南海トラフ巨大地震·首都直下地震対策
16.膨大な帰宅困難者への対策

 東日本大震災の影響により、首都圏においては鉄道の多くが運行を停止し、大規模な道路渋滞が発生しました。その結果、内閣府の推計によると首都圏において約515万人に及ぶ帰宅困難者が発生しました。その際に生じた混乱の反省から、首都直下地震発生時に備えた帰宅困難者等の対策を一層強化する必要があります。
 膨大な数の帰宅困難者等への対応は、行政機関による「公助」だけでは限界があり、「自助」や「共助」も含めた総合的な対応が不可欠です。国、地方公共団体、民間企業等が連携・協働した取組が必要になります。そこで、内閣府及び東京都は、関係機関の協力を得て、平成23年9月に首都直下地震帰宅困難者等対策協議会を設置し、帰宅困難者等対策のガイドラインを策定しました。

 東京都はこの協議会のガイドラインを受けて、東京都帰宅困難者対策条例を制定しました。その概要は、(1)事業者に対して従業員の一斉帰宅を抑制し、3日分の食料を備蓄する努力義務を課すこと、(2)駅や集客施設に利用者、とりわけ児童・生徒の安全確保の努力義務を課すこと、(3)都と事業者が連携協力して安否確認や災害関連情報の提供の基盤整備を行うこと、(4)都の施設を一時滞在施設として指定するとともに、一時滞在施設の確保に向けて国、市区町村、事業者に協力を求め、帰宅困難者を受け入れる体制を整備すること、(5)代替輸送手段や災害時帰宅支援ステーションを確保し、安全かつ円滑な帰宅を支援することです。
 帰宅困難者対策は、「自助」や「共助」が強く求められるテーマです。市民による積極的な関与・体制準備が期待されます。

続きを読む