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救急業務高度化の現況

 平成10年中の救急出場件数及び救急搬送人員(ヘリコプターによる出場及び搬送も含む)はそれぞれ370万2,075件、354万6,739人に及び救急業務法制化以降、増加の一途を辿っている。
これは約8.5秒に1回の割合で救急出場し、国民35人に1人の割合で救急搬送されていることとなり、今や国民生活において必要不可欠のものとなっている。
救急業務の高度化を推進するため、平成3年に救急救命士制度が導入されて以来、鋭意救急救命士の養成を推進している。
今後とも救急救命士の養成を図るとともに、医療機関との連携体制を整備する必要がある。


  •  平成10年中における全国の救急業務の実施状況は、平成10年3月に法制化されたヘリコプターによる件数も含め、370万2,075件で前年の347万6,504件に比べ、22万5,571件(6.5%)の増加、救急自動車による搬送人員は354万5,975人で前年の334万2,280人に比べ、20万3,695人(6.1%)の増加、ヘリコプターによる搬送人員は764人であり、昭和38年の救急業務法制化以降増加の一途を辿っている。これは我が国のどこかで約8.5秒に1回の割合で救急出場し、国民35人に一人の割合で救急搬送されていることとなり、今や、救急業務は国民生活において必要不可欠なものとなっている。

  •  また、覚知から救急自動車による現場到着までの所要時間の全国平均は、6.0分、覚知から救急自動車による医療機関への収容までの所要時間の全国平均は、26.7分となり時間との闘いの中で全国の救急隊は住民に密着した業務に従事している(第1表参照)。

    第1表 救急自動車による救急業務実施状況

    区  分
    平成10年中 A
    平成9年中 B
    比較A-B(対前年増減率、又は増減数)
    出  場  件  数
    3,701,315
     3,476,504
    224,811 (6.5%)
    搬  送 人 員
    3,545,975
    3,342,280
    203,695 (6.1%)
    時間当たり出場割合
    約8.5秒に1回
    約9.1秒に1回
    △ 0.6 秒
    国民当たり搬送割合
    約35人に1人
    約38人に1人
    △ 3.0 人
    現場到着平均時間※
    6.0分
    6.1分
    △ 0.1 分
    収容平均所要時間※
    26.7 分 
    26.0 分
    0.7 分

    ※ 現場到着平均所要時間は、覚知から救急自動車による現場到着までの平均所要時間である。
    ※ 収容平均所要時間は、覚知から救急自動車による医療機関収容までの平均所要時間である。
     
  • 平成11年4月1日現在、全国の消防機関で7,523名の救急救命士が活躍してお
    り、このうち、7,201名が救急救命士として救急業務に当たっている (第2表
    参照 )。

     第2表 救急救命士の普及・運用状況    
    単位:人(%)
     

    平成11年4月1日


     平成10年7月1日

     
     
     
    救急救命士総数A
     7,523 (100.0%)
    6,920 (100.0%)
     
    救急車に乗車
    している者
     7,201 (95.7%)
    6,511 (94.1%)
    救急救命士として常時又 は一部運用している者 B
     6,757 (89.8%) 
    5,846 (84.5%)
    運用されて
    いない者
      444 (5.9%)
    665 (9.6%)
     
    うち、指示体制
    未整備のため
       90 (1.2%)
    205 (3.0%)
     
    救急車に乗車
    していない者 ※
    322 (4.3%)
    409 (5.9%)
    全国救急隊員数 C
    55,717
    55,410


    A/C
    13.5%
    12.5%
    B/C
    12.1%
    10.6%

    • 救急車に乗車していない者とは、教育訓練・指令・管理部門に従事している

    者である。
     

    1. 救急救命士の運用組織状況は、全国の総救急隊数4,553隊のうち2,040隊(全体の44.8%)、総消防本部数911本部のうち751本部(全体の82.4%)となっている。( 第3表参照 )

