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建物と被害の関係は?

過去の地震を見ると、防災拠点となるべき施設が大きな被害を受け、初動対応や災害応急活動に支障をきたした事例が数多く見られます。特に建物の形状や構造種別によって特徴的な被害が発生しています。

構造部材の被害は?

 

特徴 1:建設年代の古い建物や老朽化が進んだ建物の被害

 

兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では、1980年(昭和55年)以前の旧建築基準法で建てられた建物に大きな被害が集中しました。

 

 

 

特徴 2:ピロティ形式建物の1階柱の被害

 

消防署等では、1階部分が消防車などの駐車スペースとして利用されているため、壁が少なく柱だけのピロティ形式となり、1階に被害が集中しました。

 

 

共同住宅1階隅柱の破壊

事務所ビル1,2階の崩壊

店舗1階柱の圧壊

 

 

 

特徴 3:中高層建物の中間階の被害

 

病院等では、構造種別の変化や、病棟をいくつもつないだ複雑な平面形状の建物が多く見られます。中高層の建物では、建物の形状や、構造種別が変わる中間階や、エキスパンション部での被害が目立ちました。

 

 

業務ビル中間階の崩壊

市役所中間階の崩壊

渡り廊下の落壊

 

特徴 4:鉄骨造建物の大きな変形と、柱と梁の溶接部や柱脚での被害

 

体育館や集会所などでは、大きな室内空間を確保するために鉄骨の柱や梁を使う場合が数多く見られます。鉄骨造建物では、柱と梁の接合部での破断や、過大な変形による仕上材などの剥離が見られました。

 

 

鉄骨造建物の過大な変形

鉄骨造柱・梁接合部の破断

鉄骨造柱脚の破壊

 

 

 

特徴 5:地盤条件の悪い敷地での被害

 

埋め立てられた軟弱な地盤や、急な傾斜地に建てられた建物では、地盤の液状化により建物が傾いたり、斜面の崩壊による被害が見られました。

 

 

軟弱地盤における

杭頭部の破壊

1階土間床の沈下

液状化による護岸の破壊

 

仕上材や備品の被害は?

 

建物には各種の収納備品からガラス、タイルなど種々の内・外装材が使われています。構造部材の損傷だけでなく、これらの破損、落下は、避難の障害となるだけでなく、復旧作業の大きな妨げになります。

 

 

設備機器にはどんな被害が?

 

大地震時には、柱や梁などの構造部材が安全であっても、設備機器が被害を受けると、建物としての機能に大きな支障をきたします。特に、飲料水やトイレの排水の確保が大切です。