風害対策(監修:丸山敬 京都大学防災研究所准教授)
4.竜巻

 台風に続き、強風の発生原因としてよく知られているものに竜巻が挙げられます。
 竜巻は中心部に上昇気流を伴い、直径数十mから数百mのろうと状、柱状またはひも状の渦巻きを伴った回転性の強風で、スーパーセルと呼ばれる巨大積乱雲や前線上の積乱雲などの下に起こるといわれています。
 これは2001年、北海道の北竜町を襲った竜巻のビデオ映像です。竜巻が地面と接する部分でいろいろな物が巻き上げられる様子から、回転を伴った強い風が吹いていることがわかります。回転の方向は、上から見て反時計回りであることが多いのですが、時計回りのものもあります。また、ここに写っている竜巻の渦は1つですが、2つあるいはそれ以上の渦がある場合もあります。

 竜巻の被害は台風に比べて範囲が狭く、人の住んでいない場所で起こることも多いので、竜巻の被害に遭う確率は台風にくらべてずっと小さくなります。しかし、時として秒速100mをこえる風が吹くこともあり、竜巻が街を襲った場合には大きな被害を引き起こします。
 1990年12月、千葉県茂原市を襲った竜巻は日本で起きた竜巻の中でも最も大きなものの一つで、住家(じゅうか)被害約1、700軒、死者1名、負傷者73名の人的被害を記録しました。このときには木造建物が家ごと吹き飛ばされたり、コンクリートの建物でも内部の物が全て吸い出されるなど、壊滅的な被害を受けました。
 また、竜巻による飛散物の速度は非常に速く、写真に示すように木片がコンクリートパネルに突き刺さるなど、通常では考えられないような被害も見られました。
 最近では、2006年に宮崎県延岡市や北海道佐呂間町で竜巻が発生し、大きな被害がもたらされました。
 竜巻が通過した後をみると建物にブルーシートが被せられ、被害が直線上に分布しているのがわかります。また、大まかにいって中心線付近で被害は大きくなりますが、場所によっても差があり、全壊した建物のすぐ隣でほとんど被害がないような場合も起こります。

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