221 53
    6年 1,798 1,369 499 148
    7年 2,748 2,232 730 263
    8年 4,164 3,338 1,057 430
    9年 5,524 4,556 1,333 554
    10年 6,920 5,846 1,678 666

    *本表は平成4〜7年が8月1日、平成8〜10年が7月1日現在のもので ある。


救急救命士は、特定3項目の救急救命処置を実施することができ、その処置実績は年々上がっており、救命効果の向上にも大きく寄与している。

(1) 平成3年に救急救命士制度が設けられて以来、救急救命士は医師の指示の下で、特定3行為と呼ばれる
   ア 半自動式除細動器による除細動
   イ 薬剤を用いた静脈路確保のための輸液
   ウ ラリンゲアルマスク等器具による気道確保
の応急処置が新たに実施可能となり、その活動実績は年々著しく増加し、対前年比で1.4倍、対平成5年比で5.6倍となっており、救命効果の向上に も大きく寄与している。( 第5・6表参照 )

          第5表  救急救命士による特定3行為の処置実績 
    処  置  内  容 気道確保 除細動 静脈路確保




    H5年中件数(指数) 2,191(100) 808(100) 862(100) 3,861(100)
    H6年中件数(指数) 6,538(298) 1,261(156) 1,888(219) 9,687(251)
    H7年中件数(指数) 7,769 (355) 1,500 (186) 2,716(315) 11,985(310)
    H8年中件数(指数) 10,491(479) 1,918(273) 3,587(416) 15,996(414)
    H9年中件数(指数) 14,572(665) 2,456(303) 4,632(537) 21,660(561)
    H9/H8 1.4 1.3 1.3 1.4

            第6表 救急救命士の普及と救急自動車の整備状況
    救急車総数 高規格車 救急隊員総数 救急救命士数
    平成4年 4,775 55 49,959 591
    5年 4,862 179 50,563    1,003
    6年 4,901 427 52,315 1,798
    7年 4,968 712 53,279 2,748
    8年 5,063 1,119 53,250 4,164
    9年 5,133 1,423 54,743 5,524
    10年 5,197 1,770 55,410 6,920

      * 救急救命士数は平成4〜7年が8月1日現在、平成8〜10年が7月1日現在、その他は4月1日現在である。

(2) 救急救命士の導入効果
下図は、平成9年中における全国の救急隊が搬送したすべての心肺停止傷病者のうち、家族や救急隊員によって心肺停止の時点が目撃された傷病者の1か月後の生存者数の割合について、救急救命士による処置の有無に着眼して比較したものである。これを見ると、救急救命士が対応した場合の方が1.8ポイント(約1.5倍)その救命効果が向上していることが認められる。
 


平成3年の救急救命士制度の発足に併せて、一般の救急隊 員についても、一定の教育訓練(救急U課程又は救急標準課 程)を修了することにより、血圧測定、心電図伝送などの9 項目にわたって応急処置の実施範囲が拡大されたが、 その処置実績も大幅に向上してきている。

平成3年の救急救命士制度の発足に併せて、一般の救急隊員についても、一定の教育訓練(救急U課程又は救急標準課程)を受けることにより、従前には処置し得なかった自動心マッサージ、在宅療法の継続、ショックパンツ、血圧測定、心音呼吸音聴取、血中酸素飽和測定、心電図伝送等、経鼻エアウェイ、喉頭鏡・マギール鉗子の9項目にわたって処置範囲が拡大され、 その 処置実績も大幅に拡大した。(第7表参照)

