防災ゲーム クロスロード
3.ゲームの進め方

クロスロードは、1グループ5人で行うのを基本とします。
意見が多数派と少数派に分かれたほうがよいので、5人、あるいは7人といった奇数人数でグループをつくります。

まずジレンマのカードを読み上げます。
たとえばこんな内容です。
「あなたは市役所の職員。未明の大地震で、自宅は半壊状態。幸いけがはなかったが、家族は心細そうにしている。電車も止まって、出勤には歩いて2、3時間が見込まれる。出勤する?」
まず、ゲーム参加者一人ひとりが、自分なら出勤するかどうかを考えます。

次に、一人ひとりに配られたYESまたはNOのカードを、自分の前に裏を向けて置きます。

参加者が一斉にカードを表に向けます。

YESかNOの、どちらか多数派になった人に、ポイントとして青い座布団のカードを配ります。

ただし、もし、1人対4人に分かれたときは、その1人の人にだけ座布団カードを配ります。この場合は、青ではなく金の座布団になります。

その後、参加者はなぜその札を出したのかを発表し、グループで意見を交換します。

一般的には、このような理由が予測されます。
YES、つまり出勤する理由には、「災害時に市役所に人がいなかったら、災害対応が遅れる」、NO、つまり出勤しない理由には「半壊なら余震でさらに大きな被害が出る危険性がある」などです。

それだけではなく、その地域独自の事情や、メンバーの事情が反映されることもあるでしょう。

また、金の座布団の人の意見にはとくによく耳を傾けます。なぜなら、たとえば「出勤する」という人がひとりしかいない場合、ほかの人は「出勤しないと災害対応が遅れる」といった問題の重要性に気づいていない可能性があるからです。
防災を考えるときは、「他の人が見逃しがちな点に注意を向けている人こそ大事にする」「みんなが見落としていることが重要かもしれない」という考え方が重要です。

一般的にはどんな問題があるか。
地域にはどんな事情があるか。
見逃している問題はないか。
ジレンマの解決にはこうしたさまざまな視点が必要ですが、自分ひとりで気づくことは困難です。
このゲームに参加すれば、楽しみながら気づきを得ることができます。

テーマを全部終えたら、最後に座布団の数をかぞえ、一番多かった人を勝ちとします。

この「クロスロード」に「正解」はありません。
座布団をたくさん獲得すること、つまり自分と同じ意見の人がたくさんいた人がゲームの上では勝ちですが、それがクロスロードの目的ではありません。
問題に対して、自分や他の人がなぜYES・NOを選んだのかを知ることが大切なのです。
防災活動や災害現場には、いろいろな考え方の人がいて、ジレンマも数多く存在します。
多くの人が受け入れることのできる結論を引き出し、実行に移す力を、楽しみながら身につけていくことがこのゲームの目的です。

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