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消防機関と医療機関の連携のあり方に関する答申
平成21年2月9日 消防審議会
平成20年12月18日付けで諮問のあった「消防機関と医療機関の連携のあり方」について別紙のとおり答申する。
平成21年2月9日
消防審議会会長 吉井 博明
消防庁長官 岡 本 保 殿 |
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(別紙)
消防機関と医療機関の連携のあり方に関する答申
1.現状と課題
救急出場の件数はこの10年間で50%以上増加しており、救急業務の重要性は増す一方である。加えて、近年、医療の進歩とともに、傷病の発生初期に実施すると効果的な医療技術が発達しているところであり、救急搬送における病院選定から医療機関における救急医療の提供までの一連の行為を円滑に実施することが、傷病者の救命率の向上及び予後の改善等の観点から重要な課題となっている。
このような中、消防機関と医療機関とが密に連携して、救急搬送・救急医療を提供することによって、国民の安心・安全に寄与することが、期待されるところである。しかしながら、救急搬送において受入医療機関の選定が困難である事案(選定困難事案)が社会問題化しているのが現状であり、平成19年中のデータによると、重症以上傷病者の救急搬送約39万件のうち約1万6千件(約4.0%)の事案で、また、産科・周産期傷病者の救急搬送約2万3千件のうち約1千3百件(約5.7%)の事案で、救急隊が現場に到着してから現場を出発するまでに30分以上を要している。
このような、受入医療機関の選定が困難となり、救急搬送が長時間化する事案の要因として、救急医療に携わる医師が十分ではなく、その確保が困難であるといった構造的な問題に加え、地域によっては、傷病者の搬送・受入の際に、どういった順番で医療機関に要請を行い、どの医療機関に搬送するか等について、消防機関と医療機関との間で明確なルールが決められていないことや、受入要請の際に双方の情報伝達が必ずしもうまくいかないといったことが考えられる。円滑な救急搬送・受入体制を構築することは、国民の安心・安全に関わる問題であり、消防と医療の連携体制を強化し、受入医療機関の選定困難事案の発生をなくしていくことが、全国的な喫緊の課題である。
救急業務の特性として、救急搬送の主体である消防機関は、受入医療機関が決定しない限り傷病者を搬送することが出来ず、医療機関により傷病者が受け入れられない場合には、救急業務を完遂することが出来ない。しかしながら、傷病者の救急搬送・受入れが円滑に実施されるよう調整を行う主体については、現行制度上は明らかになっていない。すなわち、消防については市町村業務として実施され、一方、医療提供体制については都道府県が策定する医療計画に基づき整備されているが、双方を調整する行政主体がいずれかということに関して、責任・権限の主体が必ずしも明確なものとはなっていない。
また、こうした消防機関と医療機関とが行う救急搬送・受入れを円滑に実施するためには、医療機関の選定が速やかに行われない事態が発生した場合における受入医療機関の確保や、消防機関と医療機関が確実に情報共有を行うためのルールを策定するなどのシステム構築を行う必要がある。さらに、ルールの策定や救急搬送の運用状況の検証を行うために、消防機関と医療機関が常に協議を行う体制を強化することが必要である。
2.連携体制強化のための提言
救急医療に携わる医師や施設・設備を十分に確保するという、国として中・長期的に取り組むべき課題はあるが、当面の課題としては、今ある医療体制の下においても、受入医療機関の選定困難事案の発生をなくしていくことが重要である。そのためには消防と医療の連携体制を強化することが必要であるが、医療提供体制の整備等は、市町村より広域単位で行われていることを考えれば、都道府県が主体的な役割を担うことが重要となる。その上で、都道府県を中心として、次の連携体制を強化する方策を講ずるべきである。
(1) 救急搬送・受入れの実施に関するルールの策定
救急搬送を行う消防機関と、受入れを行う医療機関が共通のルールに基づくことによって、救急搬送・受入れの実施が円滑になり、受入医療機関の選定困難事案の解消が図られるものと考えられる。こうした共通ルールの作成については、先に述べたとおり、消防業務は市町村単位で実施されている一方で、医療提供体制は都道府県が策定する医療計画に基づき市町村より広域な二次医療圏単位で整備されていること、救命救急センター等の医療資源は市町村を越えて活用されていること、ドクターヘリや消防防災ヘリ等の活用により広域搬送が行われていること等を考えると、個々の市町村が消防機関と医療機関の調整を行うよりも、都道府県が広域的観点も含め調整を行い、ルールを策定することが適当である。
救急搬送・受入れの実施に関するルールについては、(2)で述べる組織での協議を通して策定されることとなるが、その内容としては、
@ 傷病者の状況に応じた搬送先となる医療機関のリスト
A 消防機関が傷病者の状況を確認し、@のリストの中から搬送先医療機関を選定するためのルール
B 消防機関が医療機関に対し傷病者の状況を伝達するためのルール
C 搬送先医療機関が速やかに決定しない場合において傷病者を受け入れる医療機関を確保するためのルール
といったことが考えられる。
(2) 救急搬送・受入れに関する組織の設置
円滑な救急搬送・受入体制を構築し、選定困難事案の解消を図るためには、搬送を行う消防機関と受入れを行う医療機関の連携が不可欠であり、両者が同じテーブルについて協議を行うための組織を設置することが必要である。
