平成28年台風第10号災害に学ぶ
4.政府の取り組み

平成28年台風第10号では今までにないような集中的な豪雨が発生したり、従来安全と思われていた地域で大きな被害が発生しました。
中でも、9人が亡くなった高齢者グループホーム「楽ん楽ん(らんらん)」での被害は大きな教訓を残しました。

8月30日、台風第10号が上陸する予報があったため、「避難準備情報」が発令されていました。
これは、避難に時間のかかる要配慮者とその支援者には避難行動を促し、それ以外の方は避難行動の準備を整えるよう呼びかけるものでしたが、このことが理解されていなかったため、適切な避難行動が取られず、大きな人的被害に繋がってしまいました。

この対策として、いざという時に取るべき行動が分かりやすいように避難準備情報の名称が「避難準備・高齢者等避難開始」へと変更されました。また、合わせて避難指示の名称も「避難指示(緊急)」へと変更されています。

台風第10号災害では、岩手県岩泉町の防災担当職員が住民からの電話対応に追われて避難勧告が適切に発令されないといった事例がありました。
これらを踏まえ、消防庁では、地方公共団体に対し、地域の防災体制の再点検を行い、災害発生の恐れが高まっている場合に時機を失することなく避難勧告等を発令できるよう、全庁的な災害対応体制に切り替え、優先すべき業務やその分担を明確化すること、指定緊急避難場所を指定すること、避難行動の理解促進・伝達体制を確保することなど、今後の水害及び土砂災害に備えた防災体制の再構築に取り組みました。

また、平成29年6月に水防法と土砂災害防止法が改正され、浸水想定区域や土砂災害警戒区域内に立地し、かつ市町村の地域防災計画に定められている要配慮者利用施設の管理者には、避難確保計画の作成が義務付けられました。
加えて、施設管理者には、それぞれの施設の設置目的を踏まえた施設毎の規定により、非常災害に関する具体的な計画の作成が求められています。

これらの計画を作成する際に参考となるよう、関係行政機関、有識者等が一堂に会し、具体的な避難確保計画等についての事例集を作成し、地方公共団体等に周知しました。

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