(2)東南海・南海地震対策
ア 東南海・南海地震対策の充実・強化
南海トラフに発生する地震(東南海・南海地震)は、歴史的にみて100年から150年の間隔で発生しており、その規模はマグニチュード8クラスである。最近では、1944年(東南海地震)及び1946年(南海地震)に発生し、すでに50年以上が経過していることから、今世紀前半での発生が懸念されている(第1−7−2図)(今後30年以内に発生する確率(平成17年1月1日時点)は、地震調査研究推進本部の地震調査委員会の公表によると、東南海地震60%、南海地震50%となっている。)。
このため、中央防災会議は、平成13年6月に、「東南海、南海地震等に関する専門調査会」の設置を決定し、地震動や津波等による被害の想定及び地震防災対策について検討を重ね、平成14年12月に東南海・南海地震が同時に発生した場合の被害想定の一部公表、平成15年9月には被害想定の全体像が示された(第1−7−10表)。
また、消防庁では、市町村・都道府県境を越え、東南海・南海地震の被害が想定される地域が一体となって取るべき防災体制を、広域的な受援体制の整備の観点と、津波対策の観点から地方公共団体の防災体制の現状と課題を踏まえて検討するため、「東南海・南海地震に係る広域的な地震防災体制のあり方研究会(座長;室益輝 現消防研究所理事長)」を開催し、その検討結果を「東南海・南海地震に係る広域的な地震防災体制のあり方に関する研究報告書」として平成16年3月に取りまとめた。地方公共団体においても、地震対策に関する情報交換、広域的な連携の強化等を図るため、消防庁の呼びかけにより、関係府県で構成する「東南海・南海地震に関する府県連絡会」を設立し、東南海・南海地震に係る情報交換・収集を行っている。
イ 東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の施行
こうした中で、平成15年7月に「東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」、同法施行令及び施行規則が施行となり、平成15年7月、内閣総理大臣から中央防災会議に対して地震防災対策推進地域の指定について諮問がなされ、東南海・南海地震が発生した場合、「著しい地震災害の恐れがある地域」として、具体的な推進地域の指定に向けた検討が開始された。その結果、平成15年12月に中央防災会議において「東南海・南海地震防災対策推進地域」として1都2府18県652市町村(平成17年4月1日現在1都2府18県506市町村)が公表され、翌17日に内閣総理大臣により指定(公示)された。推進地域の指定を受けた地方公共団体その他防災関係機関は、東南海・南海地震防災対策推進基本計画に基づき、「東南海・南海地震防災対策推進計画」を作成し地震防災対策強化を図ることとなった。また、特に甚大な津波被害が懸念される地域については、地域ぐるみの迅速な対応が求められることから、学校・病院等多数の者が集まる施設管理者等に対し、津波からの円滑な避難に関して「地震防災対策計画」を地域指定から6か月以内に策定するものとされた。平成17年4月1日現在の対策計画の作成率は、80.7%となっており、消防庁としては今後とも関係都府県、消防本部等を通じて作成を強く働きかけていく。
また、平成15年12月、東南海・南海地震防災対策のマスタープランとなる「東南海・南海地震対策大綱」が中央防災会議で決定された。この大綱は、東南海・南海地震に対して津波防災体制の確立などを掲げた総合的計画であり、平成16年3月に中央防災会議で決定された推進基本計画をはじめとして、推進計画や対策計画はこの大綱に沿って、地域の実情に即した具体的な形で作成されたものである。
さらに、平成17年3月には、具体的な被害軽減量を数値目標として定め、被害要因の分析を通じた効果的な対策を選定し、戦略的に地震対策を推進するため、今後10年間で被害想定に基づく死者数、経済被害額の半減を目標とする地震防災戦略を中央防災会議で決定した。