第8節 その他の災害対策
[火山災害対策]
1.平成29年以降の主な火山活動の動向
(1)霧島山(新燃岳)の火山活動による被害等の状況
霧島山(新燃岳)では、平成29年10月11日5時34分頃に噴火が発生し、その後も噴火が継続して噴煙量が増加した。
このため、気象庁は、同日11時05分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。
また、10月15日に火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が1日あたり1万1千トンに急増したことから、気象庁は、同日19時00分に噴火警報(火口周辺)を発表し、火口からおおむね2kmとしていた警戒が必要な範囲をおおむね3kmに拡大した。
これに伴い、消防庁では、直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化した。
なお、この噴火による人的被害及び住家被害はなかった。
その後、10月23日以降、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が減少したこと等から、気象庁は、31日14時00分に噴火警報(火口周辺)を発表し、火口からおおむね3kmとしていた警戒が必要な範囲をおおむね2kmに縮小した。
以降、小康状態が続いたが、平成30年3月1日8時頃から浅い場所を震源とする低周波地震が増加するとともに、同日8時15分頃から火山性微動が継続して発生し、火山ガスの放出量が1日あたり5千500トンに急増した。
このため、気象庁は、同日16時40分に噴火警報(火口周辺)を発表し、火口からおおむね2kmとしていた警戒が必要な範囲をおおむね3kmに拡大した。
これに伴い、消防庁では、直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化した。
また、3月10日1時54分及び4時27分に爆発的噴火が発生し、弾道を描いて飛散する大きな噴石が1千800mまで飛散した。
このため、気象庁は、同日5時05分に噴火警報(火口周辺)を発表し、今後火山活動がさらに活発化するおそれがあることから、火口からおおむね3kmとしていた警戒が必要な範囲をおおむね4kmに拡大した。
なお、この噴火による人的被害及び住家被害はなかった。
その後、3月11日以降、噴火活動の活発化は認められないことから、気象庁は、15日11時00分に噴火警報(火口周辺)を発表し、おおむね4kmとしていた警戒が必要な範囲を火口からおおむね3kmに縮小した。
また、6月に入ってから山体膨張を示す顕著な変化は観測されていないこと等から、気象庁は、6月28日11時00分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルをレベル3(入山規制)からレベル2(火口周辺規制)に引き下げるとともに、火口からおおむね3kmとしていた警戒が必要な範囲をおおむね2kmに縮小した。
(2)草津白根山(本白根山)の火山活動による被害等の状況
草津白根山(本白根山)では、平成30年1月23日10時02分頃に鏡池付近で噴火が発生した。
これに伴い、消防庁では、直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化した。
気象庁は、同日11時05分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から2(火口周辺規制)に引き上げたが、その後、鏡池付近から1km以上飛散する噴石が確認されたことから、同日11時50分に再び噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。
なお、この噴火により、住家被害はなかったものの、死者1人(群馬県)、重傷3人及び軽傷8人の人的被害が発生した。
その後、噴火後に多発した火口付近ごく浅部の火山性地震が徐々に減少しながらも継続的に発生しており、噴火前より火山活動のやや高まった状態が続いていることを踏まえ、気象庁は、3月16日14時00分に噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)とする噴火警報(火口周辺)を発表し、警戒が必要な範囲を本白根山の火口からおおむね1kmとした。
(3)霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)の火山活動による被害等の状況
霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)の硫黄山では、平成30年4月19日15時39分頃に噴火が発生し、硫黄山火口周辺で噴石の飛散が確認された。
このため、気象庁では、同日15時55分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げ、硫黄山からおおむね1kmとしていた警戒が必要な範囲をおおむね2kmに拡大した。
これに伴い、消防庁では、直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化した。
なお、この噴火による人的被害及び住家被害はなかった。
その後、4月20日以降、火山性地震は概ね少ない状態で経過し、4月25日以降は火山性微動が観測されていないことから、気象庁は、5月1日14時00分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から2(火口周辺規制)に引き下げ、硫黄山からおおむね2kmとしていた警戒が必要な範囲をおおむね1kmに縮小した。
(4)口永良部島の火山活動による被害等の状況
口永良部島では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が増加する中、平成30年8月15日0時頃から平成27年5月の噴火前に発生した場所と同じ場所で火山性地震が増加した。
このため、気象庁は、同日10時30分に噴火警報(居住地域)を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から4(避難準備)に引上げ、新岳火口からおおむね1kmとしていた警戒が必要な範囲をおおむね3kmに拡大した。
これに伴い、消防庁では、直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化した。
その後、8月16日以降、平成27年5月の噴火前に発生した場所で火山性地震は観測されず、火山ガスの放出量も18日以降減少したことから、気象庁は、29日10時00分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを4(避難準備)から3(入山規制)に引き下げ、新岳火口からおおむね3kmとしていた警戒が必要な範囲をおおむね2kmに縮小した。