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第2章 消防防災の組織と活動
(7) 救急業務におけるICTの活用

いくつかの地方公共団体においては、タブレット型情報通信端末等を各救急自動車に搭載し、医療機関の受入可否情報を閲覧するとともに、搬送実績や傷病者に係る情報を入力・閲覧すること等により、円滑かつ適切な搬送・受入体制の確保や救急隊員の事務負担の軽減、救急活動の事後検証等に活用するといった、効果的な取組が実施されている。消防庁としても、こうした観点から、各地方公共団体が救急業務におけるICTの活用について検討していくことは重要と認識しており、平成20年度より実証検証を実施するなど、救急業務におけるICTの活用を推進している。

救急業務において活用されるICTの標準的な機能は、以下のように整理できる(第2-5-10図)。

救急業務において活用されるICTのイメージ

多くの先進事例で取り組まれている機能としては、以下の2種類がある。

<1>医療機関情報共有機能

医療機関が救急医療情報システム等に入力する受入可否情報(応需情報)を、端末上で確認することにより、実施基準に即した医療機関選定を支援する機能。

<2>搬送実績情報共有機能

救急隊が入力する搬送実績に係る情報(搬送時刻、受入れの可否等)を、救急隊と医療機関の間で共有することにより、医療機関選定を支援する機能。

また、いくつかの先進事例で取り組まれている機能としては、以下の4種類がある。

<3>傷病者情報共有機能

救急隊が入力する傷病者情報(画像情報等を含む。)を、救急隊と医療機関の間で共有することにより、医療機関側の受入体制の整備等を支援する機能。

<4>緊急度判定支援機能

救急隊が傷病者の観察により得られたバイタルサイン等を端末に入力することにより、緊急度の判定を支援する機能。

<5>情報出力機能(レポーティングシステム等)

救急隊が救急活動中に入力した情報を、救急活動記録票や統計資料等にデータ出力することにより、帰署後の救急隊員の事務負担を軽減し、業務の効率化を支援する機能。

<6>活動記録分析機能

救急隊が入力した活動記録のデータと、初診時のデータ等を突合・分析することにより、救急活動の質の向上に向けた事後検証等を支援する機能。

各都道府県におけるICTの導入状況*9は、平成25年度中までに、当該団体の全域で導入した団体が7団体、一部地域で導入した団体が9団体となっている。全国的にはいまだ半数を下回るものの、その数は着実に増加しており、各機能の効果についても、地方公共団体における検証等を通して、認知されているところである。また、救急業務においてICTを有効に活用する上で重要となる医療機関における応需情報の入力率・入力頻度の向上に向けた工夫策についても、いくつかの地方公共団体において応需情報項目の簡素化を図るなどの取組が行われている。さらに、ICTを導入した後、更なる機能追加等の改修をする場合のコスト低減策についても、今後の課題となるものと考えられる。

*9 活動中の救急隊が、タブレット型情報通信端末等を用いて、「医療機関情報共有機能」や「搬送実績情報共有機能」を使用可能であると、アンケート調査やヒアリングを通じて消防庁が把握している場合について、「導入済み」としている。
第2章 消防防災の組織と活動
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