津波から身を守る-温故知新-
12.命はてんでんこだ!

 岩手県田老村(現宮古市)のある人(37)は、母親(63)から明治29年の思い出話を聞いて、「命はてんでんこだ(命を守るのはめいめいだ)!逃げる道を考えておけ」と家族に言い、警戒していました。まもなく「津波!!」の声を聞き「そら逃げろ」と思い思いの方向に裏口から避難させました。
 夜が明けた後、家族の消息を尋ねると全員無事で各自思い思いの高い所に避難しているのを知り、注意が徒労でなかった事をよろこんでいたそうです。
 明治三陸地震津波の際には、一旦避難したものの妻子を助けようと再び戻ったため命を失った人や家財道具を取りに戻って亡くなった人もいたそうです。こうした教訓から、「家財には目をくれず、とにかく身一つで素早く逃げる」ことが強く意識されていたのだと考えられます。

続きを読む