土砂災害対策(監修:岩松暉 鹿児島大学名誉教授)
11.災害を知る

まず「災害を知る」、つまり「敵を知る」お話です。台湾地震の後、ゆるんだ山が雨期になってあちこちで山崩れを起こしました。しかし、いつも犠牲になるのは都会育ちの漢族ばかりで、山岳少数民族は誰も死ななかったそうです。山の民は自然のしくみをよく知っているからでしょう。私たち日本人も自然とかけ離れた生活を送っていることを反省する必要があるのではないでしょうか。
日本列島は環太平洋地震火山帯に属していますし、アジアモンスーン帯にも位置しています。また、地殻変動の活発な若い変動帯でもあります。したがって、地形的には急峻な山岳と急流が多く、地質的には固結度の低い軟岩や、火山性堆積物が広く分布しています。いずれも自然災害を受けやすい要因になります。したがって、このような災害列島に住む日本人にとって、地学は国民教養と言ってもよいでしょう。多くの方に学んでいただきたいと思います。

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