消防防災分野における情報通信技術(ICT)の活用について  国民の安心と安全を確保することは、昨今の政府の最重要課題となっています。火災や大地震等の災害の脅威から国民を守るためには、効果的な消火方法やがれきに埋もれた人を的確に発見・救助する機器など、先進的な技術を開発して消防活動の現場に活用することが不可欠です。消防庁では、消防防災科学技術研究推進制度(競争的研究資金)などに基づき、大学や企業などと連携しながら、国民の生命、財産の保護に直結する消防防災科学技術の高度化に取り組んでいます。  ICT分野においては、センサー技術や携帯電話をはじめとしたモバイル通信技術などの研究開発が多くの企業や研究機関で盛んに行われています。火災などの災害の発生状況をいち早く検知して、その情報をどこにいても確実に受け取れる技術は、消防隊の応急対応はもとより国民一人一人の防災行動に直結することから、消防庁が目指す安心・安全な社会の実現に大きく寄与するものです。  消防庁では、センサー技術やユビキタス通信など最新のICTを、消防隊の活動支援、災害情報の収集等、消防防災の現場でも利活用可能なものとするため、研究機関の研究成果や要素技術(シーズ)と消防活動現場の課題(ニーズ)をマッチングさせ、連携して研究開発を行っていく「消防防災分野における情報通信技術ICT活用のための産学官連携の推進事業」を進めています。この事業では、連携を促進するための検討会を開催するとともに、普及が進んでいる住宅用火災警報器などの火災感知器を、携帯電話、電子タグやインターネットと組み合わせることによってセンサーネットワーク化する実験的試みを、大学や独立行政法人などの研究機関や関係省庁と連携して進めています。  長期戦略指針「イノベーション25」が、技術革新、社会制度の刷新、人材の育成など中長期に取り組むべき政策として、平成19年6月に閣議決定されました。指針中の個々の政策のうち、要素技術を融合し、実証研究を通して成果の社会還元を加速する先駆的なモデルプロジェクトが「社会還元加速プロジェクト」として指定されています。ICT活用のための産学官連携の推進の事業は、「社会還元加速プロジェクト」において、「災害情報通信システムの構築」(きめ細かい災害情報を国民一人一人に届けるとともに災害対応に役立つ情報通信システムの構築)の中に位置付けられています。 火災感知器のユビキタスセンサーネットワーク化