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第2章 消防防災の組織と活動
(4) 緊急消防援助隊の活動

ア 平成7年から平成28年10月末までの出動状況

平成7年(1995年)に創設された緊急消防援助隊は、平成8年(1996年)12月に新潟県・長野県の県境付近で発生した蒲原沢土石流災害への出動を皮切りに、平成16年4月の改正消防組織法施行までの間、合計10回出動した。

以降、平成16年新潟県中越地震、平成17年JR西日本福知山線列車事故、平成20年岩手・宮城内陸地震、平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震等の大規模災害に出動し多くの人命救助を行うなど、平成28年11月までの間に合計22回出動した(第2-8-5表)。

第2-8-5表 緊急消防援助隊の出動実績(1)
第2-8-5表 緊急消防援助隊の出動実績(2)
第2-8-5表 緊急消防援助隊の出動実績(3)
第2-8-5表 緊急消防援助隊の出動実績(4)

イ 最近の活動状況

(ア) 東日本大震災での活動

平成23年3月11日午後2時46分、三陸沖を震源とする平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0、最大震度7)が発生した。地震発生直後から、法制化以降初めてとなる消防組織法第44条第5項に基づく消防庁長官の指示により緊急消防援助隊が出動し、余震等への対応も含め、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県、新潟県、長野県及び静岡県の8県において応援活動を実施した。活動が長期に及んだ岩手県、宮城県及び福島県においては、発災直後の降雪といった天候不良、山積するがれきが行く手を阻む厳しい環境下において、大きな余震や津波への警戒を続けながら地元消防や関係機関との連携の下、消防活動に従事した。福島第一原子力発電所における事故対応、発災9日後の奇跡的な倒壊家屋からの人命救出など、日本の消防活動史に残る懸命の応援活動も見られたところであり、地元消防本部等と協力したものを含め救助者数は5,064人に上った。最終的には、前述の主たる被災3県を除く全国44都道府県から緊急消防援助隊が出動し、6月6日までの88日間で、総派遣人員3万684人、総派遣部隊数8,854隊に上った。

(イ) 平成25年中の活動

10月16日、台風26号の記録的大雨(24時間824ミリ)により、伊豆大島(東京都大島町)で大規模な土石流が発生した。

発災後、東京都知事の要請を受け消防組織法に基づき、消防庁長官から1都4県の緊急消防援助隊に出動を求めた。緊急消防援助隊は、活動終了の31日までの16日間で117隊、518人が出動し、現地において、地元の大島町消防本部、大島町消防団、都内応援の東京消防庁と一体となって、多数の倒壊家屋や土砂からの救助活動を展開した。

今回の派遣は、離島における大規模災害に緊急消防援助隊が出動した初めての事例であり、部隊や車両の輸送に大きな困難があったが、自衛隊と連携し、輸送機(C-1及びC-130H)による緊急輸送(隊員57人、車両13台)を行い、救助活動を実施した。

(ウ) 平成26年中の活動

7月30日から8月26日にかけ全国各地で大雨が発生した(「平成26年8月豪雨」)。8月19日から20日明け方にかけては、広島県広島市を中心に猛烈な雨となり、広島県広島市安佐北区、安佐南区等において166箇所で土砂災害が発生した。

発災後、広島県知事からの要請に基づき、消防庁長官から1府3県に対して緊急消防援助隊の出動を求め、さらに、21日には救助体制を強化するため、新たに3県に対して緊急消防援助隊の出動を求めた。緊急消防援助隊は、活動終了の9月5日までの17日間で1府6県から399隊1,296人が出動し、地元の広島市消防局及び市内消防団をはじめ、県内応援消防本部、県内消防団、警察、自衛隊及び国土交通省(TEC-FORCE)等と一体となって、消防応援活動を展開した。また、津波・大規模風水害対策車両、重機及び無線中継車等の特殊車両が多数出動し、それぞれ、泥ねい地における救助活動、道路啓開、がれき撤去、迅速な情報収集等を行った。

9月27日11時52分頃、御嶽山で噴火が発生した。

発災後、長野県知事からの要請に基づき、消防庁長官から1都3県に対して緊急消防援助隊の出動を求め、さらに、10月14日には捜索活動の体制強化を図るため、新たに2県に対して緊急消防援助隊の出動を求めた。緊急消防援助隊は、活動終了の17日までの21日間で1都5県から547隊2,171人が出動し、登山道が急峻な上、粘土質となった火山灰等は足場が悪く、さらに火山性ガスが発生した場合には緊急退避を余儀なくされる等、標高3,000メートルの厳しい活動環境の下で地元の木曽広域消防本部及び消防団をはじめ、県内応援消防本部、警察及び自衛隊等と一体となって、消防応援活動を展開した。

