通知・通達

消防予第67号 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成10年5月1日)

消防予第67号
平成10年5月1日


各都道府県消防主管部長
  殿



消防庁予防課長     

消防用設備等に係る執務資料の送付について(通知)


 標記の件について、別紙のとおり質疑応答をとりまとめたので、執務上の参考とされるとともに、貴管下市町村への周知方御願いする。

(別紙)

第1 消防用設備等の設置基準

 1 屋内消火栓設備

(加圧送水装置の制御盤の設置場所について)
問1 屋内消火栓設備の加圧送水装置は、消防法施行令(以下「令」という。)第11条第3項第1号ニ及び第2号ニにおいて「火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けること」とされているが、加圧送水装置の基準(平成9年消防庁告示第8号)第6に規定する制御盤については、次により設置することとしてよいか。
制御盤の区分 設置場所
第1種制御盤 特に制限なし
第2種制御盤 不燃室
その他 不燃室(電気室、機械室、中央管理室、ポンプ専用室その他これらに類する室に限る。)
 * 不燃室:不燃材料で造られた壁、柱、床及び天井(天井のない場合にあっては屋根)で区画され、かつ、窓及び出入口に甲種防火戸又は乙種防火戸を設けた室

答 お見込みのとおり。

2 二酸化炭素消火設備

(放出表示灯及び音響警報装置の設置位置について)
問2 消防法施行規則(以下「規則」という。)第19条第4項第17号、第19号及び第19号の2の規定により、防護区画及び防護区画に隣接する部分には放出表示灯及び音響警報装置を設けることとされているが、その設置位置は下図のとおりとしてよいか。



答 お見込みのとおり。
 なお、区画Aが通常の使用形態において有人である場合には、当該区画についても2方向避難を確保するか、又は音響警報装置を設けることが望ましい。

(放出表示灯及び音響警報装置の作動時期について)
問3 防護区画に隣接する部分に設けられている放出表示灯及び音響警報装置は、防護区画に設けられているものと同時に作動させればよいか。

答 お見込みのとおり。

(エレベーターの乗降ロビーの取扱いについて)
問4 エレベーター(非常用エレベーターを除く。)の乗降ロビーが防護区画に隣接する部分となる場合、どのような措置を講ずるべきか。

答 原則として、当該部分への設置を避ける必要がある。
 なお、やむを得ず設置する場合にあっては、全域放出方式の二酸化炭素消火設備の作動と連動してエレベーターが当該階に停止しないようにするとともに、二酸化炭素放出後におけるエレベーターの運行、人員管理等の対応を的確に行う必要がある。この場合において、当該エレベーター内の放出表示灯については、設置を免除してさしつかえない。

(音響警報装置と警報設備の鳴動方法について)
問5 全域放出方式の二酸化炭素消火設備の音響警報装置から音声メッセージが発せられている間は、当該防護区画及び防護区画に隣接する部分については、自動火災報知設備又は非常警報設備の鳴動を自動的に停止し、又は設置位置、音圧レベルの調整等により、音声メッセージ等の内容の伝達に支障をきたさないよう措置すべきと考えるがどうか。

答 お見込みのとおり。

(移動式の二酸化炭素消火設備を設置することのできる場所について)
問6 次の(1)又は(2)に掲げる場所については、規則第19条第5項第5号の「火災のとき煙が著しく充満するおそれのある場所以外の場所」として取り扱うこととしてよいか。

 (1) 壁面について、次のア又はイに該当すること。
  ア 長辺の一辺について常時外気に直接開放されており、かつ、他の一辺について当該壁面の面積の2分の1以上が常時外気に直接開放されていること。
  イ 四辺の上部50cm以上の部分が常時外気に直接開放されていること。

 (2) 天井部分(上階の床を兼ねるものを含む。)の開口部の有効開口面積の合計が当該場所の面積の合計の15%以上確保されていること(開口部が著しく偏在する場合を除く。)

答 (1)及び(2) お見込みのとおり。

3 非常警報設備

(火災放送を行う場合について)
問7 非常警報設備の基準(昭和48年消防庁告示第6号)第4、5(2)イ(ロ)Cの「その他火災が発生した旨又は火災が発生した可能性が高い旨の信号」に、第一報の感知器が作動した警戒区域以外の警戒区域からの火災信号は該当すると解してよいか。

