損害保険
3-11.損害保険の種類 火災保険 -火災保険加入の際の注意点(5)-

最後に、時価を上回る契約金額で設定した場合です。

たとえ、時価を上回る契約金額で設定することができたとしても、建物の時価以上で保険金を支払うことは認められていません。したがって、支払われる保険金は、時価いっぱいで契約金額を設定したときと同額になります。これは、保険による不当利得、いわゆる「焼け太り」は認められないということです。

それでは、具体的な事例に基づいて見ていきましょう。時価2,000万円の建物があったとします。この建物に火災保険の契約金額を3,000万円で加入していた場合に、その家が火災で全焼して、2,000万円の損害を受けたとします。一定割合を80%として契約すると、支払われる保険金はこのようになります。


計算上は、3,750万円と契約金額を上回りますが、支払われる保険金は、契約金額または実際の損害額のいずれか低い額を限度として支払われるため、2,000万円となります。したがって、時価を超過して契約した契約金額部分である1,000万円分の保険料はムダになってしまいます。

「時価」を契約金額として設定する方法では、同じ建物を新たに建て直すのに必要な金額から使用による消耗分を差し引いた金額で保険金が支払われるため、保険金だけでは同じ建物を建て直すことができません。保険金だけで同じ建物を建て直したい場合、再調達価額をもとに契約金額を設定する方法があります。

契約締結の際に再調達価額で契約金額を設定しておけば、支払われる保険金だけで元どおりに建物を修理したり、建て直すことができます。

なお、家財についても同様に契約することができます。

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