11月22日22時8分頃、長野県北部を震源とする長野県神城断層地震(マグニチュード6.7、最大震度6弱)が発生した。

発災後、長野県知事の要請に基づき、消防庁長官から1都5県に対して緊急消防援助隊の出動を求めた。緊急消防援助隊は、22隊104人が出動し、情報収集活動及び倒壊家屋が発生した地域において安否確認活動等を行った。なお、緊急消防援助隊は、23日14時15分、長野県知事の意向を受け、今後の余震に備え、各派遣元の消防本部待機とし、30日14時の解除をもって活動を終了した。

(エ) 平成27年中の活動

5月29日9時59分頃、鹿児島県口永良部島で爆発的噴火が発生した。

発災後、鹿児島県知事の要請に基づき、消防庁長官から3県に対して緊急消防援助隊の出動を求めた。緊急消防援助隊は、航空隊を中心に4隊22人が出動し、島民の避難支援をはじめ、情報収集活動及び指揮支援活動を行った。さらに、緊急消防援助隊の活動終了後においても近隣県及び市に対して協力を求め、島民の一時帰島時における迅速な広域航空消防応援を確保した。

9月9日から11日にかけ、台風18号から変わった低気圧に向けて南から流れ込む湿った風と、日本の東海上を北上していた台風17号から流れ込む湿った風の影響により、多数の線状降水帯が次々と発生し、関東地方と東北地方では記録的な大雨となった(平成27年9月関東・東北豪雨)。

発災後、茨城県知事からの要請に基づき、消防庁長官から1都1県に、その後、3県に対して緊急消防援助隊の出動を求めた。さらに、宮城県知事からの要請を受け1県に対して緊急消防援助隊の出動を求めたが、宮城県の被害が収束に向かい、茨城県の被害が拡大していることから、宮城県へ出動途上の県大隊には、応援先を茨城県常総市に変更した。緊急消防援助隊は活動終了の17日までの8日間で255隊、1,001人が出動し、地元の常総地方広域市町村圏事務組合消防本部、茨城西南地方広域市町村圏事務組合消防本部や消防団をはじめ、県内応援消防本部及び警察、自衛隊、海上保安庁、DMAT等関係機関と一体となって、水陸両用バギーや救命ボート等により住宅に孤立した住民等の救助活動を実施した。さらに、急流のため陸上からの救助が困難な場合は、消防防災ヘリコプターにより上空から救助活動を実施した。茨城県では、緊急消防援助隊が786人を救助した(うち、ヘリコプターによる救助272人)。

(オ) 平成28年中の活動

4月14日21時26分、熊本県熊本地方を震源とする地震(マグニチュード6.5、最大震度7)及び16日1時25分、熊本県熊本地方を震源とする地震(マグニチュード7.3、最大震度7)が発生した。

熊本県知事の要請に基づき、消防庁長官から4月14日21時26分の地震発生後、10県に、4月16日1時25分の地震発生後、更に、1都2府7県に対して緊急消防援助隊の出動を求めた。緊急消防援助隊は、活動終了の27日までの14日間で1,644隊5,497人が出動した。陸上隊は地元消防本部や消防団、警察、自衛隊、国土交通省、DMAT等と連携し、市街地、住宅街及び土砂埋没現場で捜索救助を行うとともに、救急車による転院搬送や傷病者の救急搬送を実施した。また航空隊は、ヘリテレ等を活用した情報収集、ホイスト等による人命救助及び救急搬送を実施した。熊本県内において86人を救助、388人を救急搬送した。

8月30日、大型で強い台風第10号は、暴風域を伴ったまま、岩手県大船渡市付近に上陸した後、東北地方を通過し、31日には日本海で温帯低気圧に変わったが、この影響により、東北地方から北海道地方を中心に大雨となり、河川の氾濫等による甚大な被害が発生し、さらに道路の損壊等による住民の孤立も多数発生した。

発災後、岩手県知事からの要請に基づき、消防庁長官から3県に対して広域航空消防応援に基づく防災ヘリコプターの出動を要請した。防災ヘリコプター3機(3隊20人)が出動し、久慈市及び岩泉町において、救助活動及び情報収集活動を実施した。その後、岩手県知事からの要請に基づき、消防庁長官から1都5県に対して緊急消防援助隊の出動を求めた。先に広域航空消防応援に基づき出動していた防災ヘリコプター3機についても緊急消防援助隊の出動に切り替えた。緊急消防援助隊は、9月9日までの10日間で257隊1,044人が出動し、陸上隊は、久慈市及び岩泉町において、地元消防機関、県内応援隊、警察及び自衛隊と活動地域を分担するなど、関係機関が連携した救助活動を展開した。活動に当たっては、無償使用制度により配備された重機や水陸両用バギーも活用した。また、航空隊は、孤立地域が多数発生していたため、ヘリコプターによる上空からの救助活動を実施し、陸路により進出が困難な地域での活動に際しては、ヘリコプターによる隊員の空路搬送も行った。広域航空消防応援により救助された2人も含め、岩手県内において43人を救助した。

第2章 消防防災の組織と活動
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