地域の防災リーダーの役割
2.平常時の自主防災組織の役割

平常時の自主防災組織の役割は、次のような防災対策を地域全体で促進していくことです。
(1)防災の仲間づくり
(2)防災知識の普及・啓発活動
(3)火気使用設備器具などの点検
(4)危険箇所などの把握と防災マップの作成
(5)災害時の活動に備えての訓練の実施
(6)防災資機材などの備蓄
(7)要配慮者対策【補足あり】

それでは、これらを具体的に見ていきましょう。
「防災の仲間づくり」ですが、自主防災活動の内容は多岐に渡りますので、これを一人のリーダーだけでこなしていくことは、事実上不可能でしょう。
反対に、防災リーダーを助け、支える人達がたくさんいるほど、さまざまな自主防災活動を展開することが可能になります。また、地域に密着した効果的な防災対策のアイデアも出やすくなります。
ですから、防災に関心が高い人、防災知識・技術を持った人に多く集まっていただくこと、さらに、初めて参加される方などにも関心を高めていただくことが大切です。まちに潜在している、さまざまな能力を持つ仲間を増やしましょう。

「防災知識の普及・啓発活動」ですが、先ほど解説しました仲間づくりと同様に、一人でも多くの方に関心を持っていただくことや、それぞれの地域に密着した防災情報や最新の防災情報を伝えることは、より具体的な防災活動の実を挙げるために大切なことです。
これらを実践する方法として、「地域における過去の災害事例」、「全国各地での災害から学ぶ教訓」、「いざという時役立つ知識やテクニック」、「地域防災計画と自分たちの地域との関係」、「その他(た)防災知識の向上に役立つもの」などをミニコミ誌やパンフレットを作り、配布します。【補足:ホームページやブログなどを活用する方法もあります。】
また、機会を作って、防災についての講演会、勉強会を行う方法もあります。
防災意識の普及・啓発活動は、一時的ではなく、継続的に行うことが必要です。
「火気使用設備器具などの点検」ですが、大地震が発生した場合、被害の拡大を広げる恐れのある火気使用設備は、日ごろから十分な点検を徹底していただくことが重要になります。
例えば、家庭用のガスコンロ、ストーブなどの点検は、本来各家庭が実施するべきものですが、「自主防災組織」として「点検の日」などを決めるなど、組織として指導し、地域全体として取り組むことが大切です。
また、石油、食用油、各種スプレー缶などの可燃性の物品は、大地震時、出火や火災拡大の原因となることがあります。これらについても、「点検の日」などを決めて、点検しましょう。

次に、「地域の危険箇所などの把握と防災マップの作成」です。
地域内の避難場所などの安全な場所やブロック塀、がけなどの危険箇所を住民一人ひとりが知っておくことは、災害が発生しそうな時、または発生した時に、的確な行動をとるために重要です。
自分たちの手で、自分たちに必要な情報をまとめた防災マップを作成し、地域の皆さんに周知しましょう。

次に、「災害時の活動に備えての訓練の実施」です。
いつ災害が発生しても、適切に対処するためには、日ごろからの訓練が大切です。
訓練を企画し、実施するためには、正しい知識、技術を習得してもらうために、また、危険防止のためにも、消防機関から指導を受けてください。
訓練は、消火器の使用方法など比較的実施しやすいものから始め、回数を重ねる毎に、情報連絡訓練や避難訓練などへと移行するように進めていきましょう。
また、最近、発災対応型訓練やDIG図上訓練という、より実践的な訓練も考えられています。これらについては、「地域防災の実践」レッスンで詳しくご紹介します。
防災に関する知識はあっても、災害時にそれを行動に移せるとは限りません。防災訓練を繰り返し、積み重ねていくことが大切です。

最後に、「防災資機材などの備蓄」です。
自主防災組織が災害時の役割を果たすためには、それぞれの役割に必要な資機材を備えておく必要があります。地域の実情に応じてどのような資機材を備える必要があるのか、十分検討して備えていきましょう。
消火には、次のようなものが役立ちます。
・消火器
・消火バケツ
・防火用水
・【補足】小型動力ポンプ
家屋の倒壊現場での救出には、次のようなものが役立ちます。
・バールや金てこ
・のこぎり
・おの・ハンマー
・スコップ
・車のジャッキ
・ビニールシート
・ロープ
また、地域で、食料品、ろ水器、容器、釜、鍋、燃料などがいつでも使えるよう備蓄しておくことも効果的です。

大切な飲料水は、井戸や市町村が設置した飲料水兼用貯水槽などがあれば、その利用についても協議し、熟知しておきましょう。
消火資機材や災害時に使える消火用の水がある場所を把握し、これらを点検しておくことも大切です。
さらに、津波や土砂災害の危険があるなど、住民の方々が即座に避難しなければならない地域では、各家庭の非常持出袋を避難所などにまとめて保管しておき、いざというときに身軽に避難できるようにしておくことも有効かもしれません。

【要配慮者対策については、次の補足レッスンをごらんください】

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