令和元年版 消防白書

[ガス災害対策]

1.ガス災害の現況と最近の動向

(1)事故の発生件数

平成30年中に発生した都市ガス及び液化石油ガス(LPG)の漏えい事故又は爆発・火災事故のうち消防機関が出動したもの(以下「ガス事故」という。)の総件数は862件(前年比147件増)となっている。
これをガスの種類別にみると、都市ガスによるものが408件、液化石油ガスによるものが454件となっている。(第1-8-2図)

第1-8-2図 ガス事故の態様別発生件数

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第1-8-2図 ガス事故の態様別発生件数

(備考)
1 「都市ガス、液化石油ガス及び毒劇物等による事故状況」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

ア ガス事故の態様別発生件数

ガス事故の発生件数を態様別にみると、漏えい事故が69.3%、爆発・火災事故が30.7%である。これをガスの種類別にみると、都市ガスでは85.0%が漏えい事故、15.0%が爆発・火災事故であるのに対し、液化石油ガスでは55.1%が漏えい事故、44.9%が爆発・火災事故となっている(第1-8-2図)。

イ ガス事故の発生場所別件数

ガス事故の発生件数を発生場所別にみると、消費先におけるものが68.4%、ガス導管におけるものが26.3%となっている(第1-8-3図)。

第1-8-3図 ガス事故の発生場所別件数

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第1-8-3図 ガス事故の発生場所別件数

(備考)
1 「都市ガス、液化石油ガス及び毒劇物等による事故状況」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

また、当該消費先におけるガス事故の発生件数を発生原因別にみると、元栓(コック)の誤操作・火の立ち消え等、消費者に係るものが49.3%、ガス事業者等に係るものが10.8%となっている。

(2)ガス事故による死傷者数

平成30年中に発生したガス事故(自損行為によるものを含む。)による死者数は6人、負傷者数は168人である。死者数は、都市ガスによるものが1人、液化石油ガスによるものが5人となっており、負傷者数は、都市ガスによるものが29人、液化石油ガスによるものが139人となっている。
死傷者を事故の態様別にみると、死者数は爆発・火災事故によるものが83.3%となっており、負傷者数は爆発・火災事故によるものが82.7%となっている(第1-8-4図)。

第1-8-4図 ガス事故による態様別死傷者数

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第1-8-4図 ガス事故による態様別死傷者数

(備考)
1 「都市ガス、液化石油ガス及び毒劇物等による事故状況」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

(3)自損行為によるガス事故

平成30年中に発生したガス事故のうち、自損行為に起因する事故は、ガス事故全体の2.4%に当たる21件で、これらの事故による死者数は1人(死者全体の16.7%)、負傷者数は13人(負傷者全体の7.7%)となっている。

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