水害対策(監修:片田敏孝 群馬大学教授)
9.避難所の改善

 1998年(平成10年)8月末、北関東・南東北豪雨災害時の福島県郡山市の避難勧告・指示発令地域周辺を対象に行われた群馬大学工学部による住民意識調査によると、避難を行った郡山市民のなかで、指定避難所への避難は1/3程度、残りの2/3は、親戚や知人宅、ホテル、健康ランドなどに避難するなど、たとえ一時的な避難であっても、避難所の快適性やプライバシーの問題から、住民は避難所を敬遠する傾向が顕著に見られました。


【図を拡大】

とりわけ高齢者などの災害弱者(要配慮者)にとっては、避難所での生活に耐え難いなどの意見が多く寄せられており、その対策が求められます。 また、健常者であっても、日常の快適な生活環境と余りにかけ離れた避難所の環境は敬遠されており、避難所の有り様は、避難所の利用率に大きな影響をもたらしていることは事実です。


 避難所の快適性改善については、その必要性を含め、今後議論が必要と思われますが、その一方で、地域コミュニティの有り様によっては、親戚・知人宅などへの避難も多く生じることを念頭においた避難計画も検討されて良いと考えられます。

続きを読む