最近の災害事例
12.2011年 東日本大震災(2) 福島第一原子力発電所事故

 東日本大震災の特筆すべき事故として、東京電力福島第一原子力発電所で事故が発生したことが挙げられます。

 震災当時、福島第一原子力発電所で稼動していた1号機、2号機及び3号機は、地震の揺れが大きいことを検知して原子炉は自動停止しました。しかし、地震により発生した巨大な津波が同発電所を来襲し、非常用ディーゼル発電機などの電源設備が浸水により使用不能となり、原子炉の監視や冷却の操作ができない状況に陥りました


 その結果、原子炉内の核燃料が十分に冷却できなくなり、核燃料の外側を覆っている金属製の燃料被覆管が高温により損傷して放射性物質が露出する状態になりました。そして、原子炉に溜まった蒸気をやむを得ず排出したり、原子炉の配管の損傷部分から蒸気が漏れ出したりしたことにより、大量の放射性物質が大気中に放出されるに至りました。

 また、燃料被覆管が損傷した際に大量の水素が発生し、その水素が3号機と4号機の原子炉建屋上部に蓄積し、爆発するという事故も発生しました。

 この事故の結果、ヨウ素換算でチェルノブイリ原発事故の約1/6に相当するおよそ900PBq(ペタベクレル)の放射性物質が放出されました。そのため、福島県内の1,800平方キロメートルもの広大な土地が、年間5ミリシーベルト以上の空間線量を発する可能性のある地域になっています。

 平成24年12月時点でも、福島原子力発電所から20km以内の一部地域は、「警戒区域」に指定され、原則として立入りが禁止されています。

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