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第2章 消防防災の組織と活動
(5) 一般市民に対する応急手当の普及

現場到着所要時間(119番通報を受けてから救急隊が現場に到着するまでに要した時間)は、平成27年中の平均では8.6分となっており、この間に、バイスタンダー*10による応急手当が適切に実施されることで、大きな救命効果が期待される。したがって、一般市民の間に応急手当の知識と技術が広く普及するよう、より一層取り組んでいくことが重要である。現在、特に心肺機能停止状態に陥った傷病者を救命するために必要な救命処置(心肺蘇生と自動体外式除細動器(以下「AED*11」という。)の使用)の技術習得を目的として、住民体験型の普及啓発活動が推進されている。特に平成16年7月には、「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について」(厚生労働省医政局長通知)が発出され、非医療従事者についてもAEDを使用することが可能となり、10年以上経った現在では、一般市民がAEDを使用できることは認知されている。

消防庁では、「応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱」により、心肺蘇生法等の実技指導を中心とした住民に対する救命講習の実施や応急手当指導者の養成、公衆の出入りする場所・事業所に勤務する管理者・従業員を対象にした応急手当の普及啓発及び学校教育の現場における応急手当の普及啓発活動を行っている。全国の消防本部における平成27年中の救命講習受講者数は144万98人で、心肺機能停止傷病者への住民による応急手当の実施率は48.1%に上昇する(前年47.2%)など、消防機関は応急手当普及啓発の担い手としての主要な役割を果たしている。

また、平成23年度から、より専門性を高めつつ受講機会の拡大等を図るため、主に小児・乳児・新生児を対象とした普通救命講習IIIや住民に対する応急手当の導入講習(「救命入門コース」)、e-ラーニングを用いた分割型の救命講習を新たに追加した。

平成28年度からは、教員職にある者の応急手当普及員養成講習について、講習時間を短縮し実施することも可能としたり、他の地域で応急手当普及員講習等を修了した者の取り扱いについて、取得地域以外で指導できない不利益がないように当該消防本部でも認定したものとみなしても差し支えないとするなど、国民のニーズに合わせた取組も進めている。

主に、市民が行う一次救命処置については、一般財団法人日本救急医療財団心肺蘇生法委員会が心肺蘇生の内容の国際標準化を目的として5年に1度見直している「救急蘇生法の指針2015(市民用)」に基づく内容となっている。また、昭和57年に制定された「救急の日」(9月9日)及びこの日を含む一週間の「救急医療週間」を中心に、全国の消防機関では応急手当講習会や救急フェア等を開催し、一般市民に対する応急手当の普及啓発活動に努めるとともに、応急手当指導員等の養成や応急手当普及啓発用資機材の整備を推進している。

*10 バイスタンダー(bystander):救急現場に居合わせた人(発見者、同伴者等)のことで、適切な処置が出来る人員が到着するまでの間に、救命のための心肺蘇生法等の応急手当を行う人員のこと。
*11 AED(Automated External Defibrillator:自動体外式除細動器):心室細動の際に機器が自動的に解析を行い、必要に応じて電気的なショック(除細動)を与え、心臓の働きを戻すことを試みる医療機器。薬事法上の「半自動除細動器」(広義のAED)には、非医療従事者向けAED(PAD:Public Access Defibrillator)及び医療従事者向けAED(半自動式AED)が含まれる。救急隊は医療従事者向けのAEDを使用する。
第2章 消防防災の組織と活動
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