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第2章 消防防災の組織と活動
(1)消防防災通信ネットワークの概要

ア 消防防災無線

消防防災無線は、消防庁と全都道府県を結ぶ通信網である。電話及びファクシミリによる相互通信のほか、消防庁からの一斉伝達が可能な通信網である。地上系は、国土交通省のマイクロ回線*1設備により整備・運用されており、このマイクロ回線設備については、順次IP化へ移行していくこととなっている。

*1 マイクロ回線:極めて波長の短い(周波数の高い)電波であるマイクロウェーブを使った通信回線。

また、衛星系は、衛星通信ネットワークにより運用中である。

イ 都道府県防災行政無線

都道府県防災行政無線は、都道府県内の関係機関を結ぶ無線網である。地上系又は衛星系により、都道府県とその出先機関、市町村、消防本部、指定地方行政機関、指定地方公共機関等を結ぶことで相互の情報収集・伝達に使用されており、全都道府県において整備・運用されている。機能は、都道府県によって異なるが、一般的には、電話及びファクシミリによる相互通信のほか、都道府県庁からの一斉伝達が可能となっている。

なお、地上系では、車両に設置された車載無線機等の移動体との通信も可能となっている。

また、都道府県では、防災情報システムの整備が進められており、都道府県防災行政無線をIP化に移行することで、市区町村・関係機関とのデータ通信を行っている。

ウ 市町村防災行政無線(同報系)

市町村防災行政無線(同報系)は、市町村庁舎と地域住民とを結ぶ無線網である。市町村は、公園や学校等に設置されたスピーカー(屋外拡声子局)や各世帯に設置された戸別受信機を活用し、地域住民に情報を迅速かつ確実に一斉伝達している。災害時には、気象予警報や避難勧告、全国瞬時警報システム(J‐ALERT)等の伝達に利用している。整備率(整備している市町村の割合)は76.1%(平成22年3月末現在)となっている。

エ 市町村防災行政無線(移動系・地域防災系)

市町村防災行政無線(移動系・地域防災系)は、市町村庁舎と市町村の車両、市町村内の防災機関(病院、電気、ガス、通信事業者等)、自主防災組織等を結ぶ通信網である。災害時における市区町村の災害・対策本部においては、交通・通信の途絶した孤立地域や防災関係機関等からの情報収集・伝達、広報車との連絡や交通・通信の途絶した孤立地域等に利用される。整備率(整備している市町村の割合)は移動系82.3%、地域防災系11.3%(平成22年3月末現在)となっており、これらについては順次デジタル化(市町村デジタル移動通信システム*2)への移行が進められている。

*2 市町村デジタル移動通信システム:市町村庁舎を統制局として、その出先機関、広報車、市町村内の防災機関を結ぶ、デジタル方式の無線システム。

オ 消防救急無線

消防救急無線は、消防本部(消防指令センター)と消防署、消防隊・救急隊を結ぶ通信網である。消防本部から消防隊・救急隊への指令、消防隊・救急隊からの消防本部への報告、火災現場における隊員への指令等に利用されており、消防活動の指揮命令を支え、消防活動の遂行に必要不可欠なものである。全国のすべての消防本部において運用されており、平成28年5月末までにデジタル方式に移行することとされている。

カ 衛星通信ネットワーク

衛星通信ネットワークは、衛星通信により、消防庁、都道府県、市町村及び防災関係機関を結ぶ全国的な通信網である。音声通信をはじめ、消防庁や都道府県による一斉指令、関係機関相互のデータ通信、映像伝送等の機能を有し、消防防災無線のバックアップ及び都道府県防災行政無線(衛星系)として位置付けられている。

また、ヘリコプターや高所監視カメラからの映像を消防庁、都道府県、消防本部等に伝送するために利用されている。通信回線は、通信衛星を利用しており、消防庁、都道府県、市町村、消防本部等に地球局が設置されているほか、被災地への車載局や可搬局の搬入により、災害発生時の機動的な情報収集・伝達体制の確保が可能である。現在、すべての都道府県において運用されている。

東海地震、東南海・南海地震又は首都直下地震が発生した場合には、被災地における災害応急対策の調整や被災情報の取りまとめを迅速かつ的確に実施するため、現地に政府の緊急災害現地対策本部が設置されることとなっている。

消防庁では、平成17年度には静岡県庁、平成19年度には東京都庁及び有明の丘基幹的広域防災拠点施設(東京都)にそれぞれ衛星通信ネットワークを活用した通信設備を整備した。

キ 映像伝送システム

映像伝送システムは、高所監視カメラや消防防災ヘリコプターに搭載されたカメラで撮影された映像情報を都道府県や消防本部(消防指令センター等)に伝送するとともに、衛星通信ネットワークを活用し、直ちに消防庁、他の地方公共団体等へも伝送が可能である(第2―9―3図)。

第2―9―3図 映像伝送システムの概要

これは、発災直後の被害の概況を把握するとともに、広域的な支援体制の早期確立を図る上で非常に有効なシステムである。

第2章 消防防災の組織と活動
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