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平成15年7月30日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成15年(ネ)第1055号動産引渡等請求控訴事件
(原審・神戸地方裁判所平成14年(ワ)第2729号)
口頭弁論終結日 平成15年6月4目

判決

控訴人

「A」     

こと

被控訴人
同代表者代表取締役
同訴訟代理人弁護士

「B」

 

主文
   本件控訴を棄却する。
   控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由
第1    控訴人の申立て
   原判決を取り消す。
   被控訴人の請求を棄却する。
   訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。
第2    事案の概要
   事案の概要は、当事者の当審における主張を次に付加するほか、原判決の「事実及び理由」欄の「第2当事者の主張」に記載のとおりであるから、これを引用する。
   控訴人の主張
(1 ) 本件消火器の価額は、3年以上使用した中古品であるから、これが1本当たり1万2000円もすることはない。
(2 ) 被控訴人は、控訴人と被控訴人間の本件取引について、法(特定商取引に関する法律)によって申込みの撤回をすることはできない。同法にいう指定商品に当たるのは、消火器薬剤だけであり、点検整備費、交通費、薬剤廃棄費用、人件費等は商品でないし、また、被控訴人は、法人であり、商人であるから、その行為は商行為であり、本件取引は、同法26条1項1号の「営業のため」の行為であり、かつ、「営業として」の行為でもある。
   被控訴人の主張
(1 ) 本件取引に関する契約書は真正に成立したものではない。被控訴人の押印はないから、民事訴訟法228条4項の推定も働かない。被控訴人の従業員Cが署名しているが、同人に本件取引の代理権はないし、同人が、契約締結の意思表示をしたということもできない。したがって、本件取引は不成立である。
(2 ) 法26条1項1号の「営業のため若しくは営業として」にいう「営業」は、営利目的をもって継続反復的になされる業務をいうというべきである。被控訴人は、法人ではあるが、消火器については、これを営業の対象としているわけではなく、本件取引について営利目的はないし、これを頻繁に継続反復しているものではない。したがって、本件取引については、法26条1項1号の適用はない。
(3 ) 控訴人は、出入りの点検業者を装って、被控訴人従業員を騙して契約書に署名をさせるという手法で営業しており、同法の間隙をついて、その立法趣旨を回避し、これを無効ならしめるような営業手法をとっているのであるから、同法26条1項1号の適用を主張するのは、信義則に反し、権利の濫用である。
(4 ) また、控訴人は、平成14年10月末ころ、自己の雇用する女性従業員をして被控訴人の事務所に電話させ、「Aです。いつもお世話になっております。消火器の充填の期日が過ぎております。こちらから伺いますので、いつごろがよろしいでしょうか。」と申し向け、電話を受けた被控訴人従業員Cに、控訴人を被控訴人の従前から取引のある業者と誤信させ、さらに、同年11月1日ころ、控訴人の雇用する男性2人を被控訴人会杜に来訪させて、上記のような誤信に陥っているCに対し、控訴人が従前からの取引業者でないことを告げず、被控訴人所有の消火器を運び出し、「引き上げておきましたので、ここにサインを下さい。」と申し向け、あたかも消火器の受取書に署名させるがごとく装って契約書に署名させたもので、これは詐欺に当たるものである。よって、被控訴人は、本件取引を詐欺により取り消す旨の意思表示をする。
第3    当裁判所の判断
   当裁判所も被控訴人の本訴請求を認容すべきものと判断するところ、その理由は、次に付加訂正するほか、原判決の「事実及び理由」欄の「第3 判断」1ないし5に記載のとおりであるからこれを引用する。
(1 ) 原判決2頁24行目末尾の次に「なお、控訴人は、中古の本件消火器について1万2000円の認定は高すぎると主張するが、これを裏付ける証拠はなく、上記認定を覆すことはできない。」と加える。
