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第2章 消防防災の組織と活動
(2) 広域化の背景と推進の枠組み

ア 広域化の背景

小規模な消防本部においては、一般的に財政基盤や人員、施設、装備等の面で十分でなく、高度な消防サービスの提供に課題がある場合が多いことから、消防庁では、平成6年(1994年)以降、市町村の消防の広域化を積極的に推進してきたが、いまだ小規模消防本部が全体の6割を占める状況にある。

また、日本の総人口は、平成17年以降減少傾向にあり、都市部とその他の地域により差はあるが、一般的に各消防本部の管轄人口も減少すると考えられており、さらに、消防団員の担い手不足の問題も懸念されている。このような現状から、消防の体制の一層の整備・確立を図るために市町村の消防の広域化を推進することが必要と考えられてきた。

イ 平成18年の消防組織法の改正

平成18年に消防組織法の一部改正法が成立し、消防の広域化の理念及び定義、基本指針に関すること、推進計画及び都道府県知事の関与等に関すること、広域消防運営計画に関すること、国の援助等に関すること等が規定された(第2-2-3図)。

第2-2-3図 改正後の消防組織法による市町村の消防の広域化の推進スキーム

消防組織法では、市町村の消防の広域化とは、「二以上の市町村が消防事務(消防団の事務を除く。以下同じ。)を共同して処理することとすること又は市町村が他の市町村に消防事務を委託することをいう。」(消防組織法第31条)と定義され、広域化は「消防の体制の整備及び確立を図ることを旨として、行わなければならない」(同条)こととされている。

広域化の具体的な方法としては、消防事務を共同処理する一部事務組合又は広域連合の設置、既存の組合の構成市町村の増加、消防事務組合以外の事務を処理する組合の事務に消防事務を追加すること及び消防事務を他の市町村に委託することが考えられる。

ウ 市町村の消防の広域化に関する基本指針等

(ア) 基本指針

消防庁では、改正後の消防組織法第32条第1項に基づき、平成18年7月に「市町村の消防の広域化に関する基本指針」(以下、この節において「基本指針」という。)を定めた。この中で、広域化を推進する期間については、平成19年度中には都道府県において推進計画*1を定め、推進計画策定後5年度以内(平成24年度まで)を目途に広域化を実現することとされた。

(イ) 基本指針の改正

東日本大震災での教訓や類例をみない大規模災害等の発生、また、今後の災害リスクの高まり、さらに将来の日本の総人口が減少することが予想されていることを踏まえると、国、都道府県及び市町村が一体となった消防の広域化の推進による小規模消防本部の体制強化がこれまで以上に必要となる。このことから、平成25年4月1日に基本指針を改正し、広域化を着実に推進することとした。改正概要は次のとおり。

なお、広域化により指定都市と同等以上の規模を備える消防本部が新設されることから、平成25年4月1日に消防吏員の階級の基準(昭和37年消防庁告示第6号)を改正し、管轄人口70万以上の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)の消防長についても消防司監の階級を用いることができることとした。

(ウ) 期限内の取組に向けて

消防庁では、平成30年4月1日の消防の広域化推進期限に向け、平成27年4月27日の都道府県知事宛消防庁次長通知により、次のとおり都道府県のより積極的な取組を要請している。

*1 推進計画:平成23年5月に「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」が施行され、都道府県による推進計画の策定は努力義務化された。
*2 消防広域化推進アドバイザー:既に広域化を実現した消防本部や関係市町村の幹部職員等で、広域化の推進に必要な知識・経験を持つ者の中から、消防庁が選定し登録する。都道府県等の要望に応じて派遣され支援活動を行う。
第2章 消防防災の組織と活動
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