    また、救急救命士の養成に関しては、現在、救急振興財団と一部大都市等で設置する11か所の養成所において、年間約1,400名の救急救命士を養成している。平成10年4月以降、救急振興財団の養成人員を800名から1,000名に増枠するなど、「各救急隊に常時1名の救急救命士」を目標に、救急救命士の養成を推進している。(第4表参照)
     
    第3表  救急救命士の運用組織状況    (平成11.4.1現在)

      区 分

     全国総数 A


    運用組織数 B


     比 率 B/A


    救急隊数

       4,553
      2,040

      44.8%


    消防本部数

       911
     751

      82.4%




     
     
     

    第4表  救急救命士の運用年次推移

     区   分
     資格者数
     運用人数
     運用隊数
    運用本部数

    平成4年


       591


       483


    168


    13


    5 年


      1,003


       541


    221


    53


    6 年


      1,798


      1,369


    499


    148


    7 年


      2,748


      2,232


    730


    263


    8 年


      4,164


      3,338


    1,057


    430


    9 年


      5,524


      4,556


    1,333


    554


    10 年


      6,920


      5,846


    1,678


    666


    11 年


      7,523


      6,757


    2,040


    751


    • 本表は平成4〜7年が8月1日、平成8〜10年が7月1日、平成11年が4月1日

     現在のものである。
     
     
     
     

    救急救命士は、特定3項目の救急救命処置を実施することができ、その処置実績は年々上がっており、救命効果の向上にも大きく寄与している。

     
       平成3年に救急救命士制度が設けられて以来、救急救命士は医師の指示の下
      で、特定3行為と呼ばれる
       ア 半自動式除細動器による除細動
      イ 薬剤を用いた静脈路確保のための輸液
      ウ ラリンゲアルマスク等器具による気道確保
    の応急処置が新たに実施可能となり、その活動実績は年々著しく増加し、対前
    年比で1.3倍、対平成5年比で7.4倍となっており、救命効果の向上にも大きく
    寄与している。( 第5・6表参照 )

     
     
     
    第5表 救急救命士による特定3行為の処置実績 
    処置内容
    気道確保
    除細動
    静脈路確保


     

     

     

    H5年中
    (指数)
    2,191
    (100)
    808
    (100)
    862
    (100)
       3,861
     (100)
    H6年中
    (指数)
    6,538
    (298)
    1,261
    (156)
    1,888
    (219)
       9,687
      (251)
    H7年中
    (指数)
    7,769
    (355)
    1,500
    (186)
    2,716
    (315)
      11,985
      (310)
    H8年中
    (指数)
    10,491
    (479)
    1,918
    (237)
    3,587
    (416)
      15,996
      (414)
    H9年中
    (指数)
    14,572
    (665)
    2,456
    (304)
    4,632
    (537)
      21,660
      (561)
    H10年中
    (指数)
    19,513
    (891)
    2,995
    (371)
    6,146
    (713)
      28,654
      (742)
    H10/H9
    1.3
    1.2
    1.3
    1.3

    第6表 救急救命士の普及と救急自動車の整備状況

    救急車総数
    高規格車
    救急隊員総数
    救急救命士数
    平成4年
    4,775
    55
    49,959
    591
    5年
    4,862
    179
    50,563
    1,003
    6年
    4,901
    427
    52,315
    1,798
    7年
    4,968
    712
    53,279
    2,748
    8年
    5,063
    1,119
    53,250
    4,164
    9年
    5,133
    1,423
    54,743
    5,524
    10年
    5,197
    1,770
    55,410
    6,920
    11年
    5,251
    2,122
    55,717
    7,523

    ※ 本表は平成4〜7年が8月1日、平成8〜10年が7月1日、平成11年が4月
    1日現在のものである。
    平成3年の救急救命士制度の発足に併せて、一般の救急隊
    員についても、一定の教育訓練(救急U課程又は救急標準課
    程)を修了することにより、血圧測定、心電図伝送などの9
    項目にわたって応急処置等の実施範囲が拡大されたが、 その
    処置実績も大幅に向上してきている。

