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第2章 消防防災の組織と活動
(2) 緊急消防援助隊の編成及び出動計画等

緊急消防援助隊の編成及び出動計画等については、総務大臣が定める基本計画に定められているが、その概要は以下のとおりである。

ア 緊急消防援助隊の編成

緊急消防援助隊は、都道府県大隊並びに特定の目的で編成され活動する指揮支援部隊、統合機動部隊及びエネルギー・産業基盤災害即応部隊(ドラゴンハイパー・コマンドユニット)により編成され、被災地の市町村長の指揮の下で活動する。

都道府県大隊は、都道府県内の消防本部において登録されている各隊のうち、被災地への応援に必要な隊をもって構成される。

指揮支援部隊は、東京消防庁及び20の政令指定都市の消防本部により編成され、被災市町村にヘリコプター等で緊急に赴き、災害に関する情報を収集するとともに、被災地における緊急消防援助隊に係る指揮が円滑に行われるよう、当該市町村長の指揮活動を支援する。

統合機動部隊は、迅速に先遣出動し、緊急度の高い消防活動及び後続隊の活動のための情報収集を行う部隊であり、ドラゴンハイパー・コマンドユニットは、石油コンビナート・化学プラント等の特殊災害対応に特化した部隊である。なお、緊急消防援助隊を構成する各小隊の任務は第2-8-4図のとおりである。

第2-8-4図 緊急消防援助隊の部隊編成

イ 出動計画

(ア) 基本的な出動計画

大規模災害等の発災に際し、消防庁長官は情報収集に努めるとともに、被災都道府県知事等との密接な連携を図り、緊急消防援助隊の出動の要否を判断し、消防組織法第44条の規定に基づき、出動の求め又は指示の措置をとることとされている。この場合において迅速かつ的確な出動が可能となるよう、あらかじめ出動計画が定められている。

具体的には、災害発生都道府県ごとに、その隣接都道府県を中心に応援出動する都道府県大隊を「第一次出動都道府県大隊」とし、災害の規模により更に応援を行う都道府県大隊を「出動準備都道府県大隊」として指定している。

(イ) 大規模地震発生時における迅速出動基準

大規模地震時には、通信インフラ等の障害発生や全体の被害状況把握に相当の時間を要することなどを踏まえ、緊急消防援助隊が被災地に迅速に出動して、消火・救助・救急活動等により人命救助を効果的に行うことができるようにする必要がある。

このため「消防組織法第44条に基づく緊急消防援助隊の出動の求め」の準備行為を、消防庁長官が全国の都道府県知事及び市町村長にあらかじめ行っておき、大規模地震の発生と同時に出動することなどを内容とする「大規模地震における緊急消防援助隊の迅速出動に関する実施要綱」を平成20年7月に策定した。なお、平成27年3月、同実施要綱は「緊急消防援助隊の応援等の要請等に関する要綱」に規定した。

(ウ) 東海地震等における出動計画

東海地震、東南海・南海地震、南海トラフ地震、首都直下地震等の大規模地震については、複数の都道府県に及ぶ著しい地震被害が想定され、第一次出動都道府県大隊及び出動準備都道府県大隊だけでは消防力が不足すると考えられることから、全国的規模での緊急消防援助隊の出動を行うこととしている。

そのため、東海地震、東南海・南海地震、南海トラフ地震及び首都直下地震を想定して、中央防災会議における対応方針・被害想定等を踏まえ、それぞれの発災時における緊急消防援助隊運用方針やアクションプランを策定している。

例えば、南海トラフ地震の場合、平成28年3月に策定した南海トラフ地震における緊急消防援助隊アクションプランにおいて、被災の状況等を踏まえ、あらかじめ作成した4パターンの応援編成計画に基づき、重点受援県に指定されている10県以外の37都道府県の応援先を決定し、応援可能な全ての緊急消防援助隊を一斉に迅速投入することとしている(第2-8-5図)。

第2-8-5図 緊急消防援助隊の基本的な出動とアクションプラン

また、首都直下地震における運用方針及びアクションプランについては、平成25年11月に首都直下地震対策特別措置法が公布されたこと等を受け、見直しを行っている。

(エ) 都道府県等における応援計画

各都道府県は、当該都道府県内の緊急消防援助隊の登録状況を踏まえて、都道府県大隊等の編成、集結場所及び情報連絡体制等、緊急消防援助隊が迅速に被災地に出動するに当たって必要な事項を都道府県内の消防機関と協議の上、「緊急消防援助隊応援等実施計画」を策定している。

また、各消防本部についても、同様に迅速に被災地へ緊急消防援助隊が出動するため、都道府県が策定する応援計画等の内容と整合性を図りつつ応援計画を策定する必要がある。

ウ 応援要請等

平成26年に発生した災害の教訓等を踏まえ、平成27年3月、「緊急消防援助隊運用要綱」を見直し、「緊急消防援助隊の応援等の要請等に関する要綱」及び「緊急消防援助隊の運用に関する要綱」により、以下の内容を規定した。

(ア) 迅速な応援要請

大規模災害が発生した場合、都道府県知事が、迅速に応援等の要請ができるよう、詳細な災害の状況が迅速に把握できない場合であっても、甚大な被害に拡大することが見込まれ、緊急消防援助隊の応援等が必要であると判断したときは、応援等の要請を行うこととした。

また、これまで都道府県知事からの応援等の要請は、様式に基づいて書面により行うこととしていたが、応援等が必要である旨を電話により行うこととした。さらに、都道府県知事が自衛隊の災害派遣要請を行う際には、同時に、緊急消防援助隊の応援等の必要性についても検討することとした。

(イ) 関係機関との連携

都道府県レベルにおける関係機関(自衛隊、警察、海上保安庁、DMAT等)との連携を強化するため、消防応援活動調整本部は、都道府県災害対策本部に加え、政府現地対策本部及び関係機関と緊密な連携を図ることができる場所に設置することとした。

また、市町村レベルでは、関係機関との連携を強化するため、指揮支援本部は、市町村災害対策本部及び指揮本部(被災地の消防本部に設置)と緊密な連携を図ることができる場所に設置することとし、必要に応じて指揮支援本部長の判断により市町村災害対策本部又は指揮本部へ隊員を派遣することとした。

エ 受援計画

各都道府県は、自らが被災地となる場合を想定して、平時から調整本部、航空運用調整班の運営方法をはじめ、進出拠点、宿営場所及び燃料補給基地等、緊急消防援助隊の受入れに当たって必要な事項を都道府県内の消防機関と協議の上、「緊急消防援助隊受援計画」を策定している。特に、大規模災害発生時には、消防、警察、海上保安庁、自衛隊、ドクターヘリ等、各機関の多数の航空機が被災都道府県への応援のため、集結することが想定されることから、都道府県災害対策本部内に航空運用調整班を設け、安全かつ円滑な航空運用調整を図ることとしている。

また、各消防本部についても、同様に自らの地域において緊急消防援助隊を受入れるため、都道府県が策定する受援計画及び地域防災計画の内容と整合性を図りつつ受援計画を策定する必要がある。

第2章 消防防災の組織と活動
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