油流出事故対策(監修:独立行政法人 海上災害防止センター)
11.海岸清掃方法

 海岸清掃で注意しなければならないのは、実態調査・作業計画前に、闇雲に現場へ入らないという点です。油が漂着している海岸に多数の人が立入ると、かえって汚染被害を増幅させることになります。特に砂浜に油が漂着した場合、踏み付けることで油を砂の中に浸透させ、防除が困難となります。
 漂着した油の回収は、汚染状況に応じて通常次の3段階に分けて進めます。

第1段階:海岸付近海面の浮遊油の回収
 浮遊油を回収する前に漂着油を回収しても、また漂着(付着)することになります。未汚染地域に移動しないようオイルフェンスを使用し、回収装置などで回収します。

第2段階:海岸漂着油などの清掃
 浮遊油の回収が終了したら漂着油の清掃作業に移ります。同じ場所を反復清掃する手間を避けるため、油がすべて漂着してから、または大部分の油が漂着した後、オイルフェンスを展張してそれ以上の油が漂着しないようにしてから作業を開始します。油とともに土砂を取る場合、海岸侵食や環境の変化をもたらすことがあるので、処分する量は最小限に抑えなければなりません。

第3段階(最終段階):清掃の終了
 いつ作業を終了させるかの判断は非常に困難ですが、一般的にはその地域のレジャー・環境・経済関係などの重要度、季節、予測される自然浄化作用などを総合的に判断し決定します。

 岩石、砂利などの海岸や岸壁の清掃は、車両や作業船が水際まで接近できる場合は、オイルフェンスなどで包囲した海岸に高圧水などを用いて油を洗い流し、流れ出した油を回収装置などで回収します。回収した油水は一次貯蔵タンクで静置分離させ、水を排出した後に保管場所へ輸送します。また油および油が付着したゴミなどをドラム缶、土のう袋に詰めて輸送します。
 回収した油水、およびゴミなどは、産業廃棄物として、産業廃棄物処理施設で処理されます。最終的には手作業で分別しなければなりませんので最終処分を考えて現場でゴミ等を分別することが大切です。

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