English
総務省消防庁 消防庁についてサイト内検索リンク集
電子申請窓口パブリック・コメントご意見・お問い合わせ
一般の方へ 消防防災関係者の方へ

消防力の整備指針に関する答申


平成16年12月28日
消防審議会







  平成16年11月12日付けで諮問のあった「消防力の整備指針」について、別紙のとおり答申する。



  平成16年12月28日


  
消防審議会会長     
  菅原 進一






  消防庁長官
         林 省吾殿





別紙

消防力の整備指針について


第1 現状と課題

  「消防力の基準」は平成12年に改正され、市町村の自主的な判断要素が相当程度拡充されることになったが、市町村においては、その改正の趣旨を踏まえるとともに、地方行財政を取り巻く厳しい社会情勢の中で、消防需要の高度化・専門化に的確に対処していく必要性に迫られている。
このため、平成15年12月の当消防審議会においては、「消防力の基準」について、「『市町村が適正な消防力を整備するに当たっての指針』としての位置付けを維持しつつ、消防サービスの水準確保を前提にして、消防力の整備に当たって市町村が様々な選択を行えるような内容・形態にしていく必要がある。」と答申したところである。
 具体的には、分野別の標準的職務能力の明示、「兼務」概念の導入、人員・施設を合わせた性能・効果の充足に係る規定の導入、消防団員数に関する算定指標の設定等の必要性について指摘したところである。

第2 「消防力の基準」の見直しの考え方

1 「消防力の整備指針」としての位置付けの明確化
 現在、救急需要の増大、高度化、予防業務の専門化等への対応が求められており、今後、住民ニーズを踏まえ、消防力の整備充実を一層図っていく必要がある。また近年、住民の安心・安全に対する関心が高まってきたことに伴い、国の役割についての考え方も変化してきている。
 このようなことから、今回の「消防力の基準」の改正においては、第一に、できるだけ市町村の様々な選択が可能となるよう内容の充実を図るとともに、「消防力の基準」の名称を「消防力の整備指針(以下「指針」という。)」に改め、市町村が消防力の整備を進める上での整備目標としての性格を明確にし、その趣旨を踏まえた活用を促すこととするべきである。
 第二に、国民の「安全」を守るという国の責任にかんがみ、「安全」の具体的要求水準や内容について、国が地方公共団体・国民に対して、明確に示すことが必要である。したがって、「指針」は、市町村が消防力の整備を進めるに当たっての単なる目安というものではなく、各市町村は、この指針を整備目標として、地域の実情に即して具体的な整備に取り組むことが要請されるものと位置付けるべきである。
もとより、市町村は、消防施設や人員についての基準数値を自主的に決定し、消防力の計画的な整備を推進することとなるが、自らの消防力の整備水準について、住民に対して具体的な根拠に基づいて説明することが求められるものと解するべきである。

2 「消防力の整備指針」の基本的な考え方
 これまで「消防力の基準」は、消防力の計画的な整備を推進するために必要な施設、人員についての基準を示してきたところであるが、消防行政を効果的に推進していくためには、その理念としての具体的な政策目標を示すことが極めて重要である。
 このためには、大規模災害時等における国の役割を明確にした上で、市町村に対し、「総合性の発揮」、「複雑化・多様化・高度化する災害への対応」、「地域の防災力を高めるための連携」、「大規模災害時等における広域的な対応」の必要性について「指針」に盛り込むべきである。その主な内容は以下のとおりである。

(1)総合性の発揮
 住民の消防需要に対応した十分な消防力の水準を確保するためには、各職員及び隊が各業務を的確に実施するのに必要な職務能力を保持した上で、複数の分野にまたがる総合的な職務能力を高めるとともに、市町村の関係部署との連携を深める必要がある。そのため、
各職員が複数の分野の経験を経ることにより、職務能力を高めること。
組織全体としての円滑な業務の遂行に留意しつつ、各業務間における人事の流動性向上や業務間における兼務を図ること。
常備消防は、当該市町村の関係部署、消防団、自主防災組織や地域の事業所等の民間組織とともに、地域の総合力を活用して災害予防、応急対策等を行うこと。

