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第2章 消防防災の組織と活動
(3) 広域防災応援体制

ア 広域防災応援体制の確立

地方公共団体間等の広域防災応援に係る制度としては、消防組織法に基づく消防相互応援のほか、災害対策基本法に基づく地方公共団体の長等相互間の応援、地方防災会議の協議会の設置等がある。また、災害対策基本法においては、地方公共団体は相互応援に関する協定の締結に努めなければならないとされている。

一方、地方公共団体と国の機関等との間の広域防災応援に係る制度としては、災害対策基本法に基づく指定行政機関から地方公共団体に対する職員の派遣、自衛隊法に基づく都道府県知事等から防衛大臣等に対する部隊等の派遣の要請がある。自衛隊の災害派遣についてはこのほか、災害対策基本法に基づき市町村長が都道府県知事に対し、上記の要請をするよう求めることができる。さらに市町村長は、知事に対する要求ができない場合には、防衛大臣等に対して災害の状況等を通知することができる。

なお、平成24年に災害対策基本法が改正され、同法に基づき地方公共団体間で応援を求めることができる業務の範囲が、従来の応急措置から避難所運営支援、巡回健康相談、施設の修繕など応援対策業務全体に拡大されるとともに、応援等が円滑に行われ、又は、受けることができるよう、あらかじめ備えておくことや市町村の区域を越えた避難(広域一時滞在)に係る規定等が整備された。

イ 広域防災応援協定の締結

災害発生時において、広域防災応援を迅速かつ的確に実施するためには、関係機関とあらかじめ協議し協定を締結することなどにより、応援要請の手続、情報連絡体制、指揮体制等について具体的に定めておく必要がある。

都道府県間の広域防災応援については、阪神・淡路大震災以降、各都道府県で広域防災応援協定の締結又は既存協定の見直しが進められた。また、個別に締結している災害時の相互応援協定では対策が十分に実施できない大規模災害に備え、全国知事会で、全都道府県による応援協定が締結され、全国レベルの広域防災応援体制が整備された。東日本大震災においても、それに基づいた応援が実施されたが、東日本大震災での経験を踏まえ、全国知事会の応援協定の見直しが、平成24年5月になされた。

さらに、全国知事会では、危機管理・防災特別委員会に平成25年6月に設置された「広域・応援推進検討ワーキンググループ」において、大規模広域災害発生時における広域応援の今後の方向性について検討されている。

また、市町村でも、県内の統一応援協定や県境を超えた広域的な協定の締結など広域防災応援協定に積極的に取り組む傾向にあり、平成26年4月1日現在、広域防災応援協定を有する市町村数は1,697団体(97.4%)であり、このうち、他の都道府県の市町村と協定を有する市町村数は1,183団体(67.9%)となっている。

東日本大震災においては、市町村間の応援協定に基づく応援のほか、全国知事会の応援協定、指定都市市長会や中核市市長会による応援協定、総務省及び全国市長会・全国町村会の調整による応援などが実施された。

引き続き、応援の受入れ体制の整備や広域応援を含む防災訓練の実施、市町村の区域を越えた避難への備えを進めること等により、実効ある広域応援体制の整備を図っていく必要がある。

ウ 受援体制の整備

平成24年の災害対策基本法の改正により、都道府県地域防災計画又は市町村地域防災計画を定めるに当たっては、各防災機関が円滑に他の?を応援し、他の者から受援できるよう配慮することが規定された。

大規模災害発災時には、多数の団体等からの応援の申出がよせられ、膨大な応急対策業務と相まって、地方公共団体における混乱が予想される。多数の応援団体からの応援を効果的に活用するためには、平時から受援体制について検討し整理しておく必要がある。

第2章 消防防災の組織と活動
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