答 お見込みのとおり。

4 屋内消火栓設備及びスプリンクラー設備の代替設備

(パッケージ型消火設備を設置することができる場所について)
問8 「屋内消火栓設備及びスプリンクラー設備の代替設備の取扱いについて」(平成9年11月27日付け消防予第182号。以下「182号通知」という。)1(3)ウに掲げる「地階、無窓階又は火災のとき煙が著しく充満するおそれのある場所以外の場所」については、規則第19条第5項第5号の規定に該当する場所によるほか、次に掲げる場所についても該当するものとして取り扱ってよいか。

 (1) 使用形態が、自動車の修理場、駐車場、発電室、変電室、ボイラー室、乾燥室、通信機械室及び指定可燃物貯蔵・取扱所その他これらに類するものではないこと。

 (2) 二方向避難が確保されている、主要な避難口を容易に見通すことができる等、避難経路が明確であること。

答 お見込みのとおり。

(パッケージ型自動消火設備を設置することができる防火対象物の要件について)
問9 パッケージ型自動消火設備を設置することができる防火対象物の要件については、182号通知2(2)において「延べ面積が概ね1万平方メートル以下」とされているが、令別表第1(5)項ロに掲げる防火対象物にあっては、11階以上の階の床面積の合計を延べ面積とみなすこととしてよいか。

答 「共同住宅等に係る消防用設備等の技術上の基準の特例について」(平成7年10月5日付け消防予第220号。以下「220号通知」という。)第3に掲げる建築構造上の要件を満たす場合にあっては、お見込みのとおり。

(補助散水栓の代替について)
問10 182号通知1(2)に掲げるパッケージ型消火設備を設置することができる防火対象物の要件に該当しない防火対象物についても、同通知2(4)により補助散水栓の代替としてパッケージ型消火設備を設置することを認めてよいか。

答 お見込みのとおり。

(住宅用スプリンクラー設備の設置方法について)
問11 令別表第1(5)項ロに掲げる防火対象物のうち、令第12条第1項の適用を受けるものについて、スプリンクラー設備の代替として住戸に住宅用スプリンクラー設備を設置する場合、住戸以外の部分については令第12条第2項の規定により、スプリンクラー設備を設置することが必要となるが、規則第13条第3項の規定によりヘッドを設置しなくてもよい部分にあっては、補助散水栓の代替としてパッケージ型消火設備を設置することを認めてよいか。

答 お見込みのとおり。

(共同住宅用スプリンクラー設備の設置方法について)
問12 スプリンクラー設備の代替として共同住宅用スプリンクラー設備を設置する場合には、220号通知の例によることとされているが、これには同通知第3の建築構造上の要件も含まれるか。

答 お見込みのとおり。

第2 共同住宅等に係る消防用設備等の技術上の基準の特例

(固定型消火機器による住宅用消火器の代替について)
問13 220号通知の特例基準中、住戸、共用室及び管理人室内に設ける住宅用消火器について、「住宅用防災機器等推奨制度の対象品目の追加等について」(平成4年1月28日付け消防予第12号)別紙1に定める技術ガイドラインに適合する固定型消火機器により当該住戸、共用室及び管理人室内が有効に防護される場合には、代替を認めてよいか。

答 お見込みのとおり。

第3 令8区画・共住区画

(令8区画の構造について)
問14 令8区画の構造については、「令8区画及び共住区画の構造並びに当該区画を貫通する配管等の取扱いについて」(平成7年3月31日付け消防予第53号)1(1)アにおいて「鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又はこれらと同等に堅牢かつ容易に変更できない耐火構造」とされているが、壁式鉄筋コンクリート造(壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造を含む。)及びプレキャストコンクリートカーテンウォールについて、これに該当するものとして取り扱ってよいか。

答 お見込みのとおり。

(令8区画等を貫通する鋼管等を使用する範囲について)
問15 「令8区画及び共住区画を貫通する鋼管等の取扱いについて」(平成8年3月27日付け消防予第47号。以下「47号通知」という。)1において、令8区画等を貫通している部分及びその両側1m以上の範囲は鋼管等を使用することとされているが、次の場合、貫通部から1m以内となる部分の排水管に衛生機器を接続してよいか。