     
    平成3年の救急救命士制度の発足に併せて、一般の救急隊員についても、一定の教育訓練(救急U課程又は救急標準課程)を受けることにより、従前には処置し得なかった自動心マッサージ、在宅療法の継続、ショックパンツ、血圧測定、心音呼吸音聴取、血中酸素飽和度測定、心電図伝送等、経鼻エアウェイによる気道確保、喉頭鏡・マギール鉗子による異物除去の9項目にわたって応急処置等の範囲が拡大され、その処置実績も大幅に拡大した。(第7表参照)
     
    第7表 拡大9項目の応急処置等の件数

     
     
     
     
    平成3年の救急隊員が行う応急処置等の範囲の拡大に伴い、救急U課程及び救急標準課程(救急T課程に救急U課程を合わせたもの)を設けるなど救急隊員全体の資質についても大幅な向上が図られている。

     
    平成3年の救急隊員が行う応急処置等の範囲拡大に伴い、救急隊員の教育訓練についてもその拡充が図られ、従前では、救急T課程教育(延べ135時間相当)のみであったところ、より高度な拡大応急処置が可能となる救急U課程教育(延べ115時間追加)及びこれらを合わせた救急標準課程(延べ250時間相当)を設けるなどにより、より上級の課程を修了した者が年々増加しており、救急救命士をはじめとする救急隊員全体の資質は大幅に向上してきている。
    第8表のとおり、教育訓練250時間以上の課程を修了した救急隊員(救急救命士・救急標準課程・救急U課程)は総計で4万2,897名となり、救急隊員総数に占める割合は77.0%(前年3万名9,347名、71.0%)に及んでいる。
     第8表 救急隊員の教育訓練
     

    救急救命士


    標準課程


    U課程

    救急隊員数
    救急救命士の資格を持つ者
    標準課程修了者数
    U課程修了者数
     
    救急隊員
     
    救急隊員
     
    救急隊員

     
    平成11年

     
    7,523
     
     
    7,201
     
     
    10,826
     
     
    7,815
     
     
    38,458
     
     
    27,881
     
     
    55,717
     
     
     
    救急隊員中の割合
     
    13.5%
     
     
    12.9%
     
     
    19.4%
     
     
    14.0%
     
     
    69.0%
     
     
    50.1%
     
     
     
    前年比
    増 減
     
     603
     
    690
     
    2,701
     
     
    1,924
     
    2,821
     
    936
     
     
    307
     

     
    平成10年
     

     
    6,920
     
     
    6,511
     
     
    8,125
     
     
    5,891
     
     
    35,637
     
     
    26,945
     
     
    55,410
     

    • 各年4月1日現在(但し、平成10年救急救命士は7月1日現在)

     

    高齢化社会の進展とともに、搬送人員総数に占める「急病による高齢者数」の割合が高くなってきている。

     
     救急業務が昭和38年に法制化されて以来、救急業務を取り巻く社会環境は、 我が国の高齢化の進展とともに、大きく変化してきている。65歳以上の高齢者の搬送状況は、第11表のとおりである。
    平成10年の急病による65歳以上の搬送高齢者数の指数が339と極めて高くなっており、搬送人員総数に占める割合も23.2%となり我が国における高齢化の進展が救急業務の態様にも大きな影響を及ぼしている( 第9・10表参照)。
    第9表 救急自動車による事故種別出場件数及び搬送人員内訳
                         (平成10年中)


    出 場 件 数


    搬 送 人 員


    件   数


    構 成 比


    人   員


    構成比


    急  病


    2,062,261


    55.7


    1,928,256


    54.4


    交通事故


    625,012


    16.9


    704,163


    19.9


    一般負傷


    449,717


    12.2


    423,780


    11.9


    そ の 他


    564,325


    15.2


    489,776


    13.8


    合  計


    3,701,315


    100.0


    3,545,975


    100.0


     
     