            第7表  拡大9項目の応急処置の件数
    処 置 内 容 H5年中 H6年中 H7年中 H8年中 H9年中 H9/H8
    自動心マッサージ器
    在宅療法の継続
    ショックパンツ
    血 圧 測 定
    心音呼吸音聴取
    血中酸素飽和度測定
    心電図伝送等
    経鼻エアウエイ
    喉頭鏡・マギール鉗子
    357
    3,865
    162
    256,759
    106,624
    228,379
    34,712
    77,66
    3,310
    571
    5,382
    517
    528,432
    197,051
    511,686
    78,141
    14,818
    5,379
    875
    3,774
    250
    838,424
    281,727
    836,650
    123,916
    20,404
    6,696
    1,020
    4,979
    360
    1,173,223
    370,591
    1,220,244
    184,183
    25,086
    7,659
    1,147
    10,048
    419
    1,574,023
    476,486
    1,655,731
    236,023
    29,659
    9,510
    1.12
    2.01
    1.16
    1.34
    1.29
    1.36
    1.28
    1.18
    1.24
    拡大9項目小計
    (指数)
    641,934
    (100 )
    1,341,977
    (209)
    2,112,716
    (329)
    2,987,345
    (465)
    3,993,046
    (622)
    1.34
    特定3行為小計
    (指数)
    3,861
    (100)
    3,861
    (251)
    11,985
    (310)
    15,996
    (414)
    21,660
    (561)
    1.35
    拡大処置範囲計
    (指数)
    645,795
    (100)
    645,795
    (209)
    2,124,701
    (329)
    3,003,341
    (465)
    4,014,706
    (622)
    1.34


平成3年の救急隊員が行う応急処置の範囲の拡大に伴い、救急U課程及び救急標準課程(救急T課程に救急U課程を合わせたもの)を設けるなど救急隊員全体の資質についても大幅な向上が図られている。

平成3年の救急隊員が行う応急処置の範囲拡大に伴い、救急隊員の教育訓練についてもその拡充が図られ、従前では、救急T課程教育(延べ135時間相当)のみであったところ、より高度な拡大応急処置が可能となる救急U課程教育(延べ115時間追加)及びこれらを合わせた救急標準課程(延べ250時間相当)を設けるなどにより、より上級の課程を修了した者が年々増加しており、救急救命士をはじめとする救急隊員全体の資質について大幅に向上してきている。
第8表のとおり、教育訓練250時間以上の課程を修了した者(救急救命士・救急標準課程・救急U課程)は総計で3万9,347名となり、 救急隊員総数に占める割合は71.0%(前年3万4,686名、63.4%)に及んでいる。
  

             第8表 救急隊員の教育訓練状況

    救急救命士 標準課程 U課程 救急隊員数
    救命士の資格を持つ者 標準課程修了数 U課程修了者数

    救急隊員
    救急隊員
    救急隊員
    平成10年 6,920 6,511 8,125 5,891 35,637 26,945 55,410

    救急隊員中の割合 12.5% 11.8% 14.7% 10.6% 64.3% 48.6%

    前年比増減 1,396 1,329 2,445 1,744 4,178 1,588 667
    平成9年 5,524 5,182 5,680 4,147 31,459 25,357 54,743

    *各年4月1日現在(救急救命士数のみ各年7月1日現在)

高齢化社会の進展とともに、搬送人員総数に占める「急病による高齢者数」の割合が高くなってきている。

  救急業務が昭和38年に法制化されて以来、救急業務を取り巻く社会環境は 、 我が国の高齢化の進展とともに、大きく変化してきている。
  65歳以上の高齢者の搬送状況は、第10表のとおりである。平成9年の急病による65歳以上の搬送高齢者数の指数が 309と極めて高 くなっており、搬送人員総数に占める割合も22.4%となり我が国における高齢化の進展が救急業務の態様にも大きな影響を及ぼしている。
( 第9・10表参照 )

      第9表  事故種別別出場件数及び搬送人員内訳   (平成9年中)

    出 動 件 数  搬 送 人 員

    件   数 構 成 比 人   員 構成比
    急  病 1,899,987 54.2 1,778,632 53.2
    交通事故 627,603 18.1 707,706 21.2
    一般負傷 413,940 11.9 389,973 11.7
    その他 531,974 15.3 465,969 13.9
    合計 3,476,504 100.0 3,342,280 100.0

    年 次 総人口
    (A)
    左 の
    指 数
    65歳以上
    高 齢 者
    (B)
    左 の
    指 数
    高齢者

    (B/A)
    搬 送 人 員
    総    数
    (C)
    左 の
    指 数
    急 病 搬 送 人 員
    65歳未満  65歳以上(D)
    (D) の
    指数
    高齢者