(2)複雑化・多様化・高度化する災害への対応
 近年、消防の対応すべき事象は、通常の火災や救急事案のほか、大規模・特殊災害、さらには武力攻撃災害等、著しく複雑化・多様化・高度化しており、こうした災害に十分に対応できる適切な体制の整備を図る必要がある。そのため、
ア 合理的に人員を配した警防活動体制及び現場指揮体制の整備を図ること。
イ 高度で専門的な知識・経験を有する予防要員を確保すること。
ウ 救急業務の高度化・専門化に的確に対応した救急体制の整備を図ること。

(3)地域の防災力を高めるための連携
 災害対応における地域の防災力を高めるためには、常備消防及び消防団と市町村の防災部署との連携が必要である。そのため、
通常火災等に対応するための消防力のほか、各種災害への対応に必要な資機材の整備、災害情報の伝達、避難誘導等に必要となる施設及び人員の整備を図ること。
消防団については、災害時の住民の避難誘導、その他地域ごとに想定される災害対応に必要な人員を確保すること。

(4)大規模災害時等における広域的な対応
 単独の市町村では対応できないような大規模・特殊災害、また、国がより主体的な役割を果たすべき武力攻撃災害等において、他の市町村、都道府県及び自衛隊等の関係機関と協力しつつ、広域的な対応体制を確保することが必要である。そのため、

市町村間の相互応援に関する協定等に基づく応援、緊急消防援助隊の応援等を受けることができるよう通信、指揮、指令等の体制を整備すること。
当該市町村における体制整備のほか、緊急消防援助隊の編成や出動に係る支援体制、高度な資機材の整備等、広域的な観点からの消防力の充実が必要となること。

3 求められる職務能力の明示
(1)消防職員に必要とされる職務能力
 消防職員は、特定の分野において専門性を高めることが求められており、このため、消防職員の分野別に求められる職務能力を明確にするとともに、その能力を高める必要がある。
 また、人事ローテーションによって複数の分野の知識・技術・経験を経ることにより、各分野におけるより高度な職務能力を備えることとなる。例えば、警防要員であっても、予防や救急・救助の知識経験を有することにより、建築物構造の知見の活用や人命救助活動との連携を図ることができ、警防要員としての能力をより発揮することができるなど、消防の各業務は、相互に深い相関関係を有するものであり、このことは、職員としての総合性を発揮することにつながる。
 以上のことから、「指針」において、消防職員の分野別に求められる職務能力を明確にするとともに、できるだけ幅広い経験を経ることにより、より高い水準を確保していく必要性について明記するべきである。

(2)消防長が備えるべき資質
 消防長は、市町村消防を統括し、指揮監督する最高の責任者としての地位を占めており、住民の生命・身体・財産を災害から守るという大きな責任が課せられているとともに、私人の権利の制限に関わる強い権限が与えられている(消防法第29条第2項等)。
 したがって、大規模・特殊災害や武力攻撃災害等への対処をも含め、消防長には、消防活動に係る実務的な責任能力・判断能力が求められる。あわせて防災業務等における消防の役割の増大などを踏まえ、行政全体にわたる幅広い見識が求められている。
以上のことから、「指針」において、消防長が備えるべき資質として、「一定期間の消防業務の従事経験又は教育訓練の受講の必要性」及び「防災業務等行政全体にわたる幅広い見識の必要性」について、明記するべきである。

4 「兼務」概念の導入
 現行の基準では、職員数は専任を前提に算定されており、基準の充足率は、実態に比して、相当低いものとなっているが、実際上は他の業務との兼務がかなりの程度行われている。例えば、警防要員と救急要員とが相互に兼務している消防本部、警防要員が予防要員を兼務している消防本部などの実態がみられるところである。
 異なる業務間の兼務は、職員の能力の効率的な活用につながるものであり、総合的な消防力の向上にも資するものであり、実態を踏まえつつ、「指針」に「兼務」概念を導入するべきである。
 なお、この場合、兼務が消防業務全般にわたって無制限に広がることになれば、かえって消防力の低下を招くこととなるため、必要な消防力が確保されるよう適切な基準を示すべきである。

