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第2章 消防防災の組織と活動
(3) 電話による救急相談事業の推進

近年の救急出動件数の大幅な増加は、高齢化、核家族化の進行を背景とし、住民が救急要請すべきか自力受診すべきか迷った場合に119番通報するといったケースの増加が要因の一つであると考えられる。

こうした救急需要対策として、従来から一部の消防機関において実施されている受診可能な医療機関の情報提供や応急手当の指導等(救急相談)に加えて、医師や看護師等と連携した医学的に質の高い救急相談体制が求められている。

平成19年度に、東京都が「東京消防庁救急相談センター」を設置し、救急相談事業を開始していた中で、消防庁では、共通の短縮ダイヤル「#7119」により高度な救急相談窓口を設置する救急安心センターモデル事業を、平成21年度は愛知県、奈良県及び大阪市において、平成22年度には奈良県及び大阪府(大阪市のサービス提供範囲を大阪府全域に拡大)において実施した。

モデル事業実施地域においては、119番通報のうち緊急通報以外の通報件数の減少、救急医療機関への時間外受診者数の減少及び救急搬送件数における軽症者の割合の減少がみられた。また、救急相談の結果、緊急度が高いと判断された傷病者を救急搬送し、一命を取り留めた奏功事例が多数報告されている。

さらに消防庁では、平成23年度に救急安心センター事業の情報提供や普及啓発を図るため、札幌市において救急安心センター講演会を開催した。また、平成24年度の「緊急度判定体系実証検証事業」では、救急相談事業の実施が、緊急性の高い傷病者を選別し迅速な救急搬送に繋げる観点から、救急医療の入口における機能を十分に果たしうることが確認されるとともに、消防審議会答申においても、広域単位で実施する救急相談事業を国として支援していく必要があるとされた。

平成24年度の「緊急度判定体系実証検証事業」において救急安心センターの運用を開始した和歌山県田辺市は、実証検証事業の終了後も救急安心センターの運用を継続して実施している。平成25年10月からは札幌市が、平成26年4月からは北海道石狩市と新篠津村が、新たに救急安心センターの運用を開始した。

事業の導入を進めていく際には、消防機関や地域のメディカルコントロール協議会、衛生部局等、地域の救急医療に携わる関係者の理解と協力のもと、情報共有や連携体制を構築していくことが重要となる。消防庁としては、今後も、救急相談事業を実施する団体の取組を支援することとしている。

第2章 消防防災の組織と活動
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