この組織は、消防機関、医療機関の他、行政関係者や関係団体等が参画することとし、(1)の救急搬送・受入れの実施に関するルール作りのための協議や、救急業務に関する調査や検証などの連絡調整を行う役割が求められる。 また、当該組織については、メディカルコントロール協議会等の、既存の協議会等がある場合には、その活用を図ることがより効率的で実効性が高いと考えられる。
3.おわりに
以上、平成20年度の消防審議会としては、消防機関と医療機関が連携し、円滑な救急搬送・受入体制を実現するための方策として、各都道府県において、救急搬送・受入れの実施に関するルールを策定すること及び救急搬送・受入れに関する組織を設置することについて、制度改正等を早急に行うことを求める。なお、制度改正や策定されたルールについては、その実施状況等を検証し、必要な見直しを随時行うとともに、救急隊員等の教育を更に充実することが大切である。
消防機関が傷病者の搬送を適切に行い国民の生命を守ることは極めて重要であることから、消防庁においては、関係機関との連携に十分留意しながら、できるだけ速やかに所要の措置を講じ、この答申の実現に努めるよう要望する。
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−資料−
参考資料
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救急搬送の現状
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救急搬送における医療機関の受入状況(重症以上傷病者)
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2 |
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救急搬送における医療機関の受入状況(産科・周産期傷病者)
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大都市の産科・周産期傷病者搬送事案における 現場滞在時間30分以上の事案が占める割合
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4 |
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医療機関選定困難事案の発生の背景
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都道府県の役割について
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円滑な搬送・受入を実施するために必要な対策について
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消防・医療連携による協議会について
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円滑な搬送・受入を確保するためのルールについて
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@ 傷病者の状況に応じた搬送先となる医療機関のリスト(イメージ)
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@ 傷病者の状況に応じた搬送先となる医療機関のリスト(東京都の事例)
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A 消防機関が傷病者の状況を確認するためのルール(東京都の事例)
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C 医療機関が速やかに決定しない場合に 医療機関を確保するためのルール(東京都の事例)
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14 |
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参考:救急搬送における重症度・緊急度判断基準作成委員会報告書
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参考:地域医療の機能強化に関する関係閣僚会議
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参考:周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会
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参考:メディカルコントロール体制の現状
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18 |
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参考:メディカルコントロール協議会の所掌事務の拡大、位置付けの強化
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参考:「救急業務の高度化の推進について」(平成13年7月救急救助課長通知)
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