南海トラフ巨大地震·首都直下地震対策
15.膨大な避難者への対策

 首都直下地震発生時においては、東日本大震災を大きく上回る膨大な数の避難者の発生が想定されます。特に都市部においては、避難所の不足や、避難所への物資の円滑な供給に支障が生ずることも懸念されます。また、広域避難の仕組みや、応急仮設住宅の用地の確保も課題となります。
 まず、避難者の対策としては、自宅等を失ったことにより長期的な避難所生活を余儀なくされる者を、できる限り少なくすることが重要です。そのためには、住宅・建築物の耐震化・不燃化、ライフラインの耐震化、家庭における備蓄等を促進する必要があります。  避難所の確保という点では、学校施設等の既存の避難所の耐震化や防災機能強化を促進し、それでも既存の避難所では不足することが想定される場合には、公的施設や民間施設を活用する対策を進める必要があります。

さらに、避難所への物資の供給という点では、物資集積拠点における在庫や配送の管理などの救援物資の供給体制を確立する必要があります。その際には、女性や要配慮者、在宅避難者への物資の供給の在り方、そして、協力する民間業者への支援も十分に考慮すべきです。
 都市部における避難所の過不足の状況を踏まえ、首都圏全体での広域避難の枠組みを検討する必要があります。その際、必ずしも被災地に留まる必要のない者への疎開の奨励やあっせん、また、広域避難を行った者への支援の仕組みについて検討する必要があります。
 応急住宅の提供体制の構築という点では、空家や空室等の応急住宅としての活用や、公共用地や国有財産等の有効活用のための環境整備を検討する必要があります。また、応急住宅の配分等について、首都圏での広域調整の方法をあらかじめ検討しておく必要があります。

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