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第6章 消防防災の科学技術の研究・開発
2.火災原因調査等及び災害・事故への対応
(1) 火災原因調査及び危険物流出等の事故原因調査等

ア 火災原因調査及び危険物流出等の事故原因調査等の実施

消防防災の科学技術に関する専門的知見及び試験研究施設を有する消防研究センターは、消防庁長官の火災原因調査及び危険物流出等の事故原因調査(消防法第35条の3の2及び第16条の3の2)を実施することとされており、大規模あるいは特異な火災・危険物流出等の事故を中心に、全国各地においてその原因調査を実施している。また、消防本部への技術支援として、原因究明のための鑑識*1、鑑定*2、現地調査を消防本部の依頼を受け共同で実施している。

*1 鑑識:火災の原因判定のため具体的な事実関係を明らかにすること
*2 鑑定:科学的手法により、必要な試験及び実験を行い、火災の原因判定のための資料を得ること

平成25年4月以降に実施した火災原因調査等は第6-3表のとおりである。また、平成25年度に行った鑑識は66件、鑑定は43件である。

第6-3表 火災原因調査及び危険物流出等の事故原因調査の現地調査実施事案一覧(平成25年4月以降に調査を実施したもの)

主な原因調査は次のとおりである。

平成25年8月に京都府内の花火大会で発生した火災(死者3名、負傷者56名)においては、消防庁長官の自らの判断による火災原因調査を行った。

平成25年10月に福岡県内の有床診療所で発生し入院患者等が死傷した火災(死者10名、負傷者5名)においては、消防庁長官の自らの判断による火災原因調査を行った。

平成25年11月に千葉県内の廃油処理施設で発生した爆発火災(死者2名、負傷者15名)においては、消防本部からの要請を受けて、現場調査の技術的支援を行った。

平成26年1月に三重県内の化学工場で発生した熱交換器洗浄中の爆発火災(死者5名、負傷者12名)においては、消防本部から消防庁長官への要請に基づいて火災原因調査を行った。

イ 火災原因調査及び危険物流出等の事故原因調査の高度化に向けた取組

近年の火災・爆発事故は、グループホームや個室ビデオ店のような新しい使用形態の施設での火災やごみをリサイクルして燃料を製造する施設での火災、あるいは、機器の洗浄を行うなどの非定常作業時の火災、燃焼機器、自動車などの製品の火災など、複雑・多様化している。また、石油類等を貯蔵し、取り扱う危険物施設での危険物流出等の事故や火災発生件数は増加傾向にあり、危険物施設の安全対策上問題となっている。

このような火災・事故を詳細に調査し、原因を究明することは、火災・事故の予防対策を考える上で必要不可欠であり、そのためには、調査用資機材の高度化や科学技術の高度利用が必要である。

このため消防研究センターでは、走査型電子顕微鏡、デジタルマイクロスコープ、X線透過装置、ガスクロマトグラフ質量分析計、フーリエ変換型赤外分光光度計、X線回折装置などの調査用の分析機器を保有し、観察する試料や状況に応じて使用する機器を選択し、火災や危険物流出等事故の原因調査を行っている。

さらに、消防研究センターでは、高度な分析機器を積載した機動鑑識車を整備し、火災や危険物流出等事故の現場で迅速に高度な調査活動が行えるような体制をとっている。

また、消防法改正により、平成25年4月から、消防本部は火災の原因調査のため火災の原因であると疑われる製品の製造業者等に対して資料提出等を命ずることができることとなった。消防本部の依頼を受け消防研究センターで実施する鑑識・鑑定では、電気用品、燃焼機器、自動車などの製品に関するものが増えており、これらの火災原因調査に関する消防本部からの問い合わせにも随時対応しており、消防本部の火災原因調査の支援のため、設備や体制の整備を図っていくこととしている。

第6章 消防防災の科学技術の研究・開発
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