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第1章 災害の現況と課題
(2) 南海トラフ地震対策

南海トラフ*1沿いの地域では、ここを震源域として100年から150年間隔で大規模地震が繰り返し発生しており、近年では、昭和19年(1944年)に昭和東南海地震、昭和21年(1946年)に昭和南海地震が発生している。東海地震の領域は発生から160年が経過しており、切迫性が指摘され、また、東南海・南海地震については前回地震から、既に60年以上が経過していることから、今世紀前半にも発生することが懸念されている(第1-6-2図)*2

*1 南海トラフ:駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側の海域及び土佐湾を経て日向灘沖までのフィリピン海プレート及びユーラシアプレートが接する海底の溝状の地形を形成する区域
*2 地震調査研究推進本部の地震調査委員会によると、マグニチュード8〜マグニチュード9クラスの南海トラフの地震が今後30年以内に発生する確率は、70%程度となっている。また、最大クラスの地震の発生頻度は、100〜200年の間隔で繰り返し起きている大地震に比べ、一桁以上低いとされている
第1-6-2図 東海地震と東南海・南海地震

平成23年8月に「南海トラフの巨大地震モデル検討会」が内閣府に設置され、科学的知見に基づき南海トラフの巨大地震対策を検討する際に規定すべき最大クラスの地震・津波の検討を進めることとされた。同モデル検討会は、同年12月に南海トラフの巨大地震モデルの想定震源域・想定津波波源域の設定の考え方などの「中間とりまとめ」を公表し、平成24年3月には、最大クラスの震度分布・津波高(50mメッシュ)の推計結果を第一次報告として公表した。続いて、同年8月に10mメッシュによる津波高及び浸水域等の推計結果を第二次報告として公表した。

一方、南海トラフ巨大地震に対する対策を検討するため、平成24年3月、中央防災会議「防災対策推進検討会議」の下に「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」が設置され、同年7月には、当面取り組むべき対策等を取りまとめた中間報告を、同年8月には、モデル検討会の10mメッシュによる津波高等の公表に合わせて、第一次被害想定(人的被害及び建物被害)を、また平成25年3月には、第二次被害想定(施設等の被害及び経済的な被害)を公表した。さらに、同年5月には、同ワーキンググループより、南海トラフ巨大地震の基本的方向、具体的に実施すべき対策、今後検討すべき主な課題などを示した最終報告が公表された。

こうした被害想定等の公表を受け、ハード・ソフト両面からの総合的な地震防災対策の推進を図るため、平成25年11月に「東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する法律」が「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」として改正がなされ、法律の対象地震が東南海・南海地震から南海トラフ地震に拡大された。

南海トラフ地震が発生した場合は著しい被害が発生する可能性があるため、「南海トラフ地震防災対策推進地域」として1都2府26県707市町村(平成26年3月28日現在)を指定し、また、推進地域のうち、津波避難対策を特別に強化すべき地域を「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」として1都13県139市町村(平成26年3月28日現在)を指定し、地震防災対策の強化が図られている。

また、同法に基づき、平成26年3月に、「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」が策定され、国の南海トラフ地震の地震防災対策の推進に関する基本的方針及び基本的な施策に関する事項、施策の具体的な目標及びその達成の期間、南海トラフ地震が発生した場合の災害応急対策の実施に関する基本的方針、指定行政機関、関係地方公共団体等が定める南海トラフ地震防災対策推進計画及び関係事業者等が定める南海トラフ地震防災対策計画の基本となるべき事項等が定められた。

第1章 災害の現況と課題
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