トピックスI 新潟県中越地震及び本年の風水害の状況と消防の対応 

(4)課題

 ア 検討会の設置
 前述した関係省庁局長会議で確認された課題や対策は、〔1〕豪雨災害時の災害情報の伝達・提供の迅速化・確実化に関すること、〔2〕高齢者等の安全かつ迅速な避難体制の整備に関すること、〔3〕総合的な治水対策に関すること、〔4〕観測・予報体制等の充実強化に関すること等36項目に渡っており、今回特に問題となった避難勧告や高齢者等災害時要援護者の避難対策については、関係省庁・関係地方公共団体・有識者で構成する「集中豪雨等における情報伝達及び高齢者等の避難支援に関する検討会」(10月7日に第1回を開催)により検討することとされており、「避難勧告・指示、避難行動のマニュアルの整備」及び「高齢者等災害時要援護者の避難支援ガイドラインの策定」について、年内に骨子を発表し、年度内にマニュアルやガイドラインを取りまとめるというスケジュールで検討していくこととしている。

 イ 主な検討事項
 <避難勧告・指示、避難行動のマニュアルの整備>
 マニュアルの整備に当たっては、具体的な発令基準の策定のほか、避難勧告等の準備のための準備情報(若しくは注意情報)の提供がひとつの論点となっている。名古屋市では、水位と雨量を考慮した客観的基準により、先進的にこのような情報の提供に取り組んでいる。こうした取組みにより、行政・住民ともに避難の実施に向けた迅速な準備体制の構築が期待される。
 <高齢者等災害時要援護者の避難支援ガイドラインの策定>
 ガイドラインの策定に当たっては、先進的事例の研究を行うこととしており、例えば、東京都荒川区において、高齢者や身体障害者等の災害時要援護者を災害時に救出するための「おんぶ作戦」と呼ばれる救出体制づくりが、1984年(昭和59年)より地域の自主防災組織によって進められている。この作戦は、地域住民がチームを組み、あらかじめ特定した高齢者等を、協力し合って、リヤカーやおんぶ帯等によって救出するものである。こうした取組みでは、各地域の実情にあった体制づくりが必要である。また、対象者と自主防災組織の人たちとの信頼関係が何よりも重要であり、平常時からの訓練などを通じ相互の意思疎通等を図ることが求められている。
 
第1図 7月豪雨災害を踏まえた課題(新潟・福井現地調査結果)
 災害時要援護者の避難誘導体制の構築に当たっては、その所在情報の活用がカギとなるが、この場合、個人情報保護の観点での課題が指摘される。この課題への十分な配慮を伴った情報活用を行うための工夫や整理が必要であるが、その土台となるのは、援助される側とする側の揺るぎない信頼関係の構築にあると考えられる。
 
第3表 平成16年台風による被害状況 速報(11月10日現在)
 
第4表 平成16年台風・豪雨等による人的被害状況(死者・行方不明者年代別内訳表 11月10日現在)

 1 豪雨・台風災害の概要と国の対応、課題について

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