第1章 災害の現況と課題 

危険物を貯蔵するタンクの腐食・劣化に係る評価手法について

 原油、ガソリン、重油等の危険物を貯蔵するタンク等の材料として用いられる金属材料は、内容物又は外部環境の影響により腐食・劣化するおそれがあります。
 これらのタンクを含む危険物施設に対しては、腐食・劣化等により漏えい、火災が発生しないよう定期点検が義務付けられていますが、危険物施設からの危険物の漏えい件数は平成6年頃を境に増加傾向にあり、特に腐食・劣化によるものはこれらの約30%を占めていることから、危険物の漏えい・拡散による火災危険等の増大が懸念されています。
 このような状況から、危険物施設の事故防止を図るため、危険物施設の腐食・劣化がどの程度進行しているのかを評価することのできる手法の開発が求められているところです。
 このため消防庁では、平成16年度からの3か年度において、「危険物施設に関する腐食・劣化評価手法の開発・導入環境整備」に係る調査検討を行っています。そこでは、腐食していることが外部からわかりにくい地下貯蔵タンク及びその埋設配管並びに屋外貯蔵タンクの底板を対象としており、これらの評価手法の確立を目指しています。
 地下貯蔵タンク及びその埋設配管については、土壌診断を用いた統計的手法(土壌中の水素イオン濃度、土壌比較抵抗値、土壌水分含有率、酸消費量、アルカリ消費量、イオン濃度及び塩化物イオン濃度等と腐食・劣化の程度との関連性を調査するもの)により腐食・劣化を評価する手法を確立することを目的として、漏えい事故のあったタンクや配管とその周囲の土壌環境の調査を実施し、これらの相互関係によって腐食のしやすさを統計的に分析し、評価手法の確立を目指しているところです。
 屋外貯蔵タンクについては、AE(アコースティック・エミッション)法という手法を用いて、腐食・劣化による漏えい危険性が比較的高いタンク底板の腐食・劣化評価手法に係る調査検討を行っています。
 AE法とは、材料の変形、亀裂が発生する際に、材料がそれまでに蓄えていた歪みエネルギーを弾性波として放出する現象(アコースティック・エミッション)を材料表面に設置したAEセンサーで検出し、信号処理を行うことにより材料の破壊過程を非破壊で評価する手法のことをいいます。
 検出されるAE信号の発生源は大きな体積膨張を伴う腐食生成物の発生に起因する剥離又は割れの音であり、腐食部分に集中して発生するといわれています。
 AE法は、現在、イギリス、フランスなどの西欧主要国において、タンク底部の状態を評価する試験法として一般的に利用されており、試験規格等が整備されつつあります。
 現在、屋外貯蔵タンクに係る調査検討については、国内にあるタンクのAE法によるデータ収集を行うとともに、それらのタンクに係る底板の板厚データの収集を行っており、AEデータと板厚データの相関関係を分析し、そこから屋外貯蔵タンクにおける腐食・劣化評価手法の確立を目指しているところです。

AE波の発生とセンサーによる検出のイメージ

 第2節 危険物施設等における災害対策

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