目次へ戻る
第2章 消防防災の組織と活動
(2) 消防団員の処遇改善

消防団員は、大規模災害時においては昼夜を分かたず多岐にわたり活動し、また、平常時においても地域に密着した活動を行っており、消防団員の処遇については、十分に配慮し改善していく必要がある。

ア 報酬・出動手当

市町村では、条例に基づき消防団員に対し、その労苦に報いるための報酬及び出動した場合の費用弁償としての出動手当を支給している。支給額や支給方法は、地域事情により、必ずしも同一ではないが、報酬等に対する地方交付税措置が講じられていることから、特に支給額の低い市町村においては、当該措置額を踏まえた水準となるよう、引上げ等の適正化を図る必要がある。出動手当の中でも地震、風水害などの長時間(長期間)の活動を余儀なくされる場合の手当について、充実を図るべきと考えられる。

なお、平成27年度の消防団員報酬等の地方交付税算入額は、第2-3-10表のとおりである。

第2-3-10表 消防団員報酬等の地方交付税算入額

イ 公務災害補償

消防活動は、しばしば危険な状況の下で遂行されるため、消防団員が公務により死傷する場合もある(第2-3-2表)。このため消防組織法の規定により、市町村は、政令で定める基準に従って、条例で定めるところにより、その消防団員又はその者の遺族がこれらの原因によって受ける損害を補償しなければならないとされており、他の公務災害補償制度に準じて療養補償、休業補償、傷病補償年金、障害補償、介護補償、遺族補償及び葬祭補償の制度が設けられている。なお、療養補償及び介護補償を除く各種補償の額の算定に当たっては、政令で補償基礎額が定められている(第2-3-11表)。

第2-3-11表 補償基礎額改定状況

CSVファイルはこちら

また、消防団員がその生命又は身体に対し高度の危険が予測される状況の下において消防活動に従事し、そのため公務災害を受けた場合には、特殊公務災害補償として遺族補償等について100分の50以内を加算することとされている。

火災、風水害等においては民間の消防協力者等が死傷する場合もある(第2-3-12表)。この消防協力者等に対しては、消防法等の規定に基づき、市町村が条例で定めるところにより、災害補償を行うこととされている。消防協力者等の災害補償内容は、補償基礎額が収入日額を勘案して定められること以外は消防団員に対するものと同様である。

第2-3-12表 消防協力者等の死傷者数の推移

CSVファイルはこちら

ウ 福祉事業

公務上の災害を受けた消防団員又はその遺族の福祉に関して必要な事業は市町村が行うものであるが、消防団員等公務災害補償責任共済契約を締結している市町村については、消防基金又は指定法人がこれら市町村に代わって行うこととなっている。

福祉に関して必要な事業の内容は、外科後処置、補装具、リハビリテーション、療養生活の援護、介護の援護及び就学の援護等となっている。

エ 退職報償金

非常勤の消防団員が退職した場合、市町村は当該消防団員の階級及び勤務年数に応じ、条例で定めるところにより退職報償金を支給することとされている。なお、条例(例)によれば、その額は勤務年数5年以上10年未満の団員で20万円、勤務年数30年以上の団長で97万9,000円となっている(第2-3-13表)。

第2-3-13表 退職報償金支給額

CSVファイルはこちら

オ 公務災害補償等の共済制度

昭和31年(1956年)に、市町村の支給責任の共済制度として、消防基金が設けられ、統一的な損害補償制度が確立された。その後、昭和39年(1964年)には、退職報償金の支払制度が、昭和47年(1972年)には、福祉事業の制度がそれぞれ確立した。

消防基金の平成27年度の消防団員等に対する公務災害補償費の支払状況については、延べ2,254人に対し、18億1,992万円となっている(第2-3-14表)。また、福祉事業の支給額は、延べ989人に対し4億6,680万円となっている。

第2-3-14表 消防基金の公務災害補償費の支払状況

CSVファイルはこちら

消防基金の平成27年度の退職報償金の支払額は、4万5,278人に対し約176億円となっている。

カ 消防団員等が災害活動等で使用した自家用車に損害が生じた場合の見舞金の支給

消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律が改正され、平成14年度から、消防基金は、消防団員等が災害活動で使用した自家用車に損害が生じた場合に、見舞金(上限10万円)を支給する事業を実施している。平成27年度の支払状況は、延べ84人に対し699万円となっている。

キ 乙種消防設備士及び丙種危険物取扱者資格の取得に係る特例

消防団の活性化に資するとともに、消防団員が新たに取得した資格を活用し、更に高度な消防団活動を行える環境の整備を目的として、消防団員に対する乙種消防設備士試験及び丙種危険物取扱者試験に係る科目の一部を免除する特例が創設された(平成14年7月)。

消防設備士(乙種第5類・第6類)に関しては消防団員歴5年以上で消防学校の専科教育の機関科を修了した者が、危険物取扱者(丙種)に関しては消防団員歴5年以上で消防学校の基礎教育又は専科教育の警防科を修了した者が、それぞれ適用対象とされている。

第2章 消防防災の組織と活動
テキスト形式のファイルはこちら
前の項目に戻る     次の項目に進む