(1)消防ポンプ自動車等及び救急自動車の搭乗隊員の兼務の基準
 現行の基準では、消防署所(消防署又は出張所)において管理する消防ポンプ自動車及び救急自動車の搭乗隊員は、各々の業務を専任として従事することが、職員数の算定の基礎となっている。
 しかしながら、火災出動の頻度の少ないところにおいては、消防ポンプ自動車等の搭乗隊員が、救急自動車の搭乗隊員を兼務する勤務形態をとる消防本部が多く存在している。地方公共団体意向調査結果によれば、管轄人口4万人未満の消防本部では、救急自動車の搭乗隊員の過半数が消防ポンプ自動車等の搭乗隊員を兼務しているという実態が示されている。
 こうした本部においては、消防署所に配置された救急自動車が出動中に当該消防署所の管轄地域から火災通報があった場合に、消防ポンプ自動車等に搭乗すべき隊員が不足し、火災の初期対応に支障を来すという事態が懸念されるところである。
 このことから、全国の消防本部の実態を踏まえつつ、住民の消防への期待に応えるため、救急自動車が出動している時に火災が発生する確率が低い消防署所における消防ポンプ自動車等の搭乗隊員と救急自動車の搭乗隊員の兼務の基準を明確化するべきである。

(2)都市部における消防ポンプ自動車及び救急自動車の搭乗隊員の兼務の基準
 都市部においては、救急需要が急速に増加しており、これへの対応を図る必要があるが、厳しい財政事情等を考慮すると、専任の救急隊員の大幅な増加を望むことは困難な状況にある。
 また、救急自動車の搭乗隊員の業務量が、消防ポンプ自動車等の搭乗隊員の業務量に比較して多くなり、両者の勤務実態に濃淡が生じている。
 そこで都市部においては、救急事案の増加に対応した必要な救急自動車を整備するとともに、当該車両に必要な人員については、消防ポンプ自動車の搭乗隊員を救急隊員にシフトさせることとするべきである。当該救急隊員については、火災発生時には消防ポンプ自動車に搭乗する兼務隊員とするべきである。
 (1)で述べた「消防ポンプ自動車等及び救急自動車の搭乗隊員の兼務の基準」が、火災の発生頻度が少ない地域における両者の兼務についての考え方を示したものであるのと異なり、ここでの基準は都市部における救急需要の増加に対応するためのものであることを踏まえ、兼務を行う消防署所の管轄区域における火災対応について、「隣接消防署所の消防ポンプ自動車が出動から6.5分以内に放水開始することが可能であり、かつ、兼務を行う消防署所の消防ポンプ自動車及び救急自動車の出動状況を、隣接する消防署所において、確認できる体制が必要」というより厳しい要件を課することとするべきである。

(3)予防業務の兼務の基準
 現行の基準では、予防要員は専任となっているが、今後の複雑化・高度化する予防需要に対応するため、兼務の予防要員を基準化し、総体としての予防需要への対応力の強化を図ることとするべきである。
 具体的には、8予防業務(1)アで述べるように、人口10万人の標準団体における予防要員数を現行の12人相当から15人相当とする必要があるが、そのうち専任要員として12人相当、交替制勤務の兼務要員として3人相当を確保するべきである。
 なお、交替制勤務の兼務要員の予防業務の従事形態は、災害発生時に緊急車両に搭乗する場合を除き、予防業務に従事する形の兼務とし、その業務内容は防火指導等を行うものとするべきである。

5 施設の性能・効果を考慮した基準の導入
 現行の基準では、消防車両等の必要数を算定し、それに一定の搭乗隊員数を乗ずることにより、所要の人員数を算定することとしており、画一的な装備技術・消防活動の形態を前提とした基準となっている。しかし、動力付ホースカーや現場活動用無線機の導入など消防機器の進歩等により施設の性能・効果が大きく向上していることを踏まえ、人員と施設(車両等)を個別にとらえるのではなく、施設の性能・効果を考慮に入れた上で配置すべき人員・施設を定めた基準とするべきである。