 (1) 衛生機器の材質は、不燃材料である。

 (2) 排水管と衛生機器の接続部には、塩化ビニール製の排水ソケット及びゴムパッキンが用いられているが、これらは不燃材料の衛生機器と床材で覆われている。

答 さしつかえない。

(令8区画等を貫通する鋼管等の種類について)
問16 令8区画及び共住区画を貫通する鋼管等の種類について、JISG3448(一般配管用ステンレス鋼鋼管)及びJISG3459(配管用ステンレス鋼鋼管)に適合するものは、47号通知2に該当するものとして取り扱ってよいか。

答 お見込みのとおり。

第4 消防用設備等に係る試験・点検

(自動火災報知設備の配線に係る総合点検結果の記録・報告について)
問17 平成9年消防庁告示第13号により、自動火災報知設備点検票から配線に係る総合点検結果の記入欄が削除されたが、当該事項については、配線点検票により記録及び報告を行えばよいのか。

答 お見込みのとおり。

(自動火災報知設備の感知器の作動時間等の判定について)
問18 平成9年12月24日付け消防予第200号及び第201号により、自動火災報知設備の試験基準及び点検要領から、感知器の作動時間に係る数値及び蓄積機能を有する自動火災報知設備の蓄積時間に係る数値が削除されたが、その判定はどのようにして行うべきか。

答 これらの事項については、従前作動までの時間を測定して判定を行っていたものであるが、試験・点検の実施の円滑化等の観点から、正常な作動の確認のみで足りることとしたものである。また、作動までに非常に時間がかかるもの、作動が確認できないもの等については改善のための措置を講ずる必要があるが、その目安となる時間は次のとおりである。
          作動時間[秒]
         \
感知器

感知器の種別

特種

1種

2種

3種

差動式スポット型

30

30

定温式スポット型*1

40

60

120

熱アナログ式スポット型*1

40

イオン化スポット型
光電式スポット型
イオン化アナログ式スポット型
光電アナログ式スポット型

30

60

90

光電式分離型 光電アナログ式分離型

30

30

炎感知器*2

30

1 定温式スポット型又は熱アナログ式スポット型については、それぞれ公称作動温度又は火災表示に係る設定表示温度と周囲温度との差が50度を超える場合は、作動時間を2倍の値とすることができる。
*2 炎感知器については、屋内型、屋外型及び道路型のいずれの区分についても30秒以内である。

(共住特例に係る消防用設備等の試験・点検方法について)
問19 平成10年3月31日付け消防予第45号及び第46号により、共同住宅用スプリンクラー設備、共同住宅用自動火災報知設備及び住戸用自動火災報知設備並びに共同住宅用非常警報設備の試験基準及び点検要領が示されたが、例えば共同住宅用自動火災報知設備における差動式分布型感知器のように、220号通知の特例基準(以下「共住特例」という。)では設置が認められているが、試験基準及び点検要領では特段掲げられていない事項については、どのように試験及び点検を実施すべきか。

答 共住特例に係る消防用設備等については、通常の共同住宅等に設置することが想定されるものについて試験基準及び点検要領が定められたものである。したがって、設問の場合については、共住特例の適用を受けない消防用設備等の試験基準及び点検要領の例により、試験及び点検を実施することとされたい。

第5 消防用設備等に係る届出等

1 消防用設備等に係る軽微な工事に関する運用

(消防用設備等の改修の位置づけ等について)
問20 消防用設備等着工届出書及び消防用設備等設置届出書に掲げる工事の種類のうち「改修」は、「消防用設備等に係る届出等に関する運用について」(平成9年12月5日付け消防予第192号。以下「192号通知」という。)別紙1に掲げる工事の区分のいずれに該当するのか。また、192号通知別紙1に掲げる工事は、消防法(以下「法」という。)第17条の5に掲げる「工事」及び「整備」のいずれに該当するのか。

答 前段 当該工事の内容に応じ、「取替え」又は「改造」に該当する。
  後段 「新設」、「増設」、「移設」、「取替え」及び「改造」は「工事」に該当し、「補修」は「整備」に該当する。

