火山対策(監修:小山真人 静岡大学教授)
8.火山の恵みを意識した生活を

 最後に。火山災害を防ぐためには、噴火災害の歴史、性質、メカニズム等を知ることだけでは不十分です。火山の起こしてきた災害は、火山が郷土に与えてくれている恵みとつねに表裏一体の関係にあります。このことを深く理解することが大切です。

 長い目で見れば、火山が噴火して溶岩流や土石流を押し流してくれたおかげで、利用価値の高い、広くて平らな裾野や平野が生まれたのです。また、火山独特の美しい景観や温泉も、火山があってこそ与えられた大きな恵みです。

ご覧のチャートは、富士山付近の立体地形図です。富士山がまわりに向かって成長した様子がよくわかります。 もし富士山が誕生しなかった場合、今あるはずの広くてなだらかな裾野や平野はどこにも見あらず、火山の恵みがいかに大きいものであるかがよく理解できます。


 このような火山の恵みに目を向け、火山の自然に親しむことを通じて、普段から火山の存在を意識した生活を営んでいくことが、万一の火山災害を最小限にとどめられる強い地域社会を築くことにつながるのです。

参考ページ
・気象庁の火山資料のページ
・海上保安庁海洋情報部による日本の海域
 火山データベース

・富士山火山防災協議会
・総務省消防庁の富士山の広域的防災体制
 に関する研究会報告書(PDF 41KB)

・岩手山火山防災ガイドライン
・富士山ふん火のひみつ
・火山がつくった伊東の大地と自然
・火山がつくった伊東の風景
・富士を知る
・火山ハザードマップの役割と活用の
 ポイント

・火山ハザードマップデータベース
・日本火山学会
・日本火山の会

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