消防ポンプ自動車等の搭乗隊員数の基準
 現行の基準では、消防ポンプ自動車等(市街地に該当しない地域に設置した消防署所に配置するものを除く。)の搭乗隊員の数は、消防ポンプ自動車等1台につき5人とされ、二の消防隊が連携して火災の鎮圧等を行う場合にあっては、いずれか一方の消防隊の隊員の数を4人とすることができるとされている。
 装備に係る技術開発や消防戦術の進歩等を受け、人員・施設を合わせた性能・効果の充足により、新たに搭乗人員を減じることができる条件を明示するべきである。

ア 消防ポンプ自動車・化学消防車
消防隊員の活動時の負担を軽減する資機材・装置(隊員相互間の情報伝達のための現場活動用無線機及び動力付ホースカー)を有する場合は、搭乗隊員を減じることができることとするべきである。

イ はしご自動車・屈折はしご自動車
はしご操作時の障害監視を軽減する自動停止装置を有し、かつ、他の消防隊又は救助隊との連携活動が事前に計画されている場合は、搭乗隊員を減じることができることとするべきである。

6 防災・危機管理に関する基準の導入
 近年、消防は、大規模・特殊災害や武力攻撃災害等への対応が求められているが、現行の基準では必ずしもこうした災害に対応する規定は十分に盛り込まれていない。
 市町村の防災業務は、消防機関(消防本部・消防団)に限らず、市町村長部局や自主防災組織等を含めた総合力で対応するものであり、消防機関が実質的に担うべき防災業務は、消火・救急を始め、災害情報の伝達、住民の避難勧告・誘導、防災啓発、自主防災組織の指導育成など、その一部を構成するものである。しかし、消防組織法上、水火災又は地震等の災害の防除が消防の任務として位置付けられていること、また、近年、市町村の防災力の強化が重要課題とされていること等を踏まえ、消防業務に関係する次の項目について、新たに「指針」に盛り込むべきである。

(1)NBC災害対応資機材の配置基準
 NBC(放射性物質(Nuclear)、生物剤(Biological)及び化学剤(Chemical))災害への対応については、「救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令」(昭和61年自治省令第22号)及び「救助活動に関する基準」(昭和62年消防庁告示第3号)において、消防本部を置く市町村が、救助工作車に地域の実情に応じて関係する資機材を配置することとされている。
 現在、テロを含めた危機管理に対する適切な対応が消防に対して要請される社会情勢の中で、市町村の消防責任を十分に果たすため、上記の省令及び告示を踏まえつつ、より具体的なNBC災害対応資機材の配置基準について「指針」に盛り込むべきである。
 なお、これらの資機材の配置に当たっては、人口分布や重要施設の立地等を勘案し、広域的な災害対応体制を確保する必要がある。

(2)同報系無線の設置基準
 同報系無線は、住民に災害情報を一斉に伝達することが可能であり、気象予警報や避難勧告等の伝達に極めて重要な役割を果たすものである。また、武力攻撃災害等における住民の避難誘導においても、必要不可欠な施設整備であるが、全国整備率は、67.8%(平成16年3月末現在)にとどまっている。
 同報系無線を活用するのは、実際の避難誘導の主体となる消防機関であることから、その整備及び活用を促進するため、全市町村が整備する必要がある旨「指針」に盛り込むべきである。

(3)消防庁舎の耐震化等の基準
 大規模災害時等における防災拠点の中核である消防庁舎は、被災により使用不能となることがないよう、庁舎の耐震化、風水害への対応、停電時の非常用電源等を全市町村が整備する必要がある旨「指針」に盛り込むべきである。

(4)消防本部と消防団との通信設備の整備基準
 現行の基準では、消防団に、分団との連絡のための適当な通信装置を設置することが規定されている。
 大規模災害時等においては、道路の遮断、市町村防災無線の使用不能等の事態が発生することがあるため、孤立した地域等において活動中の消防団と消防本部とが無線等で直接交信することによって、被災状況の早期の把握、迅速な消防活動等を可能とすることが極めて重要である。
 したがって、すべての消防本部と消防団との間の通信設備を全市町村が整備する必要がある旨「指針」に盛り込むべきである。

