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平成12年2月1日
消 防 庁
救命効果検証委員会 救命効果調査分析結果について
1 救命効果検証委員会について
救命効果検証委員会は、救急救命士制度の導入効果を検証するため救急隊が関与した心肺停止傷病者について社会復帰までの詳細な追跡調査を行うこと等を目的として、財団法人救急振興財団と協力して平成9年度から4年計画で調査・研究を行っている委員会である。
2 救命効果調査について
1)救命効果調査
平成9年11月1日から平成11年4月30日までの調査期間に特定の救命救急センターに搬送された心肺停止傷病者(CPA患者)3,029例を対象として、搬送した救急隊及び搬送先の救命救急センターが調査票に記入し、救命効果検証委員会においてウツタイン様式※に従って、集計、分析したものである。
本調査結果は、発症後3ヶ月生存までの数値(平成11年11月22日現在)を対象とした分析結果が確定したことに伴いその概要を公表するものである。
※ウツタイン様式は病院外心停止事例の記録を統一し、国際的な比較検討等が行われるよう、国際蘇生会議において推奨されている様式で
ある。この様式では心原性疾患で、心停止が目撃されている症例を対象とする基本的なテンプレートを示している。
2)調査・分析対象について
分析対象数は、調査対象3,029例のうち、死亡徴候の無い2,920例を対象
○心原性1,294例、非心原性1,626例
○ドクターカー(医師及び救急救命士等が搭乗)139例、救急救命士隊2,632例、TU課程隊149例
注1)TU課程隊とは、救急自動車に救急隊員のうち所要の訓練(T,U課程)を受講し救急隊員の資格を有する者が搭乗している救急隊である。
注2)救急救命士隊とは、救急自動車に国家資格救急救命士が搭乗している救急隊である。
3 調査分析結果
1 本調査における心肺停止患者の発症後3ヶ月生存率は、心原性疾患で4.4%
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バイスタンダー(救急現場にい合わせた者)が心停止を目撃した心肺停止患者例の発症後3ヶ月生存率は、全症例で4.1%、心原性疾患4.4%、非心原性疾患3.7%。
| イスタンダーが心停止を目撃 | 発症後3ヶ月生存(率) |
全症例 (1,526例)
心原性疾患 ( 722例)
非心原性疾患 (804例) |
62( 4.1%)
32( 4.4%)
30( 3.7%) |
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2 心肺停止患者の生存率の向上には、バイスタンダーによるCPR注)が重要。
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心原性疾患のうちバイスタンダーが心停止を目撃した症例の発症後3ヶ月生存は、バイスタンダーCPRありでは7.3%、バイスタンダーCPRなしでは3.3%。
| 心原性 バイスタンダーが心停止を目撃した症例(722例) | 発症後3ヶ月生存 |
バイスタンダーCPRあり (205例)
バイスタンダーCPRなし (517例) |
15 ( 7.3%)
17 ( 3.3%) |
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注)CPR (Cardiopulmonary resuscitation);心肺蘇生法
3 心肺停止患者の生存率が最も高いのはドクターカー(医師及び救急救命士等が搭乗)
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1)救命効果が最も高いのはドクターカー(医師及び救急救命士等が搭乗)によるものである。
これは、心原性疾患において特に顕著である。
ドクターカー(医師及び救急救命士等が搭乗) |
発症後3ヶ月生存 |
全症例(139例)
心原性疾患( 63例)
救急救命士隊
全症例(2,632例)
心原性疾患(1,169例)
TU課程隊
全症例(149例)
心原性疾患( 62例) |
15 (10.8%)
8 (12.7%)
90 ( 3.4%)
47 ( 4.0%)
4 ( 2.7%)
0 ( 0.0%) |
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注)ドクターカーの出場には、出場基準があることから、ドクターカーの対象症例にバイアスがかかっている可能性があることに留意。
(隊の編成別1ヶ月生存率、3ヶ月生存率)
2)隊の編成別に初期調律の割合をみるとドクターカーにおける心室細動の割合が高くなっている。3ヶ月生存率をみると、心室細動の症例、心静止の症例ともにドクターカーの症例が高くなっている。
心原性疾患 初期調律の割合
| Vf(心室細動) | VT(心室性頻拍) | 心静止 | その他 |
総数(1294)
ドクターカー(63)
救急救命士隊(1169)
TU課程隊※(62) |
203 (15.7%)
15 (23.8%)
181 (15.5%)
7 (11.3%) |
6 (0.5%)
0 (0.0%)
6 (0.5%)
0 (0.0%) |
621 (48.0%)
23 (36.5%)
568 (48.6%)
30 (48.4%) |
464 (35.9%)
25 (39.7%)
414 (35.4%)
25 (40.3%) |
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心原性疾患 初期調律別3ヶ月生存率
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| Vf | VT | 心静止 | その他 |
総数(1294)
ドクターカー(63)
救急救命士隊(1,169)