(軽微な工事を反復して行う場合の取扱いについて)
問21 1の消防用設備等について、192号通知別紙2に掲げる軽微な工事を反復して行う場合にあっても、1回の工事が軽微な工事の範囲内であれば、着工届を省略できるものとして取り扱ってよいか。

答 お見込みのとおり。
 なお、短期間に反復して行われる場合にあっては、その理由、工事工程等を確認しておくことが必要である。

(異なる区分の工事を同時に行う場合の取扱いについて)
問22 自動火災報知設備の感知器10個の移設(軽微な工事に該当)と受信機の改造(軽微な工事に非該当)を同時に行う場合、当該自動火災報知設備について、着工届の省略を認めてよいか。

答 認められない。

問23 屋内消火栓箱2基の増設(軽微な工事に該当)と自動火災報知設備の感知器15個の増設(軽微な工事に非該当)を同時に行う場合、屋内消火栓設備については、着工届の省略を認めてよいか。

答 お見込みのとおり。

(着工届の省略に係る罰則の適用について)
問24 法第17条の5に掲げる消防用設備等の工事については、法第17条の14の規定により着工届が必要とされるが、192号通知第1、1により当該届出が省略された場合にあっては、法第44条第6号の規定(着工届出等の懈怠に係る罰則)は適用されないと解してよいか。

答 お見込みのとおり。

(軽微な工事に係る着工届の受理について)
問25 軽微な工事に係る着工届が提出された場合、これを受理しないこととしてもよいか。

答 届出が行われた場合には、受理することとされたい。
 なお、届出者に対しては、当該届出等の機会を捉え、軽微な工事に係る運用について周知されたい。

(軽微な工事に係る現場確認について)
問26 軽微な工事に係る消防検査については、192号通知第1、2(2)において、消防用設備等試験結果報告書、当該消防用設備等に関する図書等の確認により行うこととされているが、これらの書類のみでは基準適合性の確認を十分行うことができない場合にあっては、現場確認を行うこととしてよいか。

答 お見込みのとおり。

(軽微な工事に係る消防用設備等検査済証の交付について)
問27 軽微な工事に係る消防検査について、192号通知第1、2(2)のとおり消防用設備等試験結果報告書、当該消防用設備等に関する図書等の確認により行った場合にあっても、規則第31条の3第3項の規定に基づき消防用設備等検査済証を交付することができるか。

答 当該検査の結果、消防用設備等が当該技術基準に適合していると認められる場合にあっては、お見込みのとおり。

2 消防用設備等に係る届出等に関する運用

(重複する添付書類の省略について)
問28 着工届又は設置届に係る添付書類のうち、付近見取図、意匠図(建築平面図、断面図、立面図等)、関係設備共通の非常電源関係図書及び防火対象物の概要表については、192号通知第2において防火対象物単位で提出することができることとされているが、異なる消防用設備等に係る平面図、断面図等についても、同様の取扱いとしてよいか。

答 消防用設備等の区分、配置、配管・配線状況等が明確にされている場合にあっては、お見込みのとおり。

(関係設備共通の非常電源に係る届出者について)
問29 着工届又は設置届に係る添付書類のうち、関係設備共通の非常電源関係図書については、192号通知第2において防火対象物単位で提出することができることとされているが、この場合における届出者については、どのように取り扱うべきか。

答 原則として、当該非常電源に係る消防用設備等の工事を行う消防設備士が連名で行う必要があるが、電源を供給する主たる消防用設備等の工事に係る消防設備士が代表して行うこととしてもさしつかえない。

(消防用設備等の点検票の保存について)
問30 消防用設備等の点検票の保存期間については、192号通知第2、3において、消防長又は消防署長が適当と認める場合には3年以内とすることができることとされているが、具体的にはどのような場合が該当するか。

答 例えば、次のような場合があげられる。

 (1) 定期点検が適正に行われ、かつ、1年に1回の報告がなされている特定防火対象物 直近の報告以前の点検票の保存を要しない(保存期間1年)。

 (2) 定期点検が適正に行われ、かつ、3年に1回の報告がなされている非特定防火対象物 1年を経過したものについては、点検結果総括表、点検者一覧表、経過一覧表等を保存することで、点検票の保存を要しない。