はじめに

 我が国の消防は、昭和23年に地域に密着した自治体消防として発足して以来、半世紀が経過したが、この間、関係者の努力の積重ねにより、制度、施策、施設等の充実強化が図られ、火災の予防、警防はもとより、救急、救助から地震、風水害等への対応まで広範囲にわたり、国民の安全の確保に大きな役割を果たしてきた。
 しかしながら、本年は、7月に新潟・福島豪雨、福井豪雨災害、10月には台風第23号及び新潟県中越地震等の大規模災害が引き続いて数多く発生し、全国各地に大きな被害をもたらしている。また、消防行政を取り巻く状況は大きく変化しており、大規模災害、テロへの対応や危機管理が重要な課題となっており、緊急事態への国・地方を通じる対応体制の強化が急務となっている。
 このような状況のもと、消防組織法の改正により、平成16年4月から緊急消防援助隊は、法律上の位置付けが明確化され、全国的観点からの緊急対応体制の充実・強化が図られた。
 また、今年の6月には、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(以下、「国民保護法」という。)が成立し、9月に施行され、消防は市町村長の指揮の下、避難住民の誘導等を行うことになっているなど、消防庁をはじめ全国の消防機関が、住民の安全に全力を尽くすことが求められている。
 このように、災害等から国民の生命、身体及び財産を守るという消防の責務は、ますます大きなものとなってきており、今後とも消防防災全般にわたる施策を強力に展開し、国民の安全確保、安心して暮らせる地域づくりに全力を挙げて取り組んでいく必要がある。
 平成16年版の消防白書においては、火災をはじめとする各種災害の現況と課題、消防防災の組織と活動、自主的な防災活動と災害に強い地域づくり等について解説した。
 特に、大規模災害や有事に際して効果的な対応をするためには、国家的な視野に立った対応が不可欠であることから、特集として「緊急消防援助隊と国民保護法制−国家的視野に立った消防の新たな構築−」と題し、先述した緊急消防援助隊と国民保護法制について、経緯や内容、今後の取組みや課題等を記述した。
 また、本年において特に話題性のあるものをトピックスとして次の項目について記述している。
 トピックスIでは、自然災害が多発していることを踏まえ、豪雨・台風災害や10月に発生した新潟県中越地震における被害の状況、消防庁の対応、今後の課題等について記述した。
 トピックスIIでは、阪神・淡路大震災や今回の新潟県中越地震等を踏まえ、今後の地域防災体制の戦略的整備について記述した。
 トピックスIIIでは、近年の住宅火災による死者の急増等を踏まえ、設置が義務化された住宅用火災警報器等による住宅防火対策について記述した。
 トピックスIVでは、地域の安心・安全を確保するため、防災・防犯等に幅広く対応する地域拠点等の創出の取組みとして、地域安心安全ステーション整備モデル事業について記述した。
 これらを踏まえ、この白書が、国民の生命、身体及び財産を災害などから守る消防防災活動について、国民各位の認識と理解を更に深め、また、安全な地域社会づくりに向け、国、地方公共団体のみならず地域住民、企業等をも含めた消防防災体制の確立に広く活用されることを願うものである。

平成16年12月



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