目次へ戻る
第2章 消防防災の組織と活動
(6) 新型インフルエンザ等感染症対策

救急隊員は、常に各種病原体からの感染の危険性があり、また、救急隊員が感染した場合には、他の傷病者へ二次感染させるおそれがあることから、救急隊員の感染防止対策を確立することは、救急業務において極めて重要な課題である。

消防庁では、救急業務に関する消防職員の講習に救急用資器材の取扱いに関する科目を設置しているとともに、重症急性呼吸器症候群(SARS)等を含めた各種感染症の取扱いについて、感染防止用マスク、手袋、感染防止衣等を着用して傷病者の処置を行う共通の標準予防策等の徹底を、消防機関等に要請している。また、平成21年2月には「消防機関における新型インフルエンザ対策のための業務継続計画ガイドライン」を策定し、消防機関に業務継続計画の策定を促した。

さらに、平成24年4月27日には「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が成立し、病原性の高い新型インフルエンザや同様な危険性のある新感染症に対して、国民の生命・健康を保護し、国民生活・国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とした、新型インフルエンザ等の発生時における措置の法的根拠の整備が図られ、平成25年4月13日から施行された。また、同年6月7日には、同法第6条第4項の規定に基づき、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」が閣議決定された。

政府行動計画の趣旨を踏まえ、各地方公共団体において、病原性の高い新型インフルエンザ等の発生に備え、業務継続計画等の策定・見直しや、医療機関、衛生主管部局との連携体制について改めて検討・整理しておく必要がある。

また、本年度に西アフリカを中心に流行が続いているエボラ出血熱の対策については、内閣総理大臣が主宰する関係閣僚会議を中心として、政府一丸となって取り組んでいるところである。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)において、エボラ出血熱は一類感染症に指定されており、エボラ出血熱の患者(疑似症を含む。)として都道府県知事が入院を勧告した患者又は入院させた患者の特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関への移送は、都道府県知事(保健所設置市の場合は市長)が行う業務とされている。

しかし、救急業務として傷病者を搬送した後にその傷病者がエボラ出血熱に罹患していたと判明する可能性があり、その場合は救急隊員の健康管理や救急車の消毒等を徹底することが必要となる。

消防庁では、本年9月3日に消防本部に対し事務連絡を発出し、エボラ出血熱の発生状況について注意喚起するとともに、感染症患者を搬送した場合に必要となる対応について再確認を促した。さらに、厚生労働省から国内発生を想定した衛生主管部(局)における基本的な対応が示されたことを受け、消防機関における基本的な対応を通知し、救急要請時に発熱症状を訴えている者には、流行国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)への渡航歴の有無を確認し、過去1ヶ月以内の渡航歴があることが判明した場合は、エボラ出血熱の感染が疑われることから、二次感染の防止のため、本人に自宅待機を要請するとともに、直ちに保健所に連絡し、対応を保健所へ引き継ぐこと等、消防機関における基本的な対応を定めた。また、関係閣僚会議の開催を受け、消防庁としても?国内で感染が確認された場合の消防機関の対応に備えることなどを目的として、本年10月29日に消防庁エボラ出血熱緊急対策連絡会議を設置した。

さらに、現時点では保健所等の移送体制が十分に整っていない地域もあることから、厚生労働省から消防庁に対して保健所等が行う移送について消防機関による協力の要請があったため、消防庁は厚生労働省と協議を行った上で、保健所等に対する消防機関の協力のあり方について、本年11月28日に通知で示した。

第2章 消防防災の組織と活動
テキスト形式のファイルはこちら
前の項目に戻る     次の項目に進む