火山対策(監修:小山真人 静岡大学教授)
6.マップは火山防災の出発点

 ハザードマップが完成したら火山の防災対策はそれで終り、というわけにはいきません。せっかく時間と費用をかけて作成したハザードマップを生かすも殺すも、すべてはマップの活用の仕方にかかっています。
 行政はハザードマップに書かれた事実や予測をもとにして、起こりうる様々な噴火シナリオを考え、それに対する避難計画や、長期的な土地利用計画を立てておく必要があります。そうでなければ、せっかくマップを作成した意味が薄れてしまいます。
これは、1977年の有珠山噴火にともなう地殻変動で倒壊した病院と、2000年有珠山噴火の火山弾で穴だらけになった幼稚園です。 ともに被災してほしくない災害弱者の施設です。これらは、火山付近の土地利用計画が適切でなかった実例と言えます。



 住民は普段からマップを見やすい場所に貼るなどして、マップに書かれた基礎知識をよく学ぶ必要があります。ただし、マップ上に盛り込まれた知識は限られたものですから、普段から地元の火山に興味・関心をもち、他の解説書や関連ホームページなどを積極的に読んで学んでいく姿勢も必要です。

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