(2 ) 同25行目から同3頁1行目までを「2 本件取引については、『消防用設備点検作業契約書』と題する書面(甲2)が存在し、これには、その上部に『消防用設備点検作業契約書』と、その下、右側に『作業実施申込確認書』といずれもやや大きな文字で記載され、その下には、控訴人に有償にて消火器の充填作業等を依頼する旨の記載があるところ、甲3(Cの陳述書)によれば、被控訴人の従業員Cが、その控訴人の記名押印の上部に設けられた『支払権限者又は代理人署名』欄に『B、C』と署名したことが認められる。前掲の甲3には、預かり証と思って署名した旨の記述があるが、上記のような書面の体裁からするとこれが契約書であることは一見して分かるものであるから、その記述は容易に信用できず、Cが、依頼した業者や契約金額に錯誤があったかもしれないが、被控訴人のために、本件消火器の薬剤充填を依頼する意思表示をしたことは、これを認めることができる。被控訴人は、意思表示の合致がなく、本件取引について契約は不成立である旨主張するが、Cの意思表示は甲2によって控訴人宛にされているのであるから、錯誤の問題が生じるとしても、不成立とはいえず、これを採用することはできない。」と改める。
(3 ) 同8行目から12行目までを、次のとおり改める。
   「控訴人は、本件取引に法26条1項1号の適用があるというので検討するに、同法(平成12年に改正される前は訪間販売等に関する法律)は、昭和63年法律第43号による改正前は、訪間販売等における契約の申込みの撤回等についての適用を除外する契約として、「売買契約でその申込みをした者又は購入者のために商行為となるものに係る販売」と規定されていたのであるが、上記改正によって「売買契約又は役務提供契約で、その申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの又は購入者若しくは役務の提供を受ける者が営業のために若しくは営業として締結するものに係る販売又は役務の提供」となったものである。これによれば、上記改正の趣旨は、商行為に該当する販売又は役務の提供であっても、申込みをした者、購入者若しくは役務の提供を受ける者にとって、営業のために若しくは営業として締結するものでない販売又は役務の提供は、除外事由としない趣旨であることが明白である。そこで、本件取引についてみるに、被控訴人は、各種自動車の販売、修理及びそれに付随するサービス等を業とする会杜であって、消火器を営業の対象とする会杜ではないから(甲3、弁論の全趣旨)、消火器薬剤充填整備、点検作業等の実施契約(本件取引)が営業のため若しくは営業として締結されたということはできない。消防法上、被控訴人の事務所等に消火器を設備することが必要とされているとしても、これは消防法の目的から要求されるものであって、これによって本件取引を営業のため若しくは営業として締結されたものということはできない。」
(4 ) 同18行目の次に、行を改めて、次のとおり加える。
   「6 念のために付言すると、証拠(甲2、3、乙1)並びに弁論の全趣旨によれば、控訴人は、種々の事業所等に出入業者を装う等の方法で訪間し、消火器点検薬剤充填の業務を行っている者であるが、平成14年10月末ころ、女性従業員に被控訴人の事務所に電話させ、「Aです。いつもお世話になっております。消火器の充填の期日が過ぎております。こちらから伺いますので、いつごろがよろしいでしょうか。」と、被控訴人の出入業者を装って電話をさせたこと、電話を受けた被控訴人従業員Cは、その電話を従前から被控訴人と取引のある業者と誤信し、「期限が過ぎているようでしたら来てください。」と答えたこと、そこで、控訴人が雇用する男性2人が、同年11月1日ころ、控訴人の事務所を訪れ、上記のように錯誤に陥っているCに、「Aですが、引き取りに来ました。」と言い、本件消火器を運び出し、Cが上記の錯誤に陥っていることを知りながら、控訴人が従前からの取引業者でないことを告げず、その錯誤を利用して、「引き上げておきましたので、ここにサインを下さい。」と告げて、従前からの取引業者よりも非常に高額の作業費等を計上の消防用設備点検作業契約書に署名させたことを認めることができるが、これは詐歎に該当するということができる。そして、被控訴人が、本件取引を詐欺により取り消す旨の意思表示をしたことは当裁判所に顕著である。してみれば、本件取引は、法によって申込みの撤回が認められないとしても、その効力を失ったものである。」
   以上によれば、原判決は相当であるから、本件控訴はこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。


大阪高等裁判所第1民事部

 
裁判長裁判官         横田   勝年
裁判官         松本   哲泓
裁判官         末永   雅之

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