TU課程隊(62) |
26/203 (12.8%)
5/15 (33.3%)
21/181 (11.6%)
0/7 ( 0.0%) |
3/6 (50.0%)
0/0 ( 0.0%)
3/6 (50.0%)
0/0 ( 0.0%) |
8/621 (1.3%)
1/23 (4.3%)
7/568 (1.2%)
0/30 (0.0%) |
18/464 (3.9)
2/25 (8.0)
16/414(3.9)
0/25 (0.0) |
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※T課程の教育訓練受けている救急隊員のみが搭乗している救急隊では心電図を測定することが出来ないため、「その他」に多く含まれている可能性があることに留意。
(隊の編成別初期調律別生存率)
4 ドクターカーにおける気管内挿管例は、3ヶ月生存率が高い
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医療機関(ドクターカーを含む。)における採血時動脈血酸素分圧をみると、ドクターカーにおいて酸素分圧が高くなっている割合が多い。また、3ヶ月生存率をみると、ドクターカーにおいて酸素分圧80torr以上では、16.9%と高くなっている。
| PaO2 (torr) | 80以上 | 80未満 |
採血時LM,CT,EGTA注) (1,271例)
ドクターカー(72例)
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625 (49.2%)
59 (81.9%)
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646 (50.8%)
13 (18.1%)
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| 3ヶ月生存率 |
PaO2 (torr)
採血時LM,CT,EGTA
ドクターカー |
80以上
40/625 (6.4.%)
10/59 (16.9%) |
80未満
12/646 ( 1.9%)
1/13 ( 7.7%) |
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注)救急救命士がラリンゲアルマスク(LM)、コンビチューブ(CT)、食道閉鎖式エアウェイ(EGTA)を挿入した症例の
うち搬送先病院において採血時にLM,CT,EGTA若しくは気管内挿管が実施されている症例である。
(搬送先医療機関における動脈血酸素分圧および動脈血二酸化炭素分圧の状態)
5 心肺停止患者の生存率の向上には、救急隊が搬送先病院に到着する前に心拍再開することが重要。
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心原性疾患、非心原性疾患とも、病院到着前に心拍再開すれば、生存退院、発症後3ヶ月生存率は格段に向上する。救命効果を向上させるためには、病院到着前における救命処置の向上
が重要である。
| 心原性 バイスタンダーが心停止を目撃 | 生存退院 | 発症後3ヶ月生存 |
病院到着前心拍再開( 57例)
病院到着後心拍再開(189例) |
28 (49.1%)
14 ( 7.4%) |
23 (40.4%)
9 ( 4.8%) |
| 非心原性 バイスタンダーが心停止を目撃 |
病院到着前心拍再開( 65例)
病院到着後心拍再開(225例) |
23 (35.4%)
11 ( 4.9%) |
21 (32.3%)
9 ( 4.0%) |
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6 心原性疾患では、心拍再開時間(心停止から心拍再開までに要する時間)の短縮が重要。心停止から救急隊が行うCPRまでに要する時間は患者接触から病院収容までに要する時間よりも重要。
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心原性疾患では心拍再開時間が短くなると1ヶ月生存率を向上する。一方、非心原性疾患では、心拍再開時間を短くなることで必ずしも1ヶ月生存率を向上させるということは示されなかた。
心拍再開例における1ヶ月生存率には、心原性では、心停止から救急隊員が行うCPRまでに要する時間が影響している可能性が高く、患者接触から病院収容までに要する時間は影響している可能性は低い。
心原性疾患 |
心拍再開時間 |
心停止から救急隊員が行うCPR |
患者接触から病院収容 |
回帰係数
P値 |
- 0.07391
<0.001 |
- 0.05579
0.010 |
- 0.01491
0.261 |
非心原性疾患 |
回帰係数
P値 |
- 0.006848
0.330 |
- 0.01218
0.492 |
- 0.00799
0.606 |
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注1)回帰係数は統計的なリスクの比を示し、対象が同一のものについて、絶対値が大きいものほどリスクに与える影響が高い。
注2)P値は統計学的な値で、p<0.05であれば、統計学的にみて有意であるといえる。
注3)非心原性疾患には、本調査において死亡の多い外傷等が多く含まれていることから時間との関係の評価が難しいことに留意。
7 初期調律が心静止の症例では、心停止を目撃してから覚知(119番通報)までに時間を要している。
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1)バイスタンダーが心停止を目撃した症例について初期調律別に心停止から接触までの平均時間、覚知から接触までの平均時間、心停止から覚知までの平均時間をみると、心静止では心室細動より心停止から覚知までの時間が長くなっている。