    (D/C)
    昭和40
    50
    57
    60
    平成元



    99,209千人
    111,940
    118,693
    121,049
    123,255
    125,034
    125,569
    125,864
    126,166
    84
    94
    100
    102
    104
    105
    106
    106
    106
    6,236千人
     8,865
     11,350
     12,468
     14,309
     17,585
     18,597
     19,017
     19,758
    55
    78
    100
    110
    126
    155
    164
    168
    174
    6.3%
    7.9
    9.6
    10.3
    11.6
    14.1
    14.8
    15.1
    15.7
    317,145人
    1,476,085
    2,049,487
    2,255,999
    2,593,753
    2,948,630
    3,164,483
    3,247,129
    3,342,280
    15
    72
    100
    110
    127
    144
    154
    158
    163
    (130,997)
    (742,368)


    100
    125
    163
    239
    273
    289
    309


    11.8%
    13.5
    15.2
    19.7
    20.9
    21.6
    22.4
    705,405人
    757,535
    823,283
    923,398
    997,629
    1,011,907
    1,029,957
    242,219人
    303,519
    395,452
    579,656
    661,714
    700,250
    748,675

    *人口は、国勢調査による。ただし平成元・6・8・9年については総務庁統計局「10月1日現在人口推計人口」による。
    *昭和40、50年の年齢別急病搬送人員は不詳。


応急手当普及啓発活動の一環としての救命講習を受講した 者は、 平成9年中では 63万9,834名に及び、前年の約 1.2倍の増加となっている。
また、これらの普及啓発活動により、全国の救急隊が搬送 した心肺停止傷病者のうち、住民・家族等によって応急手当 を受けた者が増加しつつあり救命効果の上昇に大きく寄与している。

(1) 平成5年に設けられた応急手当普及啓発活動の推進要綱に基づき、平成9年中に住民向けの3時間コース以上の普通救命講習等を受講した者は63万 9,834名に及び、前年中の53万3,410名に比較し,10万6,424 名, 1.2倍の増加となっている。 また、その他の3時間未満の講習を含めると総計約272万余名となり、平成5年からの累計でみると、約1,271万余名に及んでいる。 (第11表参照)

    区分
    年中
    普通救命講習
    A
    上級救命講習
    B
    小 計
    C (A+B)
    応急手当
    普及員講習・計
    D
    応急手当
    指導員講習・計
    E
    平成5年中 47,827 4,045 51,872 1,053 5,363
    平成6年中 246,356 10,680 257,036 4,646 20,887
    平成7年中 395,045 19,212 414,257 7,292 13,690
    平成8年中 491,300 25,758 517,058 6,208 10,144
    平成9年中 589,798 33,670 623,468 7,037 9,329
    合 計 1,770,326 93,365 1,863,691 26,236 59,413

     
    区分
    年中
    上記合計
    F (C+D+E)
    左の指数 その他の
    軽微な講習
    G
    総計
    F+G
    平成5年中 58,288 100 2,105,073 2,163,361
    平成6年中 282,569 485 2,127,220 2,409,789
    平成7年中 435,239 747 2,223,370 2,658,609
    平成8年中 533,410 915 2,227,296 2,760,706
    平成9年中 639,834 1098 2,082,743 2,722,577
    合 計 1,949,340
    10,765,702 12,715,042


(2) 平成5年からの普及啓発活動の推進により、全国の救急隊が救急搬送した平成7年以降のすべての心肺停止病者のうち、住民又は家族等により応急手当を受けた者は年々増加しており、その状況は第12表のとおりである。

      第12表  救急隊搬送の心肺停止者のうち応急手当を受けた者

    心肺停止傷病者数 応急手当を受けた者 割 合
    平成7年 72、016 9,389 13. 0%
    8年 72,542 10,954 15.1%
    9年 76,272 12,901 16,9%

(3) 応急手当の救命効果 
下図は、平成9年中における全国の救急隊が搬送したすべての心肺停止傷病者のうち、救急隊の到着時に家族等により応急手当が実施されている場合の1か月後の生存者の割合について、応急手当が実施されていない場合の傷病者と 比較対比したものである。これを見ると、家族等により応急手当が実施されている場合の方が、2.3ポイント(約2.0倍)その救命効果が向上していることが認められる。




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