南海トラフ巨大地震·首都直下地震対策
3.津波に強い地域づくり

 南海トラフ巨大地震による津波に対応するためには、被害が想定される沿岸地域を津波に強い地域にする必要があります。具体的には、(1)海岸堤防等の施設の整備、(2)津波対策を特に講ずべき学校、医療施設等の施設の構造・配置の見直し、(3)地域の土地利用計画の策定・推進が挙げられます。
 (1)海岸堤防等の施設の整備については、最低でもレベル1の津波(発生頻度は比較的高く、津波高は低いものの大きな被害をもたらす津波)に対応できる構造にする必要があります。特に高い津波が想定される地域でレベル1を超える防護水準を検討する必要があります。既設の堤防等についても、強い地震動によって津波襲来前にその機能が損なわれないように耐震診断・改修を行う必要があります。

 また、水門・陸閘(りっこう)については、消防団等の閉鎖活動の負担も考慮して、不要なものは整理・廃止し、遠隔操作化・自動化を促進する必要があります。その他、海岸防災林の整備等も検討が必要です。
 (2)津波対策を特に講ずべき施設の構造・配置等については、地域の実情も踏まえた上で、レベル2の津波(発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波)でも重大な被害が発生しないように建物の耐浪化や配置の見直しを行う必要があります。
 (3)地域の土地利用計画の策定・推進は、避難施設の整備や建物の耐浪化だけではレベル2の津波から避難することが困難な地域において、住民のコンセンサスのもと、中長期的な住居の集団的移転や、一定の建築制限等を講ずることを検討することになります。「津波防災地域づくり法」を活用して津波災害特別警戒区域を指定して建築・開発行為を制限したり、市町村条例によって迅速な避難の確保が困難な住宅等に一定の建築制限を行ったりすることが考えられます。

続きを読む