はじめに 

はじめに

 我が国の消防は、昭和23年に地域に密着した自治体消防として発足して以来、半世紀が経過したが、この間、関係者の努力の積重ねにより、制度、施策、施設等の充実強化が図られ、火災の予防、警防はもとより、救急、救助から地震、風水害等への対応まで広範囲にわたり、国民の安全の確保に大きな役割を果たしてきた。
 特に、近年においては、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて創設された緊急消防援助隊について一層の拡充強化を図るなど広域的な消防防災体制を推進するとともに、地域住民や企業など幅広い地域社会との連携のもとに、消防本部・消防団を中心とする総合的な消防防災体制の整備を進めてきている。
 しかしながら、近年、社会経済情勢の変化の中で、災害や事故の態様は複雑多様化の傾向を強めてきており、昨年来、新宿区歌舞伎町ビル火災をはじめ、芸予地震や台風に伴う風水害などの多くの災害が発生し、また、本年に入っても、大規模な林野火災や台風に伴う風水害が発生するなど、全国各地で住民の安全を脅かす災害等が相次いで発生している。
 さらに、昨年9月の米国の同時多発テロに加えて、本年10月にインドネシア・バリ島でのテロが発生するなど、国内におけるテロ発生時の対応が迫られている。
 こうした中で、災害等から国民の生命、身体及び財産を守るという消防の責務は、ますます大きなものとなってきており、今後とも消防防災全般にわたる施策を強力に展開し、国民の安全確保、安心して暮らせる地域づくりに全力をあげて取り組んでいく必要がある。
平成14年版の消防白書は、火災をはじめとする各種災害の現況と課題、消防防災の組織と活動、自主的な防災活動と災害に強い地域づくり等について解説したものである。
 特に、特集として「新たな火災予防対策の推進」と題し、新宿区歌舞伎町ビル火災の教訓を踏まえ行われた消防法令改正をはじめとする制度改正のポイントと再発防止のための取組み等を記述した。
 また、平成3年に創設された救急救命士制度は、救急業務の高度化に大きく寄与し、心肺停止傷病者の救命効果の向上が図られたが、更なる救命率の向上を図るための救急救命士の処置範囲の拡大について、現在、年末の取りまとめに向けて具体的な検討が進められている。そこで、救急救命士の処置範囲の拡大についての取組状況等について、これまでの経過と今後の方向を中心に、緊急報告として記述した。
 さらに、大規模災害等に備えた国・地方公共団体による防災力充実に向けた取組みや、大規模災害等において大きな役割を果たすことが期待される消防団と自主防災組織について、それぞれの現状と課題、今後の充実方策等について、特別報告として記述した。
 この白書が、国民の生命、身体及び財産を災害などから守る消防防災活動について、国民各位の認識と理解を更に深め、また、安全な地域社会づくりに向け、国、地方公共団体のみならず地域住民、企業等をも含めた消防防災体制の確立に広く活用されることを願うものである。

  平成14年12月

 

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