第2章 消防防災の組織と活動 

ウツタイン様式導入に当たって

1 ウツタイン様式について
 1990年6月に、ノルウェーのウツタイン修道院で開催された国際蘇生会議において、アメリカ心臓協会等の世界各国の学会の代表が、病院外心肺機能停止症例の蘇生率等について、地域間・国際間での比較が可能になるよう、記録方法に関するガイドラインを作成しました。
 具体的には、心肺機能停止症例をその原因から心原性(心筋梗塞等)、非心原性(交通事故による外傷、溺水等)に分類すると共に、目撃の有無、バイスタンダーによる心肺蘇生の有無、初期心電図波形別等に分類し、それぞれの分類における傷病者の予後転帰を記録するためのガイドラインであり、その名称がウツタイン様式とされました。

2 我が国におけるウツタイン様式の導入の経緯について
 ウツタイン様式は、90年代以降、心肺機能停止症例に関する記録方法として、世界的に推奨されてきました。しかし、欧米諸国においても、この様式に基づく記録が国レベルで行われている例はなく、一部の救急システムの進んだ地域での導入例があるとはいえ、現在も都市レベル、地域レベルでの導入にとどまっています。
 我が国においても、東京都下や大阪府下等において、ウツタイン様式による記録、分析が行われている例や、また、救急振興財団において、平成9年から平成13年にかけて、全国10の救命救急センターと関係消防本部の協力により、ウツタイン様式による救命効果の調査が行われた例等がありますが、全国レベルでの導入は未だ行われていませでした。
 しかしながら、救急救命士の処置範囲の拡大等の救急業務の質的な変化を踏まえ、救急業務高度化推進検討会において、ウツタイン様式に基づく心肺機能停止症例に関する記録様式の全国的な導入の必要性について検討が重ねられた結果、平成17年1月からウツタイン様式を導入すべきとの報告書がとりまとめられました。

3 プレホスピタル・ケアの充実に向けて
 消防庁としては、ウツタイン様式の導入によって、全国的な集計、分析だけではなく、各都道府県や消防本部単位においても、集計、分析を実施し、得られる統計データを消防機関と医療機関が共有し、救命効果の客観的・医学的な評価、地域間・国際間の比較・検証を実施する予定です。そして、今後の我が国のプレホスピタル・ケアの充実に有効活用するとともに、救急救命士の処置範囲拡大を含めた、一層の救急業務の高度化を推進し、我が国の救命率の更なる向上を目指します。
 
プレホスピタル・ケアの充実

 第4節 救急体制

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