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特集3 最近の大規模自然災害・火災爆発事故への対応及びこれを踏まえた消防防災体制の整備
(3) 災害を踏まえた地方公共団体の危機管理体制及び訓練の充実

伊豆大島で発生した土砂災害の報道においては、市町村の初動対応における課題について指摘がなされた。

自然災害等の危機管理事態発生時において、地方公共団体、とりわけ市町村の対応の適否は、時には住民の命に直結することになる。

市町村を含めた地方公共団体の総合的な危機管理体制については、平成25年度に消防庁において調査を実施した(特集3-1図)。

特集3-1図 地方公共団体における総合的な危機管理体制に関する調査

これにより、市町村の危機対応の能力には、市町村間で大きな差があることが判明したところである。

これらのことを踏まえ、消防庁では、平成26年度から新たに市町村長を対象とした防災・危機管理トップセミナーを実施するのをはじめ、防災・危機管理担当者を対象とした研修を強化するなど、市町村に対する支援を充実させることとしている。

ア 防災・危機管理トップセミナーの開催

市町村の危機対応の能力の最も大きな決定要因が、危機が発生した場合に陣頭指揮をとることが求められる市町村長のリーダーシップであることを踏まえ、消防庁では、平成26年度から新たに、市町村長を対象とした防災・危機管理トップセミナーを実施している。

平成26年6月4日には、全国より約190人の市長参加の下に、内閣府とともに「全国防災・危機管理トップセミナー」を開催した。地域の防災について訓練を重ねることや、非常時にはトップである市長が全責任を負う覚悟で陣頭指揮をとることが重要であることなどを周知したほか、過去の災害に際し、陣頭指揮に当たった経験を持つ市長等を招き、講演を行った。

防災・危機管理トップセミナーの開催に当たっては、災害等の危機事態において、市町村長の心構えやどのような行動をとるべきかなどを「市町村長の危機管理の要諦」(特集3-2図)として、テキストにまとめている。これまでの市町村長の災害対応における成功した事例、失敗した事例とともに、災害を経験した市町村長の体験談を多く盛り込んだ内容となっている。

特集3-2図 市町村長による危機管理の要諦

また、都道府県においても、市町村長を対象とした「都道府県防災・危機管理トップセミナー」を、福井県を皮切りに順次開催している。各都道府県は、市長会及び町村会の会議等に併せて開催するなど、関係機関と連携を図りながら実施している。

イ 防災・危機管理研修会の実施

危機事態発生時において、地方公共団体の職員は普段の業務とは異なる危機対応業務を、時間的な猶予がない中で処理することを余儀なくされる。危機対応の経験がない職員は、研修を繰り返すことによって、危機への意識を高め、対応能力を高めていくことが重要である。

このため、消防庁では、地方公共団体における危機管理担当職員等の危機対応の能力の向上を図るため、平成26年度より、全国各地において、「防災・危機管理研修会」を開催し、都道府県及び市町村の危機管理担当職員等が防災・危機管理の基礎知識等を速やかに習得できるよう取り組んでいる。

ウ 実践的な防災訓練の普及

危機が発生した時に適切な対応ができるには、日ごろから過酷な事態における対応について議論を重ねるとともに、実践的な訓練を定期的に行うことが重要である。

消防庁では、実践的な防災訓練の普及に向け、地方公共団体の行う防災訓練について、他の地方公共団体のモデルとなる事例の調査を行った。地方公共団体等に対して情報提供を行うことにより、防災訓練全体の底上げを図ることを目的とし、平成26年3月に報告書をまとめている。報告書は、モデルとなる防災訓練を実施している20の市区町村及び地域へのヒアリングに基づき、実践的な防災訓練がもたらす効果や実施に向けた留意点等をまとめた内容となっている(特集3-3図、特集3-4図)。

特集3-3図 実践的な防災訓練がもたらす効果
特集3-4図 実践的な防災訓練の実施に向けて
特集3 最近の大規模自然災害・火災爆発事故への対応及びこれを踏まえた消防防災体制の整備
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