「地域防災計画における津波対策強化の手引き」及び
「津波災害予測マニュアル」の策定について
平成10年3月26日
国 土 庁
気 象 庁
消 防 庁
わが国は、四方を海で囲まれ、古来よりしばしば大きな津波災害を経験してきたところです。津波防災は、こうした過去の津波による被害と多くの犠牲から得られた教訓に基づいて鋭意進展が図られてきましたが、平成5年の北海道南西沖地震津波の際にも大きな被害を被ったところであります。近年、沿岸の土地利用が高度化し、都市化が進展している状況に鑑みると、ひとたび津波が発生すると大きな被害が生じる可能性があることから、その対策の強化が必要となります。
そこで、津波災害の特殊性を充分踏まえ、地域に応じてハード対策、ソフト対策が一体となった総合的な観点から津波防災対策を検討し、その一層の充実を図るために、国土庁、気象庁、消防庁は、海岸整備を担当する農林水産省、水産庁、運輸省、建設省との連携のもとに、地域防災計画における津波対策の強化を図る際の基本的な考え方、津波に対する防災計画の基本方針並びに策定手順等について「地域防災計画における津波対策強化の手引き(以下「手引き」という。)」としてとりまとめました。
また、津波の数値シミュレーション技術を応用して、予報精度の向上や予報区の細分化などを図った新しい津波予報の運用を気象庁が平成10年度末から開始することを計画しており、この予報をより効果的に活用したり、事前に津波による危険性を把握することにより、総合的な津波対策を講じていく上で、津波により浸水すると予測される区域を事前に地図上に表示することが、地域特性に応じた対策を行う上で有効であります。国土庁、気象庁、消防庁では、その便に供するため「津波災害予測マニュアル(以下「マニュアル」という。)」を「手引き」の別冊としてとりまとめました。
今般、「手引き」及び「マニュアル」を本日付で関係地方公共団体に通知し、各地域において津波防災対策の強化が推進されるよう促したところです。
今後、関係省庁が連絡会議を設置するなど、より一層連携を密にするとともに、都道府県、市町村と相互に連携を図りつつ、それぞれの役割に応じて、ハード、ソフト両面の津波防災対策の一層の充実が図られるよう努めていく考えです。
なお、手引き、マニュアルの概要は別紙のとおりです。
(別紙1)
地域防災計画における津波対策強化の手引きについて
わが国の沿岸域において、津波対策を強化するために、ハード対策、ソフト対策が一体となった総合的な津波対策を検討し、地域防災計画における津波対策の一層の強化を図る必要がある。「地域防災計画における津波対策強化の手引き」は、地域防災計画における津波対策の強化を図る際の基本的な考え方、津波に対する防災計画の基本方針並びに策定手順等について取りまとめたものであり、その概要は以下のとおりである。
・第1章では、津波防災対策の目的は、住民の生命及び財産を保全することであり、そのためには防災施設の整備に加えて津波防災の観点からのまちづくり、防災体制の3分野の強化が必要であることを明確にした。
・第2章では、津波防災に関する計画策定の手順をまとめており、策定に先立って必要な土地利用や地形、人口・産業の集積等を把握するために必要な基礎調査項目、対象津波の設定手法、想定被害の評価項目と基準等を示すとともに、防災対策上留意すべき課題等についても検討のポイントを紹介した。
・第3章では、津波防災体制の強化のため取り組むべき施策を取りまとめた。津波防災の観点からのまちづくりについて、土地利用のゾーニング、拠点的公共施設の配置、地域特性に応じた安全性向上の考え方を取りまとめた。
防災体制について、情報伝達、避難、防災知識の普及、応急体制の整備等日常的に取り組むべき事項等について取りまとめた。
(別紙2)
津波災害予測マニュアルについて
気象庁では、気象審議会第19号答申(平成6年10月)に基づき、津波災害の一層の防止・軽減に寄与するため、予想される津波の高さ等を具体的な数値で発表する新しい津波予報を、平成10年度末から運用することを計画している。
しかし、気象庁から発表される津波の高さの予測値は、100km 内外の範囲を対象とする広域的・平均的な情報となるため、地方公共団体が個々の海岸におけるきめ細かい津波災害対策を実施するためには、海岸ごとに気象庁の津波予報に対応した津波浸水予測図を作成することが有効である。
この津波浸水予測図は、作成にあたり津波に関する高度な技術的知識が必要であり、また津波浸水予測図は、気象庁の津波予報と連動して作成される必要があることから、国がその作成手法を提示することが必要である。このため、国土庁、気象庁、消防庁は災害対策総合推進調整費により津波浸水予測図の作成手法等を解説した「津波災害予測マニュアル」を作成し、これを「地域防災計画における津波対策強化の手引き」の別冊として地方公共団体へ提示することとした。
本マニュアルは、
(1) 津波
(2) 津波による被害
(3) 津波予報の発表
(4) 津波浸水予測図の作成
(5) 津波浸水予測図の活用
の5章から成り、津波浸水予測図の作成手法を中心に、津波に関する一般的知識、過去の津波事例、津波予報の方法、津波浸水予測図の活用方法等が解説されており、津波に関し地方公共団体の防災担当者が必要とする情報が網羅されている。
このマニュアルを活用して整備された津波浸水予測図は、地方公共団体が、気象庁の津波予報に対応した対策に活用するのみならず、事前の津波予防対策として地域防災計画における津波対策について検討することなどにも活用することが可能であり、津波災害の防止・軽減が一層推進されることが期待される。
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