特集 新たな火災予防対策の推進
〜新宿区歌舞伎町ビル火災の教訓を踏まえて〜 

まとめ

 消防庁では、これまでも、過去の幾多の火災から得た貴重な教訓等をもとに制度改正を行って火災予防対策を推進してきた。昭和23年の消防法の制定により確立された火災予防の制度は、その後の急速な経済の発展と科学技術の進歩等を背景にして、高層化・深層化するビルの登場等により複雑化する建物火災等に対処するため、その内容を充実させてきた。こうした中で、消防法令の改正等によって講じられてきた措置は、国民の生命、身体及び財産の火災からの保護という観点から、不特定多数の人々が利用する比較的大規模な防火対象物における危険性の高さや被害の大きさを前提に講じられてきた。その結果、この種の防火対象物の火災による死者の発生率や火災1件当たりの焼損面積が激減するなど、成果を上げてきたところである。
 しかしながら、今回発生した新宿区歌舞伎町ビル火災は、小規模な防火対象物であっても大惨事が発生することを示したものであった。このため、今回、消防機関による立入検査や措置命令、ビル管理者等による防火管理、消防法令違反に対する罰則等に関し、基本的な考え方にわたる制度改正を行ったものであり、火災予防に関する基本的な制度の改正という意味では千日デパートビル火災(昭和47年5月)や大洋デパートビル火災(昭和48年11月)を踏まえた昭和49年の改正以来、28年ぶりのものとなった。
 安全は、偶然もたらされるものではない。火災予防上の安全性は、消防法令に基づく火災予防の制度が整備され、その法令に基づく火災予防対策が確実に実施されることにより確保されてきた。先人たちが築いてきた防火対象物の防火安全性を失わないようにするため、今回の制度改正を踏まえ、防火管理や違反是正等を徹底し、火災予防対策をより一層強力に推進していく必要がある。

千日デパートビル火災(大阪市消防局提供)


 

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