風水害(竜巻等突風)
2.竜巻等突風の性質

竜巻は、次のようなメカニズムで発生すると考えられています。地面や海面付近の湿った空気が暖められると、強い上昇気流を生み出して積乱雲を発達させます。この上昇気流は、地球の自転によって渦状となり、さらに回転スピードが速くなったものが竜巻になります。上空からの冷たい空気とぶつかって大気が不安定になる場合は、さらに強い竜巻が発生しやすくなります。竜巻の発現時間は数分から数十分程度と短く、直径は数十m~数百mとなり、数kmに渡って猛スピードで、ほぼ直線的に移動します。従って、被害地域では、竜巻の移動に伴って帯状に分布することになります。


竜巻以外の突風には、ダウンバーストやガストフロントがあります。ダウンバーストは、積乱雲から吹きおろす下降気流が地表に衝突する際に発生する空気の流れで、水平方向の風が数百m~十km程度吹き出されます。ガストフロントは、積乱雲の下で形成された冷たくて重い空気の塊が、温かくて軽い空気とぶつかることにより形成される前線で、これが、突風や風向の急変、気温の急降下、気圧の急上昇等を発生させます。ガストフロントによる吹き出しの広がりは、竜巻やダウンバーストよりも大きく、数十km以上に達することもあります。なお、ダウンバースト、ガストフロントによる被害地域は円形あるいは楕円形になるという特徴があります。

竜巻等突風は水平規模が小さく、既存の風速計から風速を計ることが難しいため、1971年に、シカゴ大学の藤田哲也博士が、被害状況から風速を大まかに推定する藤田スケールを考案しました。


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藤田スケールでは、被害が大きいほどFの値が大きく、風速が大きかったことを示しています。平成24年5月につくば市付近で発生した竜巻は、藤田スケールのF3に該当し、風速が毎秒70m~92mにも達しました。

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