特集 消防組織法・消防法の改正と新たな消防行政の展開 

特集 消防組織法・消防法の改正と新たな消防行政の展開

1 はじめに〜法改正の転機としての意義

 「消防組織法及び消防法の一部を改正する法律」が、本年6月に成立し、一部は既に施行されている。昨年3月来の「新時代にふさわしい常備消防体制の在り方研究会」における議論や、10月の地方分権改革推進会議の意見、12月の消防審議会答申などを踏まえ、今回、大規模・特殊災害時における全国的観点からの緊急対応体制の充実・強化をはじめとして、現下の社会環境への対応が図られ、消防防災行政の歩みの中で、新たな一歩が踏み出された。
 戦後改革の一環としての消防組織法・消防法の施行により、消防は警察行政から切り離され、市町村の消防責任の原則が確立した。爾来、現場の活動は市町村が担うこととされ、国(消防庁)は、これに対して、消防制度に係る企画立案を主とし、助言・指導・調整の役割を果たしてきたものである。
 これまで災害対策上の大きな制度改正は、大規模災害による被害を受け、その反省の上に立って、推進されてきた。伊勢湾台風(昭和34年)を受けた災害対策基本法の制定、新潟地震(昭和39年)を受けた消防組織法改正(消防庁長官による応援措置要求の創設)、阪神・淡路大震災(平成7年)を受けた災害対策基本法改正(緊急災害対策本部の設置要件の変更・対策本部長の指定行政機関に対する指示の創設など)や消防組織法改正(消防庁長官による応援措置要求に係る手続の迅速・適正化)などが、これに該当する。
 今回の改正では、消防が防除・被害軽減に立ち向かわなければならない災害の規模・態様が、被害予測の深まりや社会環境の変化に伴い、様相を変えつつあることを踏まえ、大規模・特殊災害時において、市町村段階で対応しきれない場合、全国的観点から国が対応する必要を認め、消防庁長官に所要の権限を付与することとし、制度的枠組みを変更した。
 本特集では、今回の改正事項に関する要点を概説した上で、今後の体制整備や現場における運用上の課題をはじめとして、地方公共団体や消防関係者に期待される役割、新制度による社会的な効果などを紹介する。

 

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