     
    第10表 救急自動車による搬送人員及び高齢者の増加推移
     
     
     
      応急手当普及啓発活動の一環としての救命講習等を受講した者は、 平成10年中では70万6,734名に及び、前年の約1.1倍の増加となっている。
    また、これらの普及啓発活動により、全国の救急隊が搬送した心肺停止傷病者のうち、住民・家族等によって応急手当を受けた者が増加しつつあり救命効果の上昇に大きく寄与している。

     

    1. 平成5年に設けられた応急手当普及啓発活動の推進要綱に基づき、平成10

      年中に住民向けの3時間コース以上の普通救命講習等を受講した者は70万
    6,734名に及び、前年中の63万9,834名に比較し、6万6,900名、
    約1.1倍の増加となっている。また、その他の3時間未満の講習を含めると
      総計約275万余名となり、平成5年からの累計でみると、約1,547万余
    名に及んでいる(第11表参照)。
    第11表 応急手当普及啓発状況           (その1)

    区分年中
    普通救命講習
    A
    上級救命講習
    B
    小 計
    C=(A+B)
    応急手当 普及員講習・計
    D
    応急手当 指導員講習・計
    E
    平成5年

     
    47,827
     


    4,045


    51,872


    1,053


    5,363


     6年


     
    246,356
     


    10,680


    257,036


    4,646


    20,887


     7年


     
    395,045
     


    19,212


    414,257


    7,292


    13,690


     8年


     
    491,300
     


    25,758


    517,058


    6,208


    10,144


     9年


     
    589,798
     


    33,670


    623,468


    7,037


    9,329


    10年


     
    655,700
     


    34,807


    690,507


    7,244


    8,983


    合 計


     
    2,426,026
     


    128,172


    2,554,198


    33,480


    68,396

     
                                     (その2)
    区分年中
    上記合計
    F=(C+D+E)
      左の指数
      その他の
    軽微な講習 G
     総   計
      F+G
    平成5年

     
      58,288
     


    100


    2,105,073


    2,163,361


     
     6年
     


      282,569


    485


    2,127,220


    2,409,789


     7年


     
    435,239
     


    747


    2,223,370


    2,658,609


     8年


     
    533,410
     


    915


    2,227,296


    2,760,706


     9年


     
    639,834
     


    1,098


    2,082,743


    2,722,577


    10年


     
    706,734
     


    1,212


    2,051,423


    2,758,157


    合 計


     
    2,656,074
     

     

    12,817,125


    15,473,199


     

    1.  平成5年からの普及啓発活動の推進により、平成7年以降、全国の救急隊が救急搬送したすべての心肺停止傷病者のうち、住民又は家族等により応急手当を受けた者は年々増加しており、その状況は第12表のとおりである。


     
    第12表 救急隊が搬送した心肺停止者のうち応急手当を受けた者



    心肺停止傷病者数

    応急手当を受けた者

      割 合


    平成7年


     
       72,016
     


    9,389


    13.0%


      8年


     
       72,542
     


    10,954


    15.1%


      9年


     
       76,272
     


    12,901


    16.9%


     10年


     
       80,970
     


    15,923


    19.7%


     
    (3) 応急手当の救命効果 
    下図は、平成10年中における全国の救急隊が搬送したすべての心肺停止傷
    病者のうち、救急隊の到着時に家族等により応急手当が実施されている場合
    の1か月後の生存者の割合について、応急手当が実施されている場合と実施
      されていない場合の傷病者を比較対比したものである。これを見ると、家族
    等により応急手当が実施されている場合の方が、2.5ポイント(約1.9倍)
    その救命効果が向上していることが認められる。 (第13表参照)
          
    第13表

     

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