火山対策(監修:小山真人 静岡大学教授)
1.火山の防災対策は無意味?

1989年に静岡県伊東市の沖合で生じた伊豆東部火山群の海底噴火の瞬間を捉えた映像
(海上保安庁提供)


 火山の平均的な噴火間隔は風水害や地震など他の災害に比べて一般に長いため、数十年どころか数百年に一度程度しか噴火しない火山も、ごく普通に存在します。このような稀な災害に備えることは、時間や費用の無駄と考える方がいらっしゃるかもしれません。

 しかしながら、将来噴火する可能性を秘めた日本の活火山の数は111もあるため、ひとつの火山でみれば稀な噴火であっても、日本全体で見れば数年~十数年に一度はどこかの火山が噴火したり、噴火しそうになるといった状況が繰り返されています。

2000年三宅島噴火によって、およそ2500年ぶりに生じた山頂カルデラ(アジア航測株式会社提供)


 たとえば、1989年には伊豆東部火山群がおよそ2700年ぶりの噴火を起こしました。また、2000年に起きた三宅島噴火では、およそ2500年ぶりという山頂のカルデラ陥没とそれに続く大量の火山ガス放出が生じたため、2005年2月までの4年5ヶ月もの間、住民に対する避難指示は解除されませんでした。



活火山
将来噴火するポテンシャルを秘めた火山のこと。日本では、火山噴火予知連絡会によって、概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山が活火山と定義されている。

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