7 警防業務
指揮隊及び指揮隊車の配置基準
 現行の基準では、指揮活動を行うため、相応の階級を有する消防吏員の配置については規定されているが、指揮隊についての基準は設けられていない。
 災害現場における安全の確保及び円滑・効果的な警防活動の遂行の観点から、責任ある者が、高度な情報収集・判断の下、組織的で厳格な指揮を行う仕組みが必要であるが、各消防本部における指揮体制はまちまちであり、特に小規模消防本部などでは、専任の指揮隊が設けられていないことが多い。
 したがって、組織的・効果的な指揮が行える体制を構築し、消防力の強化を図るとともに、消防活動における組織的な安全管理の徹底を期する必要がある。

ア 指揮隊車の配置
 複数の消防隊、救急隊又は救助隊等が連携して災害活動を行う場合の指揮活動に使用する指揮隊車を、消防署ごとに配置することが適当である。

イ 指揮隊車の搭乗隊員数
 指揮隊車(市街地に該当しない地域に設置した消防署に配置するものを除く。)に搭乗し、専ら指揮活動を行う隊員の数は、指揮隊車1台につき、「現場の統括」、「部隊の運用・管理、安全管理」及び「災害に関する情報の収集・管理」を担う3人以上とするべきである。また、災害が発生した場合に、多数の人命危険又は消防活動上の困難が発生するおそれが大きい「超高層建築物」、「地下鉄」、「大規模・特殊な危険物施設」等が存する消防署に配置する指揮隊車にあっては、1台につき4人以上とするべきである。

○ 指揮活動のイメージ図

8 予防業務
(1)予防要員数の基準
 現行の基準では、予防要員の数は、「立入検査、消防同意、消防用設備等の設置時検査、火災原因調査等の事務」(以下「予防事務」という。)に要する人員数と、危険物事務に要する人員数を合算して求めることとされている。

ア 予防事務に要する人員
 現行の基準では、予防事務に要する人員数については、市町村の人口に10万分の12を乗じて得た数を基準として、市町村の区域の面積、市町村に存する防火対象物の数等を勘案した数とされているが、予防事務が複雑化・高度化するとともに、さらに違反処理の推進、性能規定化などの新たな制度が導入されたことを踏まえ、予防事務に要する人員数の算定指標を、市町村の人口から予防事務量と密接な相関関係がある防火対象物数に改め、市町村に存する特定防火対象物数、非特定防火対象物数、戸建て住宅数をもとに予防事務に要する人員数を算定するべきである。
 これにより、人口10万人の標準団体における予防事務に要する人員数は現行の12人相当から15人相当になるものである。(兼務の取扱いについては4「兼務」概念の導入(3)のとおり)

イ 危険物事務に要する人員
 現行の基準では、危険物事務に要する人員数については、市町村に設置されている危険物の製造所等の数を150で除して得た数を基準として、危険物の製造所等の種類及び規模、少量危険物の施設の数及び種類等を勘案した数とされている。
製造所等の種類及び規模の大小の違いにより、検査等に要する事務量について相違が生じることから、危険物施設の危険性(施設区分ごとの事故発生率)及び技術基準の構成の複雑さ(審査、検査等に要する時間)等を考慮して算定した数を危険物事務に要する人員数とするべきである。

(2)予防要員の資格等
 現行の基準では、予防要員についての資格要件は設けられていないが、予防業務については、新たに性能規定化が導入されたこと、違反処理の推進や防火対象物点検報告制度が導入されたこと等により、高度化・専門化が進展している。これらに対応するための予防要員の資格制度を創設することが必要である。

ア 予防技術資格者(仮称)
 国として、予防に関する一定の知識・技術を有する者を確保するため、一定の専門の課程を修了していることを受験資格とする全国統一的な試験制度を新たに創設するべきである。
 この試験に合格し、かつ、予防業務の実務経験を概ね2年以上有する職員を「予防技術資格者(仮称)」(以下「資格者」という。)として、消防長が認定するべきである。
 なお、消防同意事務等の中核的な予防業務の実務経験を一定期間以上有する職員及び消防大学校で火災予防に関する課程を修了した職員については、その豊富な知識・経験等から、資格者の資格を付与することが適当である。