バイスタンダーが心停止を目撃した症例
初期調律 |
心停止から患者接触 |
覚知から患者接触 |
心停止から覚知注) |
Vf (178)
心静止 (606) |
8.6分
13.4分 |
7.3分
8.1分 |
2.8分(137)
7.5分(497) |
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注)心停止から覚知までの対象では、覚知以降に心停止が起こった場合は除外している。
(初期調律と時間との関係1,2,3)
2)心原性疾患のうちバイスタンダーが目撃した症例について、初期調律別バイスタンダーCPRの有無別に心拍再開、発症後3ヶ月生存をみると、初期調律がVfでCPR有りの症例で心拍再開率、発症後3ヶ月生存率が高くなっている。
心原性疾患
| 初期調律 | 対象数 | 心拍再開 | 発症後3ヶ月生存 |
Vf
CPR有
CPR無 |
49/154 (31.8%)
105/154 (68.2%) |
27/49 (55.1%)
44/105 (41.9%) |
10/49 (20.4%)
10/105 ( 9.5%) |
| 心静止 |
CPR有
CPR無 |
86/332 (25.9%)
246/332 (74.1%) |
25/86 (29.1%)
76/246 (30.9%) |
1/86 (1.2%)
3/246 (1.2%) |
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(バイスタンダーCPR実施別初期調律別心拍再開率、3ヶ月生存率)
8 心肺停止患者の生存率の向上には、除細動の早期実施が重要。
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覚知からの除細動実施までの時間が短くなるにつれて、1ヶ月生存率は向上する。
(イメージ図 1ヶ月生存率と覚知から除細動実施までの時間との関係)
(参考)除細動実施症例(除細動実施回数に記載がある症例)における除細動の指示要請の内容はほとんど変更されていない。また、変更された症例でも変更内容は、回数のみである。
| 除細動実施例 | すべて承認 | 一部変更 |
| (除細動実施回数に記載有り308例) | 296 (96.1%) | 5 ( 1.6%) |
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(特定行為の実施状況 1)4. )
9 心原性疾患で除細動を行った症例は、3ヶ月生存率が高く、特定行為3行為すべて実施した症例では最も高い。
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心原性疾患で救急救命士が除細動を実施した症例では、発症後3ヶ月生存率で高く、特定行為全てを実施した症例では最も高い。
| 心原性 | 発症後3ヶ月生存率) |
除細動のみ(53例)
除細動かつ気道確保(234例)
除細動かつ気道確保かつ静脈路確保(70例) |
4/53 ( 7.5%)
14/234 ( 6.0%)
9/70 (12.9%) |
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(特定行為実施別1ヶ月生存率、3ヶ月生存率)
(参考)救急救命士隊 心原性 発症後3ヶ月生存率 4.0%
10 本調査は救命救急センターを対象とした調査であるため単純な比較はできないが、我が国の心肺停止患者の生存退院率は諸地域と比較すると遜色がない。しかし、救急システムが高度に発達していると考えられる地域より低い 。
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心原性疾患のうちバイスタンダーが心停止を目撃し、初期調律VF,VT症例について生存退院を各国都市と比較すると、我が国は、米国の一部の地域と遜色ないものとなっているが、ボン(ドイツ)、ヘルシンキ(フィンランド)、King county,Sun Juan Island(ワシントン州)などの救急システムが高度に発達していると考えられる地域より低い。
心原性 バイスタンダーが目撃した症例初期調律Vf,VT
| 生存退院 | 生存退院 |
日本 18.4%
(Vfのみ16.9%)
米国
ワシントン ミネソタ北東('86)ア)
(king county)('85) 33.0% ペンシルヴァニア('94)ア)
シアトル('88)ア) 30.0% ニューヨーク('94)※
トランス('93)ア) 30.0% シカゴ(91')※
シアトル(Sun Juan Island)('96) 27.0%
ミルウォーキー('86)ア) 23.5%
タクソン ('90)ア) 21.9%
アイオワ('86)ア) 19.6%
ドイツ スウェーデン
ボン('97) 34.5% グーテンボルグ('94)※
英国 フィンランド
スコットランド('93)※ 11.0% ヘルシンキ('96)※
ノッティングハムショア('99)※ 11.7% |
10.0%
8.1%
5.3%
4.0%
19.0%
32.5%
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注1)※印があるものはVfの症例である。
注2)ア)目撃された心停止
注3)日本のデータは発症後3ヶ月以降は生存を生存退院としていることに留意。
注4)日本は救命救急センターを中心とした調査であり、バイアスがかかっている可能性があることに留意。
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| 問い合わせ先 |
救 急 救 助 課 松 本、佐久間
TEL 03(5574)0126(直通)
03(5574)0111(代表)
内線6652
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