イ 予防技術資格者の配置の基準及び処遇
 消防本部・消防署において専ら予防業務を担当する係には、少なくとも資格者を1人以上配置するものとするべきである。
資格者については、その勤務実績も踏まえ、予防業務を担当する係における指導的立場に置くなど、昇格・昇任等の処遇面での配慮を行うことが望ましい。

9 救急業務
救急自動車の搭乗隊員数の基準
 現在、救急隊の編成人数は、「消防力の基準」及び消防法施行令第44条の規定において、救急自動車1台につき3人とされている。
救急需要が増加の一途をたどっている一方で、市町村の財政状況等から救急需要の増加に合わせて救急隊員の数を増加させることは困難な状況にある。
 また、病院間の救急搬送としての転院搬送では、高度医療機関への遠距離搬送の場合など、1件当たりの活動が長時間となり、その間の当該救急隊の管轄地域の救急体制等に支障が生じることがある。
 この転院搬送においては、当該転院搬送に係る医療機関に属する医師、看護師、准看護師又は救急救命士のうち1人が同乗し、救急隊員2人と合わせて3人が確保される場合、救急隊員3人の場合と同等以上の救急業務の実施が担保されることから、転院搬送において、これらの医療従事者が同乗する場合には、救急隊の搭乗隊員を3人から2人とすることができることとするべきである。

10 消防団
 消防団は、火災、風水害、震災等の災害対応や日常的な防火指導等の活動において、地域の消防・防災力の維持・向上に不可欠な役割を果たしているが、消防の常備化の進展、社会環境の変化に伴い、団員数の減少やサラリーマン化等多くの課題に直面しており、消防団の充実強化・活性化が喫緊の課題である。
 現行の基準では、消防団員の総数の決定に当たっては、消防団の業務を円滑に遂行するために必要な数を、市町村の判断によって定めるものとされているが、算定指標は示されていない。
 しかしながら、消防団の役割を反映する具体的な算定指標を示すことは、市町村が必要とする団員数を客観的な条件に基づき算定し、団員確保を進めるのに資することから、算定指標を「指針」において明示するべきである。
 この場合、「通常の火災に対応するために必要な団員数」と「大規模災害や武力攻撃事態等に対応するために必要な団員数」について、数値指標を示すとともに、「地域固有の事情に起因する特別の災害対策に必要な団員数」として考慮するべき地域特性を示すことが適当である。また、これらの団員数によって、日常的な防火指導等の活動も十分に行えるものである。
 以下の(1)から(3)により算定した団員数は、少なくとも現在、地域の防災力を担うために必要な団員数として設定している当該市町村の条例定数を下回ることはないと考えられる。各市町村においては、この指標を整備目標として、消防団員の拡充に努めることが必要である。

(1)通常の火災に対応するために必要な団員数の基準
 消防団が管理する消防ポンプ自動車等の操作に必要な人員(消防ポンプ自動車1台につき5人、手引動力ポンプ又は小型動力ポンプ1台につき4人)の3倍(災害発生時の団員の災害現場への参集率を考慮)の数とするべきである。

(2)大規模災害や武力攻撃事態等に対応するために必要な団員数の基準
 @地域において住民の主要な避難場所として指定されている公立小学校へ住民を避難誘導する場合を想定して、小学校区内の可住地(田、畑及び宅地)面積を団員1人が避難誘導をできる面積(0.06〜0.09?)で除して得た数、A指揮者の数(小学校区ごとの団員数の概ね1割)、B消火等の活動に必要な団員数として消防団が管理する消防ポンプ自動車等の操作に必要な人員の数を合算した人員とするべきである。

(3)地域特性を考慮した算定
 (1)、(2)のほか、他所からの応援が困難な離島地域など市町村の地理的特性、また、林野火災、火山、豪雪、水害、土砂災害等地域固有の事情に起因する災害対策に必要な団員数を加算する必要があるが、市町村はそれぞれの地域特性に応じて必要となる消防団員数を算定するものとするべきである。

 



ページTOPへ
閉じる
総務省消防庁 〒100-8927 東京都千代田区霞が関2-1-2 電話 03-5253-5111(代表)
Copyright© Fire and Disaster Management Agency. All Rights Reserved.
サイトマップ プライバシーポリシー